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2018/02/22(木) 12:50

マンションは愛だ 中四国・九州 最高階数の地所レジ他「hitoto 広島The Tower」始動

投稿者:  牧田司

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「hitoto 広島The Tower」(左右の樹木がアメリカフウ)

 三菱地所レジデンスは2月21日、中国・四国・九州地区で最高階数となる広島大学本部跡地の53階建て免震タワーマンション「hitoto 広島The Tower」のプロジェクト発表会・モデルルーム内覧会を行い、モデルルームを2月24日(土)にオープンし、4月上旬に販売開始すると発表した。

 物件は、広島電鉄宇品線日赤病院前電停より徒歩5分、広島市中区東千田町1丁目に位置する19,869.35 ㎡の53階建て全665戸。専有面積は55.04~143.78㎡、価格は未定だが、80㎡台で5,000万円台(坪単価200~210万円)の予定。設計監理は三菱地所設計。施工は前田建設工業。竣工予定は2020年4月下旬。

 現地は広島大学本部跡地で、広島市と広島大学が行った「知の拠点」をテーマとした公募型プロポーザルに応募した4グループの中から選定されたプロジェクト。事業主は同社のほか三井不動産レジデンシャル、菱重プロパティーズ、トータテ都市開発、広島電鉄の4社。

 全体敷地約3.8㏊にマンションのほか学生・留学生向け賃貸住宅、学生の就職・アルバイト・ボランティア活動支援窓口、ベンチャー支援オフィス、スポーツクラブ、病院、シニア向け住宅などを整備する。総事業費は約300億円。

 マンションは隣接する約30,000㎡の公園と一体として開発し、タワー形状にたことから空地率70%を確保し、37タイプの多彩な住戸プランを北東向き、南東向き、南西向き、北西向きにバランスよく配置しているのが特徴。環境に配慮したランドプランによりいきもの共生事業所認定証(ABINC認証)を取得したほか、openA監修による共用棟を整備、共用施設の充実も図っている。

 プロジェクト発表会で同社広島支店長・小玉英司氏は「広島市の昨年のマンションマーケットは供給量が約1,800戸で予想より15%下回ったが、坪単価172万円、平均価格4,030万円はほぼ前年通り。当プロジェクトは〝広島で一番愛されるマンションにしよう〟というのが基本コンセプト」と〝愛〟に力を込めた。

 これまで約1,600件の反響があり、3月中旬までモデルルーム見学予約は満席という。

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響生の森

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コミュニティプラザ

◇       ◆     ◇

 広島のマンション・戸建ての取材は今回で3回目。まったくの素人だが、それなりに感じたことを述べる。

 驚いたのは、30名はいたと思われる取材記者の数もさることながら、発表会の前後に拍手喝さいが沸き上がったことだ。まず首都圏ではありえない。司会を務めた同社・U氏の男前にほれ込んだのだろう。

 感動したのは、やはり小玉氏やその他の関係者が何度も「愛されるマンション」と「愛」を語ったことだ。今年の年初、大和ハウス工業がTVCMで「流通に愛(AI)を」謳ったが、今度はズバリ「愛」だ。

 記者のモットーは〝記事はラブレター〟。〝返しのない愛ほど悲しいものはない〟と言ったのは確かレーニン。取材のお礼も兼ねてたっぷり「愛」を込めて返そうと考えた。

 そこで一発。「これまでの広島のマンションは愛がなかったのか」と質問した。小玉氏は明確に示さなかった。当たり前だ。〝これまでは愛がなかった〟と答えたら、同社も同業他社も袋叩きにあう。小玉氏は記者の挑発に乗らなかった。

 が、しかし、高さが中国・四国・九州最高階数の免震で共用施設の充実を図り、他の複合施設と合わせ「知の拠点」を作ろうという熱意は十分伝わってきたし、ワイドスパンのプランがいい。

 モデルルームは3タイプで、直床だが標準階の天井高は2500ミリ(50階以上は2600~2700ミリ)、ディスポーザー、食洗機、浴室シャワーの2か所スライドバーなどが標準。億ションタイプは小上がりの和室提案をするなどよくできていた。

 広島を愛するが故の異議も申し立てたい。マンション敷地内には既存樹のアメリカフウ(モミジバフウ)の高木19本を残す計画だが、「アメリカ」の言葉を聞いた途端、むらむらと反米感情がこみ上げてきた。その名の通りアメリカフウはわが国の在来種ではない。よしんば戦前から植えられていたとしてもあの原発で死滅したはずだ。戦後、アメリカから持ち込まれたのはほぼ間違いない。

 アメリカフウに思想があるわけではなく、三菱地所にも責任はないが、寄りにもよってなぜ広島の「知の拠点」広島大学に植えられたか(先日、ポラスの北越谷取材では、宮内庁「鴨場」にメタセコイアが植えられていたのと同じ)。市民感情を逆なでするものではないか。

 腹の虫がおさまらない記者は、取材の後、原爆記念館を訪れた。修学旅行で長崎の原爆記念館を見たときはとめどもなく涙が流れたのをよく覚えている。今回もまた慰霊碑をみたとたん景色がぼやけた。

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慰霊碑

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原爆ドーム

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資料館(外国人の姿が目立った)

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被爆した少年の学生服

 平和記念公園内には被爆したアオギリとハマユウが植わっていることは、資料館で自ら「原爆二世」と名乗った女性スタッフから聞いていたが、予想した通り外来種の樹木はほとんど見当たらず、圧倒的に多いのはクスで、ほかはマツやケヤキ、サクラなど普段見る樹木だった。

 原爆ドームを見て、外来種がないことを確認して資料館に戻ろうとしたときだ。それまで気が付かなかったカイズカイブキが異形の形で迫ってきた。数十本もの「きのこ雲」が一斉に〝わたしを忘れないで〟と呼び掛けてきた。息が詰まりそうになった。

 先の原爆二世の女性にまた聞いた。彼女は「職人さんによると特別の意図はないと話しています。管理する市も問題視していないようです。きのこ雲に見えました? 父? 鬼畜米英と罵った世代です」と笑った。

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被爆アオギリ(左)とハマユウ

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カイズカイブキ

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ヒマラヤスギ

 取材を終え、タクシー乗り場の近くにある喫煙所でタバコを吸った。その傍には在来種ではない差し渡し1mはありそうな「ヒマラヤスギ」が植わっていた。資料館でコピーしたピース・ボランティアの恵美勇作氏による「平和記念公園の樹木マップ-寄贈樹・記念樹・被爆樹篇-」には昭和32年に広島を訪れた「ネルー首相より贈られた記念樹」として「ヒマラヤスギ」が紹介されており、「私は心から皆さんに共鳴して戦うつもりである…私は『ヒロシマに学べ』と世界に訴える…九日間の滞在スケジュールのうち、広島訪問の一日が特にネルー首相の要望で組まれたという」と述べている。

 駅に向かうタクシーの中で、「オバマさんはたった30分しかいなかった。市民との交流もなかった。警備の異様さにびっくりした。あのときもオバマさんは核のボタンを持っていたはず。日本がまだ植民地であるような気分にさせられた」と運転手さんが語った。

 パンフレットが入った紅白の紙袋の「赤」は三菱地所の赤ではないので、赤ヘルと一緒かと駅で聞いた。カープ女子は「そうかも」と話したが、おじさんたちは首を傾げた「もっと明るい」と。お土産に「カープの鯉人」のお菓子を買った。広島頑張れ! 

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手前の紙袋はカープのレッドか

◇       ◆     ◇

 駅前では現在、住友不動産が2016年12月に入居が始まった免震の52階建て「シティタワー広島」513戸(非分譲42戸含む)を分譲中で、坪単価は300万円近いが9割が契約済み。契約者は6割が経営者・医者・弁護士で、50歳代以上の層が過半を占める。地所のマンションに抜かれるまではここが最高層だった。

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本屋に了解の上撮った広島カープコーナー(お菓子から塩まで売っていた)

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「シティタワー広島」

 

 

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