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2018/02/02(金) 11:49

〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業

投稿者:  牧田司

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「MIMARU 東京 上野NORTH」

 コスモスイニシアは2月1日、〝暮らすように滞在する〟をテーマとした新ホテルブランド「APARTMENT HOTEL MIMARU(アパートメントホテル ミマル)」の第一弾「MIMARU 東京 上野NORTH」のメディア向け内覧会を行った。

 新ブランドは、増加する外国人旅行者の約6割は家族・親族・友人などのグループで訪日している一方、グルー プでの宿泊に対応した40~50㎡のアパートメントホテルは少ないことに着目。敷地面積が100坪、客室数が40室程度確保できれば、同社のこれまでのレジデンシャル事業やソリューション事業のノウハウを生かし、飲食設備を設けないことでオペレーションコストを抑制し差別化が可能になったことから参入した。

 同社が土地を取得・建設・所有するほか、オーナーの土地有効活用として提案していく。昨年設立した子会社・コスモスホテルマネジメントが運営・管理するほか、「ソーシャルアパートメント」を展開するグローバルエージェンツなどと提携する。一定期間運用したのちファンドなどへ売却する意向だ。

 ブランドロゴは世界の「世」の異字体「卅」をモチーフにしており、「MIMARU」は〝みんなで泊まる〟意を込めたもの。

 東京・京都・大阪を対象エリアに積極的に開発を進めており、現在、17棟878室が開発中で、「赤坂」(40室)「水天宮」(32室)「京都堀川六角」(42室)「京都新町三条」(69室)など今後続々開業する。2020年までに1,500室の稼働を目指す。

 内覧会で同社・高木嘉幸社長は「2018年度を最終年度とする中期経営計画は順調に進捗しており、4期連続増収増益を達成できる見込み。ホテル事業は、新たな投資枠を設定せずともこれまでの分譲と同じノウハウが生かせ、圧倒的な競争力があるのが強み。参入障壁が低くて追随するところがあるかもしれないが、先行者利益で優位に立てる」などと話した。

 コスモスホテルマネジメント・藤岡英樹社長は「コンバージョンは工期が短くて済みコストも抑えられるが、窓が確保できないなど適合する案件は少ない」とも語った。

 「MIMARU 東京 上野NORTH」は、上野駅から徒歩8分、台東区上野7丁目に位置するオフィスビルをコンバージョンしたもので、2月8日にオープンする。敷地面積407.66㎡、8階建て全40室。客室面積は約34~60㎡、4~8名の定員制で、人数に関わらず同額のルームチャージとする。4名定員で宿泊料は2~3万円の後半(平均3万円前後)。ミニキッチン、調理器具、レンジなどを備え、スマートフォンの貸し出しを行う。共用部にはランドリーを設置している。2月の予約状況は約6割、うち9割が外国人。

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高木社長(右)とコスモスホテルマネジメント・藤岡社長(藤岡社長の法被がとてもよく似合っていた)

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フロント(左)と本物の子ども神輿

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組子デザインが美しいエントランスラウンジ

◇       ◆     ◇

 いくつになっても初めて経験するものはワクワクドキドキ緊張するものだ…小学校の入学式、ひげが生えたとき、タバコを吸い、酒を飲んだとき、革靴を履きネクタイを絞めたとき、ファーストキス・初体験、求婚のとき、子どもが生まれたとき…。

 この日、高木社長は「アパートメントホテルは欧米ではどこにでもある施設」と話したが、中国とモンゴルしか行ったことがない記者は初体験であることに変わりはない。小学校の遠足のように見学を心待ちしていた。

 もちろん、記者の取材フィールドはマンションだから、〝究極のマンション〟であるホテルはリッツを筆頭に名だたるラグジュアリーから旅館、民宿、バンガローに禅寺、宿泊特化型にビジネスホテル、ラブホテル、カプセルホテルまであらゆる形態のホテル・旅館に泊まっているし、賃貸アパート、寮・社宅、外断熱モデルルームに全館空調モデルハウス、さらには特養に有料老人ホームなども体験している。零下30度のモンゴルではパオで厚いもてなしを受けた。宿泊経験はないがシェアハウス、サービスアパートメント、サ高住の取材もそれなりに行ってきた。

 泊まったことがないのは刑務所とアパホテルくらいだと思っていたら、記者のはるか上をいく剛の者がいた。わが高校同窓の後輩女性記者だ。

 「ダッカのホテルはものすごく高かったけど、バングラディッシュの田舎で150円(ドルではない)の監獄のようなホテルに泊まったことがあるわよ。ベッドとトイレ、桶(おまるか)があった。シャワーはなかったような気がする。冷暖房? あるわけないでしょ。怖い? 全然平気。ゲストハウス、ドミトリーも知ってる。それらと今回のホテルを比べるのはどうかと思うけど、これはもう最高、天国のよう」とのたまうではないか。

 記者はというと、やはりラグジュアリーが念頭にあるものだから、浴室・トイレの段差(約20㎝)、家具・什器、アメニティ、シート張りの浮造りアート、擬石の大谷石カウンターなどを見るにつけ〝ビジネスホテルを広くしたようなもの〟に映った。ベッドが4床もあるのに違和感を覚えた。

 それもこれも、〝ホテルは一人か2人で泊まるもの〟という固定観念があり、家族・友人などグループで泊まる外国人の生活スタイルや利用目的が全然見えていないからだという意識はあった。

 そうしたもやもや感に断を下した同業の記者がいた。「訪日客はオリンピック後も間違いなく増加する。このような施設は一定の層には理解されるはず。太いニッチ」と語った。

 なるほど言いえて妙だ。この言葉をそのまま頂いて「骨太ニッチ」と形容したがどうだろう。

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客室

 

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