吉野石膏・須藤永作社長は1月26日、石膏ボードの値上げを検討していることを明らかにした。「原材料はものによっては20%上昇している。それに人手不足は深刻で、(価格を抑制する)企業努力の限界を超えている。できれば値上げしたい」と、ナイスとナイスパートナー会連合会が合同で行った「平成30年新春経済講演会」のパネルディスカッションで語った。
その理由として配送コストの上昇を指摘。「運転手を募集しても集まらないし、採用してもすぐやめる。(ビルなどの)非住宅は問題ないが、アパート、戸建ては4トン車で運転手1人が運び、荷下ろしを行う。現場には大工さんなどがいても手伝ってもらえない。建築主に荷下ろしについて応分の負担をお願いしたい」と理解を求めた。
コーディネーターを務めたナイス・平田恒一郎社長に再度コメントを求められた須藤氏は「(エコ住宅に取り組んでいる)ナイスさんはエコひいきしたいが、(値上げの)話はさせていただく」と決意が高いことを示した。
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いったい戸建てなどの住宅にどれくらいの量・重量の石こうボードが使用されているのか、全体のコストに占める割合がどれくらいなのか全く知らないが、記者などは持ち上げられる重量はせいぜい20キロまでで、運ぶとすれば10キロが限界だ。
4トン車といえば、相撲取り(平均体重164キロ)にすれば約24人分だ。これだけの量と重さのある石こうボードを一人で荷下ろしするその労働が過酷なものであることは十分理解できる。
マンションなどと比べ戸建ての建築費は比較的安定して推移しているが、約85%のシェアを占める同社が値上げに踏み切れば他社も追随するのは必至で、他の建設資材に波及することも十分ありうる。
石こうボードは防火性に優れ、安価であることからあらゆる建築物に使用されている。