三井デザインテックは9月22日、職業能力開発総合大学校・橋本幸博教授とオフィス空間における植物配置の好ましさに関する共同研究を行い、その結果の概略を発表した。
調査の結果、観葉植物を天井面や側面に配した空間が高い評価を売るなど、オフィスの閉鎖的な作業スペースでは観葉植物によって良好な心理的効果が得られる一方、人工植物や過剰な植物量、あるいは不具合な配置にすると、心理面以外に作業効率にも好ましくない影響を及ぼすことが確認されたとしている。
また、「作業効率がよい」という評価を得るためには「集中できる」と「コミュニケーションが取れる」の両者が満足されている必要があることが分かったとしている。
実験は今年1月、同社内オフィス内に7つの異なるグリーンを配置した空間を作り、オフィスワーカー延べ42名を対象に、評価グリッド法を用いて実施した。
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調査研究の詳細は日本建築学会で発表されたので、興味のある方はそちらで確認していただきたい。プレス・リリースにはわが意を得た記述があった。「人工植物…作業効率にも好ましくない影響を及ぼす」という部分だ。
マンションのモデルルームや戸建てのモデルハウスには、例外なくいろんなところに観葉植物が配置されている。本物の植物は少なく、人工植物、つまり偽物が圧倒的に多い。そんなまがいものを見るにつけ、〝せっかくの商品企画が台無しになるではないか。品格を落とすもの〟と担当者に口酸っぱく言い続けてきたが、みんな右に倣え、改善される気配は全くない。
三井デザインテックの調査の「作業効率に好ましくない」文言はそのまま「販売促進に好ましくない」と言い換えられるはずだ。日に焼けて変色し、ほこりが被ったような食品サンプルが陳列されている店などに誰も入らないのと一緒だ。
イミテーションの観葉植物は即刻やめるべきだ。売れるものも売れなくなる。記者なら今が旬の秋の七草(絶滅危惧種もあるが)を道端や空き地で摘んできて飾る。お客さんは感動するはずだ。
蛇足ながらもう一つ。同社は「過剰な植物量」もまた「好ましくない影響を及ぼす」と言っている。吉永小百合さんが「フン、フン、フン」と歌えば鹿の糞も食べられそうに思えるが、三流役者がどんなに着飾っても道化師にしか見えないのと一緒だ。過ぎたるはなお及ばざるがごとし。これはマンションや戸建てのモデルルーム・モデルハウスにも該当する。