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2018/02/22(木) 09:18

「女性には体内マーケがある」〝業界のレディ・ガガ〟タカラレーベン高荒氏

投稿者:  牧田司

 当欄既報のタカラレーベンが銀座に開設したコンパクトマンション常設サロン「SALON DE NEBEL」の記事の中で、コーディネートを担当した同社取締役執行役員営業統括グループ統括部長・高荒美香氏を〝業界の革命児〟〝レディ・ガガのよう〟と書いた。

 高荒氏からクレームが付くかと思ったら、そのまま通った。記者は音楽などまったく解さない。カラオケで歌えるのは三波春夫か小椋佳の5曲くらいしかない。ひどい音痴だ。

 レディ・ガガだって知っているわけではない。あの度肝を抜く衣装と圧倒的な表現力にただただあきれ返るだけだが、一方で社会貢献活動に熱心なのに感服している。

 高荒氏に最初に会ったのは7年前だが、強烈なオーラを感じた。そのときの印象を今風に言えばレディ・ガガそのものではないかと。

 そこで、記者の記憶に深くとどめるためと、もう一つ、あること(本当はこちらのほうに狙いがあるのだが、いまは言えない)の同意を得るためにインタビューを申し込んだ。高荒氏は快く受けてくれた。以下、高荒氏と記者のやりとり。( )内は記者。

 (素敵な洋服ですね。ゼブラ柄の。普通の女性社員は着ませんよね。わたしも、今日はレディ・ガガさんと同じ高荒さんにお会いするので、ほら、このネクタイ、わたしの好きな画家の絹谷幸二さんがデザインしたネクタイです。この前、大阪に行ったときに積水ハウスさんの「絹谷幸二 天空美術館」に寄って買ったんです。昔も同じものを買ってボロボロになるまでいつも身に着けていました)

 「素敵ですね!良くお似合いです。わたしのは、そうですね、ゼブラ柄ですね。たしかに普通の女性とは少し違うかもしれないですね」

 (高荒さん、最近、御社の真似をするデベロッパーがずいぶん増えてきました)

 「承知しています。ただ、伝えたいのが〝好き勝手やってる〟と思われている様ですが、個人的趣味で自由にしている訳ではないです。きちんとリサーチし、ストライクゾーンのど真ん中で勝負しています。女性には、男性にはない体内マーケティング能力があると思います。だから流行は女性から作られると言われるんです。綺麗とか好きとかかわいいとか、これは流行しそうだとか時代の流れを身体で敏感に受け止められるんです。女性の感性を侮っちゃいけない。調整力だってちゃんと持ち合わせています」

 (なるほど、わたしも最初に見学した「巣鴨」は〝好き勝手〟やっているとそう思いましたが。あのナイフとフォークのシャンデリアにはびっくりしました)

 「あのナイフとフォークだって、当時、あまり話題にもなっていなかったトーヨーキッチンの青山のショールームで見て、これだと思い採用したんです今ではキッチン業界の革命児ですよ!流行るものを世間の5年くらい前にみつけちゃうんです私・・・・・・!」

 (そうだったんですか。確かに。トーヨーキッチンはいいですよね。わたしもショールームをみてびっくりしました)

(嫌な言葉ですが、「女性活躍」についてはどうですか)

 「女性活躍? できていないと思います。男性と対等に働くとしたら、それこそ腹をくくって5倍、10倍働かないときつい。男性もまた女性がずっと働くことを期待しない、よしとしない雰囲気を漂わせ、それを女性が感じ取ってしまう側面もあります」

◇       ◆     ◇

 高荒氏が「男性と対等に働くとしたら、それこそ腹をくくって5倍、10倍働かないときつい」と話したことについては、別の機会に書く。「女性活躍」なる言葉はいつの間にか「一億総活躍」に代わり、問題の所在、核心がぼやけてしまったが、記者も勝間和代氏のように、髪を振り乱して男勝りの八面六臂の四面楚歌の活躍をするのが「女性活躍」だとは思わない。

 今回のインタビューの目的も「女性活躍」ではない。同社のマンションの商品企画を劇的に変えた高荒氏とはどのような人で、変わる前はどんな会社だったかを紹介するためだ。

 ご存じない方もいらっしゃるはずだから、少し同社のビフォアについて書く。記者は同社が板橋区中板橋に本社を構え、社名が「宝工務店」だったころからずっと取材してきている。30数年前からだ。

 創業社長(当時)の村山義男氏(現取締役会長)は、馬主としても知られており、1986年のマイルチャンピオンシップの優勝馬タカラスチールなどたくさん競走馬を所有していた。(不動産業界の馬主は、大京の創業者・横山修二氏、元興和物産社長・梅崎敏則氏、元リテック・コンサルタンツ社長・齋藤敏博氏、富士開発会長・小尾洸氏などがいる)

 馬主だから派手な格好をしていると思われがちだが、村山氏は全然そうではない。ごく普通だった(私服のときは、黒い襟のシャツに黒いネクタイなどを締めてダンディな格好をしていたが)。

 もう時効だから書く。同社が池袋に本社を移転し、JASDAQに上場したあとだから15年くらい前か。社長室で歓談し、昼食時になったので幕の内弁当をご馳走になり、一緒に食べた。これまたごく普通の弁当だった。内心〝上場会社の社長になったのにこんなものを食べているのか〟と思ったが(意外とデベロッパーの社長は粗食が多い)、何より驚いたのは村山社長がものの5分くらいで平らげたことだ。食べるのが遅い記者は社長にペースを合わさないと失礼だと思って必死に食べたが、それでも20分くらいかかった。

 そんな社長だ。〝良きに計らえ〟というタイプかもしれない。今の島田和一社長も、村山氏と苦楽を共にしてきた方だ。全然派手ではない。タカラレーベンのイメージも会長、社長そのものだ。

◇       ◆     ◇

 そんな同社のイメージを高荒氏は劇的に変えた。それが7年前の同社初の高額マンション「ディプティエレメンツproject」だった。「全て女性が担当した」と当時の島田副社長に勧められて見学した。その時の記事に次のように書いた。

 「責任者は同社に入社9年目の第4営業部次長兼第4営業部1課課長の高荒美香さん」

 「販売事務所もモデルルームもかなりこだわりを見せたものだ。カラーリングはシルバー、グレー、黒などで統一。商談の机はステンレスシルバーで、引出しの中底も黒だった。電卓はゴールド。花瓶は中東によくありそうな曲面が美しい黒。壁は「アルハンブラ」の建物をイメージさせるクロス。収納の把手は鋳物製で、ドアの把手も…『スワロフスキー』を思わせる細工がされたものだし、 シャンデリアは、ナイフとフォークをデザイン処理して吊り下げたものだった」

 「高荒さんのスーツも黒で『それも意識して着ているのか』と聞いたら、『これは会社の制服ですから。普段は黒ばかり着ているわけではありません』とのことだった。爪にはネイルアートが施されていた」

 話が飛ぶ。マンションや一戸建ての販売事務所、モデルルーム・ハウスに観葉植物はつきものだが、なんとフェイク(偽物)が多いことか。せっかくの本物の突板が台なしだ。「画竜点睛を欠く」意味をよく考えてほしい。

 高荒氏が100円ショップで買ったナイフとフォークでシャンデリアを作ったら、それはそれで称賛されるかもしれないが、来場者に「これって、トーヨーキッチンのものですよ」と話す場面を考えていただきたい。これだけで来場者は感激するはずだ。マンションも一戸建てもある意味では「感動を売る」商品のはずだ。

 話が右往左往して申し訳ないが、〝業界の革命児〟〝レディ・ガガのよう〟と高荒氏を評したのは我ながら的確だと思う。感性は好き勝手で体得できるはずはない。レディ・ガガも大変苦労されたようだ。

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