大和ハウス工業は9月23日、日本最多棟数を誇る住宅展示場「tvk ハウジングプラザ横浜」に天井高3.08mの同社オリジナル「防音シアタールーム」付きモデルハウス「平沼xevoΣ展示場」をオープンする。21日、メディア向けに披露された。
「防音シアタールーム」は、二重窓・二重ドアを採用した約13.4畳大の広さ。天井高3.08mは、基礎断熱工法を採用し、リビング・ホールの床面より36センチ低くして実現した。同社は昨年、新築とリフォームで約300棟の防音室を受注しており、業界トップのヤマハについで2位という。
見学会で商品企画について説明した同社住宅事業推進部商品開発部長・藤原 陽介氏は、「リビング天井高2.72mは4年前にオプションとして導入し、昨年に標準化したが、いまでは採用率は75%を超えている。今回は36㎝床面を下げることでシアタールームを3.08mにした。ドア高も2.72mとし、サッシ高も上下2つのサッシを組み合わせて大開口とした。防音室は、従来の〝狭くて暗く(価格が)高い〟イメージを払しょくする〝広くて明るく求めやすい〟を実現した」と話した。
また、同社横浜支社住宅事業部長・金田健也氏は、「今後はxevoΣなどの中高級の拡大と非住宅の拡販に力を入れて、戸建てでシェア№1を目指す。一棟単価は2年前と比べ約1,000万円高い約4.800万円に上昇した。天井高はモノサシの戦い。必ず他社が追いついてくる。スペック、コンサル営業に力を入れることがシェア№1を達成する唯一の方法」などと語った。
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ご存知のようにtvk ハウジングプラザ横浜は45社が出展する日本最大の住宅展示場だ。様式も和、洋、折衷、多国籍、無国籍何でもありで、形状もまるでルービックキューブ、レゴのようで、色彩といえば万国旗、満艦飾そのものだ。住宅展示場の集客力が落ちてきており、派手さで他社を出し抜こうという浅はかな狙いはエスカレートする一方だ。記者は訪れるたびに歌舞伎町の歓楽街(キャッチバーに捕まり多額ではないが少額でもないお金を払ったことがあり、それ以来足を向けない)や雄琴の温泉街(車中から眺めただけで行ったことはない)を思い出す。歩くのも恥ずかしくなるほどだ。だから住宅展示場は好きになれない。
取材を終え、このように考えながら歩いていたら、「牧田さん」と後ろから声を掛けられた。客引きではないかとビクッとして振り向くと、何と先日のRBA野球大会で決勝トーナメント進出を決めたS林業のYさんで、名字はまたかの遊郭街として知られたYと一緒。
馬鹿なことを考えていたからだろうが、グラウンドでのユニフォーム姿とは全く異なるYさんの美男子ぶりに記者は惚れ惚れした。毎年1,000名くらい参加するRBA選手とは比較にならないほど凛々しい。眉目秀麗とはこのYさんのような男のことを言う。プロ野球でいえば西武・金子クラスだ。Yさんのすごいのは、野球ができるということにとどまらない。本業でも同社の全国ベスト3に入る営業マンだと同僚から聞いている。(大和ハウスさんももっと野球に力を入れてほしい。ハウスメーカーではS林業にもSハウス、Aホームズ、Mホームなどに全然歯が立たない)
冗談はここまで。「平沼xevoΣ展示場」の外観はとてもいい。「えっ、このモデルハウスはS不動産の外観と〝そっくり〟じゃないの」これが記者の第一印象だった。ブラウン・セピア色の彫の深い軒先が特徴だ。
記者は木造ファンなのでここの展示場で一番好きなのはMホームの丸窓付きで、あとは機能性も加味してS不動産、Sハウス(2社とも)、S林業、I工務店などだ。地元密着で展開するN社も応援したい。それらと比べても今回のモデルハウスは引けを取らない。端正な姿が美しい。
そして最大の売りの一つであるリビング天井高2.720+80=2,800ミリだ。記者は結構これくらいの天井高を確保したマンション、戸建てを見学しており驚かないのだが、一般的な2,400~2,500ミリの住宅に住んでいる人は驚くに違いない。この〝㎥の価値〟をどれだけアピールできるかだが、これからは他社が追随するのは必至だ。
もう一つの売りの快適防音室「奏でる家」は、スグレモノであるのは間違いないが、記者自身あまり関心がないので正直よくわからない。
それより強調したいのは、2階バルコニーの吐き出し窓がフルフラットであることだ。これを標準化しているのは同社だけのはずで、これも他社が追随する動きにでると見ている。
一つ注文を付けるとすれば、天井の高さをわかりやすく体験できる工夫だ。2,800ミリのリビング天井高、1,800ミリの階段下書斎スペース、約4,000ミリのラウンジなどはそれぞれ独立型になっているが、これらを連続させて一体型にすれば、より高い天井高が体験できる。最近見学したポラスの分譲戸建ては2,700ミリのリビングと2,400ミリのキッチン・ダイニングとをスキップフロアにして、リビングの高さを一層際立たせていた。
藤原氏にこのことを伝えたら、「関西では連続性を持たせたものをつくっている」とのことだった。
自然素材を多用しているのも特徴の一つ。ホールには大谷石、リビングには石英、床はナラ、タモ材。このほかヘリンボーン、ナグリ仕上げもある。軒先は約3m。坪単価は135万円だそうだが、天井高、仕様レベルから判断して安いと記者は思った。