ポラスグループ中央住宅の分譲戸建て新ブランド〝Machie(マチエ)〟を商品化した第一弾2棟を見学した。天然無垢の挽き板フローリングやレンガ壁、木製の建具・面材、自然石をふんだんに用い、デザインも個性的なものにするなど住まい手の五感を刺激する物件だ。〝建売り〟は不特定多数の人がターゲットではなく、住まい手一人ひとりの個性に訴える商品でなければならない-このことを強く感じた。
見学したのは、4現場全8棟のうちの2棟。1棟は埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩19分の「ブルックリンハウス」(土地面積187.16㎡、延べ床面積109.06㎡、価格4,680万円)、もう1棟は同駅から徒歩15分の「煌きの家」(土地面積289.07㎡、延べ床面積134.56㎡、価格6,380万円)。建物は木造在来工法2階建て。今年6月の完成を待たずに成約済み。
現地は土地区画整理事業によって街づくりが進められている「みそのウイングシティ」(313ha)の一角。UR都市機構から〝飛び地〟を取得して分譲するもので、区画が散らばっているのはそのため。敷地面積が大きいのは、地区計画によって1区画当たり最低面積150㎡の規制がかけられているため。
「ブルックリンハウス」は、外壁にレンガ調サイディング、カースペースにレンガをそれぞれ採用。室内のカラーリングは白を基調とし、黒の棚、濃紺の壁・ブラインドを採用することで引き締めている。1階の21.7畳大のLDKは天井高約2.7mのLと2.4mのDKとでスキップさせ、床はオークの天然無垢の挽き板。キッチンはステンレスと木の質感を黒のフレームで引き締めたウッドワン製〝KUROMUKU〟を、キッチン壁には本物のレンガを採用。洗面室は暖房機付き。宅配ボックスも設置している。
「煌きの家」は、オーソドックスなプランで、大きな庭と一体利用できる12帖の木目調テラスを設置。20.1畳大のLDKはフルフラットで大きな吹き抜け付き。隣の5.6畳大の居室はテキスタイルフロアとすることで多目的に利用できる空間にしている。浴室は1.25坪を採用。ブラインドも電動式。2階にはインナーバルコニーを設置。
〝Machie〟は、フランス語で「素材」を意味するMatériel=マチエールと「絵になる街」
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こんなことを書くとお叱りを受けるかもしれないが、日本一人気があるサッカーチーム浦和レッズの本拠地で、ワールドカップが行われた「埼玉スタジアム」や大規模な商業施設「イオンモール」があるのに、浦和美園の街づくりは遅々として進んでいない印象を受ける。
換地処分はほぼ完了しているはずなのに、店舗や住宅はポツリ、ポツリ、空き地が目立つ。道路には雑草が生い茂り、街路樹も貧相なものばかり。それだけが要因ではないが、マンションの売れ行きもいまひとつだ。
そんな中で、同社は孤軍奮闘。これまで浦和美園エリアで500戸近い戸建てを分譲している。記録的な戸数だろう。
しかし、いくら実績があるとはいえ、同社が得意とするのは〝街づくり〟だ。1棟分譲はどこにでもある誰にでも受けるような無難な没個性的な建物だろうと想像していた。
ところがどうだ。金にあかした注文住宅ならいざ知らず、不特定多数をターゲットにした戸建てとはとても思えない、想像を超えるプランに驚愕した。建物が完成する前に、外構が全くできていない段階で売れるというのもすごい。
「よくもこのような大胆なプランを上司が認めましたね」と、企画・設計を担当した同社戸建分譲設計本部設計一部 営業企画設計
今回新しいブランド〝Machie〟の開発は戸建分譲設計本部の古垣課長が担当した。その現場を案内してくれたのが古垣氏の部下である角張氏だった。
角張氏に代わってポラスグループ広報担当者が、角張氏は記者がかつて〝ポラスのホープ〟と書いた同社戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏の部下だと明かした。
その言葉ですべてが納得できた。野村氏などが手掛けた物件を最初に見たのは8年前の「新鎌ヶ谷」の物件だったが、そのときも思い切ったプランに驚愕した。野村氏が35歳の時だった。その後、野村氏が手掛けた物件を見たのは数物件に上るはずだ。
今回の企画設計を担当した古垣氏、角張氏と野村氏を重ね合わせると、この大胆なプランが生まれるのは容易に理解できる。角張氏は昨年、バイオエタノール暖炉を装備した戸建てを手掛けたそうだ。
暖炉が素晴らしいのはみんなよく知っている。しかし、費用は安くない。〝建売り〟ではまず採用しない。
角張氏は「私は北海道旭川市出身で、祖母の実家に薪ストーブがあったのを思い出して採用することにしました。炎のゆらぎは一晩中見てても飽きない」と種を明かした。
ポラスのロゴ「POLUS」のOには北極星(pole star)が描かれている。この星を中心にそれこそ綺羅星のごとく同社にはスターが存在していることを改めて感じた。
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