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2018/01/29(月) 11:34

本末転倒 傲慢なのは賃貸会社社長のコラム氏ではないか 「住宅新報」の記事

投稿者:  牧田司

 先日、同じ団塊世代の先輩社員が「牧田さん、このコラムどうですか」と1月23日付「住宅新報」を読むよう促した。

 それは、「不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽」というタイトルがついた、〝元官僚の傲慢さにあきれる 更新通知の度に訪問命令〟という見出しのコラムだった。以下、概略を紹介する。

 このコラム氏が社長を務める会社の管理するマンションに元官僚が住んでいた。更新時になると「そちらから来なさいよ」と元官僚が言うのだという。

 そして、コラム氏は想像をたくましくし、「このような横柄な態度は役人時代の習慣によるのだろう」と解釈し、「勤めていた頃はいつもふんぞり返り」「接待攻勢も受けていたことだろう」と言い切る。「特権階級意識を退職後まで持ち続ける役人は大嫌いである」と私憤をぶちまける。

 さらにまた、保険会社の代理店社長の女性から「更新通知が届いたけれど、こちらは家賃を払っているのだからそちらから手続きをしに来なさいよ」と高圧的に言われたことがあり、その仕返しであるのか、敷金精算時に家主負担か入居者に請求すべきか迷うものはすべてその女性に請求したのだと恐ろしいことを平気で書く。

 その一方で、「上から目線でものを言わず、せめて対等に接してくれれば言われなくても様々な便宜を図る」と、言外にこのコラム氏は優しいとほのめかす。

◇       ◆     ◇

 賃貸には興味がない記者はこれを読んで特段の感想はなかった。「こういう人もいるんですかね」と返した。すると、先輩社員は「これは本末転倒ではないか。お客さんのところに出向くのが当たり前」と鋭い一発を放った。

 「…ン」-この一言にやや大げさだが、まるで稲妻に打たれたような衝撃を受けた。鈍麻した記者の頭を揺さぶった。いっぺんに目が覚めた。「そう、仰る通り。訳が分からぬ礼金、更新料は徴収すべきではないというのが30年も昔からの私の主張」と口走っていた。

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 コラム氏は自ら〝不動産屋〟とわざわざタイトルに付けるように、〝不動産屋〟には八百屋、床屋とはまた違った意味が込められていることを承知の上で書いているはずだ。ならばこれはもう威風堂々の増上慢、夜郎自大、うめぼれ屋だ。

 「礼金」「更新料」などの時代遅れの商習慣にすがりつき、死守しようとするコラム氏のような賃貸管理会社が幅を利かせる限り、賃貸を脱出して分譲住宅を購入する人が後を絶たないという流れは不変だ。

 空き家820万戸の半分以上、関東都市圏に限れば65%は賃貸という現実を業界関係者はどう考えるのか。

◇       ◆     ◇

 私事だが、10数年前、埼玉の賃貸アパートに住む友人から相談を受けた。それまでの個人の管理業者からは「このご時世ですからね」と1カ月分の更新料は据え置きだったのが、その方が亡くなり別の管理会社に交代した後の更新時期に50%近い更新料の値上げを要求されたのだという。

 直情径行が過ぎるのが欠点ではあるのだが、記者はその管理会社に赴き、「更新料の徴収は時代遅れの商習慣。やめるべきだし、値上げするしないは貸し主、借主双方が話し合って決めるべき。一方的な値上げ通告は納得できない」とねじ込んだ。

 業者は「あなたのような方は初めて」と最初は拒否の姿勢を示したが、結局、据え置きにした。そのあと、礼金や更新料は徴収しないことと定めた東京ルールが施行された。(埼玉県はどうなっているのか知らない)

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 賃貸借契約において「礼金(key money)」「更新料(renewal fee)」なる訳の分からない商習慣をやめよという記事はこれまでも書いてきた。中国や韓国には「礼金」「更新料」なる概念がそもそもない。「key money」やら「renewal fee」などと英語に訳したところで、通じるのか。そこで、賃貸管理に詳しい業界の方に聞いてみた。次のような返事が返ってきた。ほぼ全文を紹介する。

 「礼金は日本でも首都圏だけだと思います。大阪は敷引きでいまでも数カ月分取っていると思われます。東京(都心部)はマーケットの状況に左右されるのが実情です。ここ数年は7割以上で礼金1カ月は取れている貸し手市場です。礼金2カ月で募集しているところもあります。一方、外国人エキスパッツ向けなど超高額帯は募集時に礼金はないのが一般的です。逆に、借り手市場の時は礼金なしにするキャンペーンが盛んに行われます。
 よって、訳の分からない商習慣というのは言い過ぎだと思います。もともと住宅供給が少ない時代のお礼というのが由来です。今の『供給<需要』のマーケットは言ってみれば同じ状況です。そして結果的には市場で受け入れられているのが現実です。
 礼金がない世の中になれば、借り手は借りやすくなります。借りやすくなれば、転居が増え、経済活動が活発になりますね(仲介、引っ越し、家具等の業者も潤います)。なので、立場的には礼金なしは賛成です。貸主業での考え方は真逆です。取れるものは取りたいということです。
 次に更新料はなんとも言えないです。借り続けてもらえるのはどちらにもメリットありです。なのに借主側はなぜ更新料を払わなければならないのか…と思います。更新料を取るならその分で何かしらのリニューアルをするのが本来の筋だと思います。外国人はこの辺はしっかりしています。権利主張ですね。更新時の賃料増減やマーケット相場にも連動することがあるので、そもそも絶対ではないと思います。例えば更新料ナシになるなら更新しますと言う具合です」

 

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