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2018/01/13(土) 18:15

業界とマンション適齢期に勇気 野村不「オハナ淵野辺ガーデニア」驚異的売れ行き

投稿者:  牧田司

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「オハナ淵野辺ガーデニア」

 野村不動産は1月12日、第一次取得層をメインターゲットにした〝オハナ〟シリーズで過去最大の「オハナ淵野辺ガーデニア」516戸が竣工したのに伴う報道陣向け見学会・説明会を行った。一昨年9月から分譲開始したマンションで、これまで未供給の16戸を除き484戸を成約するなど、〝郊外不振〟が喧伝される中で驚異的な売れ行きを見せている。

 「〝私でも買えるのか〟とナーバスに考えていらっしゃるお客さまが多い。そうした方々に対抗トークを当初は考えていたが、そうではなくて、このマンションを買えばどのような生活ができるか、ベネフィットをしっかり伝えることが肝心」と販売担当者は語った。業界とマンション適齢期に元気と勇気を与えるマンションだ。

 物件は、横浜線淵野辺・矢部駅から徒歩10分、相模原市中央区淵野辺2丁目に位置する第一工区298戸と第二工区218戸で構成される全516戸。専有面積は68.46~85.16㎡、全戸南向きで3LDKが2,400万円台~、坪単価148万円。施工は長谷工コーポレーション。敷地は小松建機の工場跡地。

 約1万本の中高木を中庭に植樹し、オハナシリーズでは初となるゲストルームを設置、入居者のコミュニティづくりを支援するプログラム「さくらキャンパス」を採用しているのが特徴。入居後の生活を圧迫するランニングコストへの不安を解消するため30年間原則一定の修繕積立金制度を導入している。

 契約者属性は、年齢は20代が13%、30代が46%と過半を占めるが、50代、60代も合わせると24%。年収は~500万円が43%、~600万円が22%、~700万円が14%。家族数は1人9%、2人43%、3人33%、4人14%。居住地は相模原市44%、横浜市18%、町田市8%、川崎市7%、その他23%。

 「オハナ」シリーズは、主に中堅デベロッパーの分野であった郊外型の第一次取得層向けマンションがリーマン・ショックで激減し、需要者の年収もどんどん下落したのを受けて、同社がその〝間隙〟を埋める形で2011年から分譲しているもので、これまで約6年間で全20棟・約4,000戸以上を供給している。

 マンション施工トップの長谷工コーポと連携し、シンプルな配棟・形状とし、プランもシンプルにし、〝ぜい肉〟をそぎ落とした設備仕様、自走式駐車場の採用などを徹底させることで、3LDKで3,000万円台に価格を抑制してきた。今後も年間コンスタントに700~800戸を供給していく意向だ。

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以上、マンションホームページから

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さくらキャンパス

◇       ◆     ◇

 記者はこれまで、〝オハナ〟シリーズを第一弾の「八坂萩山町」など10物件くらい見学している。2014年辺りまでは飛ぶように売れた。ところがマンション適地・建築費の高騰が顕著になりだした2015年ころから雲行きが怪しくなり、「オハナ北習志野」241戸などは完売まで3年近くかかったのではないか。長谷工コーポ・辻範明社長も「もう(価格の安い)オハナは供給できない」などとショッキングな話をした。

 今回の「淵野辺」が供給される前に、坪単価は150万円を切ることが業界内に伝わり話題になった。単価の安さには驚いたが、戸数の多さから記者は完売まで数年かかると思っていた(年間150戸契約できても完売まで3年4カ月)。

 ところがどうだ。全棟が竣工して残りは32戸(未分譲16戸含む)というではないか。郊外部では〝駅近〟でも年間せいぜい70戸くらい成約できればいいというのが今の市場だ。いくら単価が安くても駅から10分のマンションがわずか1年4カ月で500戸近くが売れるなんて夢にも思わなかった。

 同社がわざわざ竣工見学会を行ったのも〝オハナ〟堅調をアピールしたかったからに違いないが、これは同社だけでなく業界全体とユーザーを勇気づける快挙だ。(誰だ「マンションは『駅7分以内』しか買うな」と書いたのは)

 見学会では、間取りプランはともかく外構・中庭の植栽が見事だった。同社の記念碑的マンション「桜上水ガーデンズ」やその他の「プラウド」と比べてもそれほど見劣りしない出来だった。

 ほぼ同じ時期に竣工した「オハナ町田オークコート」310戸(坪単価173万円)は現在、契約率76%の進捗で好調に推移しているそうだ。

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◇       ◆     ◇

 見学会・説明会で心が痛んだのは、同社から配布された厚労省や第一生命経済研究所などのレポートだった。周知の事実ではあるか、少し紹介する。

 2000年以降、30代の平均収入は一貫して下落している。2000年の30代男性の年収は30代後半が580万円なのに対し30代前半は485万円、2008年のリーマン・ショックの年は後半が530万円で前半は453万円に下落し、2013年は後半が499万円で前半は438万円だ。前半と後半とではやや差は縮まっているものの60万円くらいの差がある。その一方で、一都三県のマンション価格はリーマン・ショック時を超え5,101万円(2013年)になっている。

 「子育てや教育にお金がかかりすぎる」との理由から子どもを持たない30歳未満の世帯は83.3%で、30~34歳は76.0%に達する。

 「老後の生活のための準備をしていない理由」は、「現在の生活だけで精一杯で、老後資金の準備のための余裕資金がない」が64.2%。

 子育て世代に必要な50㎡以上の賃貸住宅は約91万戸不足しており、東京23区の50~60㎡の平均賃貸家賃は15.25万円。(記者が問題だと思うのは、このように生活が苦しく、将来不安が大きいのに現在の生活に満足している若年層が多いということだ。ミレニアル世代の研究が進むことを期待したい)

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ライブラリー

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ラウンジ

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