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2018/02/07(水) 14:31

至れり尽くせり… 子育て支援の大規模賃貸 三井不「柏の葉キャンパス」491戸完成

投稿者:  牧田司

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「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト」

 三井不動産は2月6日、子育て世代応援型の大規模賃貸マンション「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト」のプレス説明会・内覧会を行った。

 物件は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩3分、柏市若柴の柏の葉キャンパスシティ内に位置する36階建て全491戸。間取りは1K~3LDK(26.28~89.45㎡)。賃料はDINKS世帯向けの2LDKタイプで坪単価10,000円前後(管理費込)。施工は熊谷組。デザイン監修は光井純&アソシエーツ建築設計事務所。建物は2018年1月に竣工済み。近く入居が始まる。

 建物は免震の分譲仕様で、365日無休で夜間・休日診療を行う小児科クリニックが入居するほか、天然温泉、スタディルーム、フィットネス、ワインセラーなどの共用施設が付き、病児も受け入れ、夜間保育も実施し、学校や塾への送迎も行う認可外保育園が入居する。

 同社の柏の葉街づくり推進部部長・加藤智康氏は「柏の葉キャンパスでは環境共生、健康長寿、新産業創造の3つをテーマとした街づくり(=スマートシティ)を進めているが、今回の賃貸マンションでは社会課題になっている子育て支援について解決策を提案した。このような物件は〝わが国初〟と言いたかったが、データがなく言い切れなかった」と話した。

 募集は昨年末から開始しており、いまのところ申し込みは数件にとどまっているという。至れり尽くせりの充実ぶりに見学者からは歓声やらため息やらが漏れた。

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エントランス(左)とコンシェルジュカウンター

◇       ◆     ◇

 大規模賃貸マンションの見学は10年前の「芝浦アイランド・エアタワー」以来だ。「芝浦」は平均月額賃料が坪14,200円で、億ション仕様だった(今の億ション仕様とは比べものにならないほどレベルが高かった)。

 なので、単純比較はできないが、至れり尽くせりの子育て施設には唖然とした。レンタブル比は70%ということからもケタ違いの住宅・施設であることが分かる。その一つひとつを書き出せば400字原稿用紙で5枚くらいに達しそうなので最小限にとどめる。

 まず、各住戸のプラン。見学した間取りは47㎡(管理費含む賃料は157,000円)、59㎡(同193,000円)、70㎡(同212,000円)で、いずれもワイドスパン。70㎡のプランは、母親(あるいは父親)が乳児と一緒に寝られるようなベビーベッド付きの8畳大の洋室と、夜泣きに悩まされないでぐっすり眠ることができる4.6畳大の洋室が設けられていた(記者などはいつも川の字に寝て、夜中に飛び起きて、哺乳瓶を煮沸し、人肌まで冷やすのが日課だった。おしめはアイロンがけまでしたことがある)。

 シニア入居を想定した59㎡もよくできていた。設備仕様レベルは〝パークホームズ〟よりやや低いと見た。

 共用施設では、やはり一度にそれぞれ約30名が収容できる男湯・女湯の天然温泉がいい。朝の6時から10時まで、午後の2時から夜中の1時まで利用できる(忙しい主婦は夜10時まででは入れないとの声あり)。以前は温泉付きの分譲マンションがかなり供給されたが、最近はコスト・維持費がかさむためかほとんどなくなった。

 ワインセラーは飲む質(金額)と量にもよるが、35本収納で月額5,000円は高いか安いかは不明(記者なら数本分の金額。昔、数万円もしそうなワインを貰い、いつか飲もうと大事にキッチンの収納にしまい込んだまま忘れてしまい、いざ飲もうと思ったらコルクが壊れ飲みそこなった苦い経験あり)。

 3階のワンフロアに集約された保育施設は、これまで見た施設とあまり変わらなかったが、7:00~22:00(7:00~8:00、19:00~22:00は予約制)の保育時間、病児保育(記者はタクシーを呼んで1万円くらいかけ義妹にあずけたことが何度もあった)、14:00~22:00(19:00~22:00は予約制)の学童保育、階下でこどもを遊ばせ上階で仕事などができる「チコル☆ワーク」(記者は子どもをスイミングに通わせたときは、喫茶店に入って本を読む時間にしていた)、予約制で帰宅時に受け取り、そのまま食卓に並べられる総菜サービスの「チコル☆デリカ」などはとてもいいと思った。

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「チコル☆保育園」

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「チコル☆パーク」(左)と「チコル☆ワーク」

◇       ◆     ◇

 いいことづくしだが-地獄の沙汰も金次第、やはり先立つものが心配だ。一緒に見学していた3人の子どもがいるという女性記者は「全てふっくるめて30万円はかかるわよ」とつぶやいた。

 なるほど。保育園「チロル☆保育園」はマンション入居者を優先して受け入れることなどから「認可外」なので入園金は70,000円(3歳児以上)~100,000円(0歳児)と高く、学童向けの「チコル☆アフタースクール」は週2プランでも20,000~30,000円だし、多目的に利用できる「チコル☆シェア」も60分で平日は1時間3,500円かかる。

 2012年に発表された2050年の未来像をうたい上げた「環境未来都市提案書」には、「柏の葉キャンパスの子供たちは、語学ばかりでなく国際的なリーダーシップの取れる人材として育ち、臆することなく世界へと飛躍し活躍する者が多いため、そのような環境を求めて、世界各国から移住してくる家庭も多い。また彼らはやがて柏の葉キャンパスの地に戻り、新たに若者を育てるなど、スパイラルアップの人材育成環境が根付いている」とある。こうした子どもたちを育てるにはお金もかかるということか。

 「チコル☆保育園」を運営するのは千葉県柏市・松戸市・流山市を中心に保育・病児保育事業を展開するマザープラネットで、藪本敦弘社長によると「流山市も柏市も機児童は解消されていない」そうだ。

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天然温泉(女湯)

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 他にも考えさせられたことがある。一つは「認可外保育」という言葉だ。この種の法律言葉は「特別養護」「有料(優良ではない)老人ホーム」「サービス付き高齢者向け」「後期高齢者」「生活保護」などもあるが、よくよく考えると訳が分からない。法律の枠外だと〝劣悪〟をイメージさせるが、今回の保育園でも法律の規制が先進性、自主性を阻んでいることがたくさんあることを学んだ。

 一方で、子育て支援のニーズの高まりの中で、当の「保育士」などの働き方改革はどうなるのだろうと心配もした。

 もう一つは、前出の加藤氏は「われわれは女性と男性を区別・差別しているわけではない」と否定したが、「仕事と子育ての両立」は、女性のみを念頭に置き、かつ対象にして論じているのではないかということだ。

 主夫を約10年間やったことがある記者の経験からして、男性こそ「仕事と子育て・家事の両立」を目指さないと問題は全然解決しない。時短は言うまでもなく有休、フレックス、テレワーク、みなし労働制などを効果的に運用して、働く女性に過度の負担がかからないようにすべきだ。

 さらにもう一つ。「育・住近接」について。この言葉はリクルートがつくったものだが、似たようなものでは積水ハウスなどが取り組む「育・住・医」がテーマの「江古田の杜」がある。昔は「職・住近接」が流行った。目指すべきは「育・職・住近接」だ。

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風除室の壁面緑化(本物とフェイクを使い分けてある。風除室に本物の壁面緑化を施すのは立派だが、どうしてフェイクと併用するのか、これがよくわからない)

賃貸マンションの概念を変える「芝浦アイランド・エアタワー」(2007/3/8)

「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)

 

 

 

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