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2017/08/24(木) 11:28

スムストック普及・拡大へ 10月に一般社団化 優良ストック住宅推進協議会

投稿者:  牧田司

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和田会長 

 優良ストック住宅推進協議会(会長:和田勇・積水ハウス会長兼CEO)は8月23日、活動・発信力を強化するため今年10月に一般社団法人化し、国土交通省が告示を予定している「安心R住宅団体登録」の団体登録を行うと発表した。

 同協議会は優良なストック住宅の普及を図るのを目的に2008年7月に任意団体として発足。会員は現在、旭化成ホームズ、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダ・エスバイエルホームの10社。

 「スムストック」とは、①住宅履歴があること②建築後50年以上の長期点検制度があること③新耐震基準であることを満たしている住宅で、同協議会が認定したスムストック住宅販売士が独自の「スムストック査定」を行い、再調達価格を構造部分(スケルトン)と設備・仕上部分(インフィル)に分けて評価するのが特徴。

 スムストックの成約棟数は2016年度末で1,632棟(前年比113%)、累計成約棟数は6,822棟、スムストック住宅販売士は2017年6月末現在5,576名。

同協議会10社の戸建てストックは約360万棟で、このうち年間約1.4万棟が流通しており、スムストックで仲介した物件は1,632棟(2016年度)、捕捉率は約12%となっている。

 会見に臨んだ和田氏は、「団体発足から今年は10年目の節目の年。スムストックの認知度は高まってきたが、年間約1,600戸しか捕捉できていない。何とか1万戸くらいに伸ばしたい。スムストックを伸ばすことは、若者の家を持てる夢をかなえるとともにCO2排出量を減らすことにつながる。築20年、25年で建物価格がゼロとなるような制度を改め、新しいマーケットを作ろう」と呼びかけた。

◇       ◆     ◇

 一般社団化を歓迎したい。方針が打ち出されなかったら、和田会長に「一般社団化を目指すべき」と質問する予定でいたくらいだ。団体発足当初は〝笛吹けど踊らず〟全然足並みがそろっていなかった。さかんに記者会見やイベントを行うようになったのはここ数年だ。

 いい制度であるにも関わらずスムストックの捕捉率が10%強にとどまっているのは、価格ありきの住宅を供給している住宅業界、古い商習慣を守っている不動産流通会社、そしてわれわれ記者の責任でもある。

 和田会長は「若者が家を買えない」と話したが、これは正確ではない。〝若者はいい家を買えない〟というべきだ。

 〝悪家は良家を駆逐する〟-品質が劣った分譲住宅が大量に供給され、それがまた売れている現実がある。その住宅を販売する仲介会社は「値段が安いのは、中古並みの価格」と平気でいう。

 そしてわれわれも質が劣る住宅を供給する会社を批判しない。この日集まった記者は34名だという。このうち〝悪いものは悪い〟と書く記者はどれだけいるか。

 「安心R住宅」についても一言。この「R」はreuse(再利用)、reform(改良)、renovation(改装)の頭文字から取ったものだが、これらは必ずしも「安心」につながらない。英語を用いるならreliableだろうし、もっと気の利いた日本語はないのか。

 かつて「優良マンション融資」「優良中古マンション融資」制度があった。最低限の条件を満たしていれば「優良」のお墨付きが与えられた制度だった。

 国土交通省は「安心R住宅」制度をブラッシュアップしていくそうだが、レベルの高いものがきちんと評価されるものにしてほしい。現在の制度は〝それなりのもの〟が〝安心〟できる免罪符になる危険性もあると見た。

 

 

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