東京建物の子会社、誠愛苑は11月21日、東建グループ初の都内の介護付有料老人ホーム「グレイプスウィズ四谷」を11月23日開業すると発表した。
物件は、東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩5分、新宿区大京町に位置する5階建て全48室(定員52名)。専用面積は18.17~30.73㎡。利用権方式。前払方式を利用した場合、入居一時金は900万~2,100万円、月額費用(家賃・管理費・食費)は209,520円~384,520円。月払いを選択した場合の月額費用は約54万~57万円。共用部は食堂、ファミリーリビング、バーカウンター、ラウンジ、相談室兼応接室、健康管理室、喫煙室、2階ダイニング、機能訓練室、ビューティサロン、個人浴室など。建物所有者は東京建物、運営事業者は誠愛苑。施工は大末建設。
各フロアにラウンジ浴室を完備。廊下幅は1800ミリ。各居室に車椅子対応のトイレ、洗面、収納、介護用電動ベッドなどを備えているのが特徴。
東京建物グループは、東京建物シニアライフサポートがサービス付き高齢者向け住宅「グレイプス」を首都圏に15か所1,271戸、2014年に東建グループ入りした誠愛苑が有料老人ホームをさいたま市内に3か所167室をそれぞれ運営している。
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有料老人ホームは結構取材したが、介護付き有料老人ホームの取材は初めてだった。わからないことは書かないほうがいいのだが、前払いプランを選択したときの一時金の額に驚いた。坪単価は300万円をはるかに突破する。入居後3カ月で30%が、5年で全額が償却される契約だから、月額費用を加えると年間最大で実質的に1,000万円くらいかかる計算になる。
しかし、ホスピスの場合、月額100万円くらい掛かる施設もあると聞くから、妥当な額なのかもしれない。
ある同業記者が「都心だろうが郊外だろうが要介護度の高い人には関係ないのでは」と質問した。なるほどと思ったが、関係者によると本人以外にも親族の意向でこのような都心部の高級介護施設を利用するニーズもあるのだそうだ。
感心したのがバーラウンジだ。昔懐かしい〝だるま〟〝ジョニ赤〟などが棚に並んでいた。ショット売りではなく、近くにある酒屋から入居者(親族)が購入してボトルをキープして飲めるようにするのだという。その代わり、介助費用として1時間1,500円を負担するシステムになっている(ある同年代の記者はホステス料金と呼んだ)。胸やお尻に触ったらどうなるのだろう。介助費用に含まれるのか。
凄いと思ったのが、介護の資格も持つプロがグランドピアノの生演奏をすることだ。週に1回、音楽療法として入居者の誕生祝いなどに好きな音楽を演奏するのだそうだ。効果があるという。
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いま、この記事を書いていて、さらに驚いたことがある。何とある業界紙が「優良老人ホーム」という見出しを付けているではないか。記者は「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」の呼称はやめろと以前から主張してきた。「無料」の老人ホームなどあるわけがないし、「特別養護」もまた何が「特別」なのか意味不明。歳を取ればみんな身体、精神に異常を来す。「特別視」するのは差別だ。
しかし、さすがに「優良老人…」は書きすぎだ。暗に「不良」が多いことを意図的に匂わしているのかもしれないが、ブラックジョークがきつすぎる。(その記事を書いたはずの記者は同年代。ついに小生と同じボケが始まったか)。今年の流言飛語大賞にノミネートされるのは間違いない。