三菱地所レジデンスは4月27日、シェアハウス開発の第一弾「ザ・パークハウス レックス 永福町」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。
物件は、京王井の頭線西永福駅から徒歩7分、杉並区大宮2丁目に位置する敷地面積約1,626㎡の東日本電信電話が所有する築38年(1980年築)の元社宅。鉄筋コンクリート造2階建て全30室。専用面積は19.76㎡。三菱地所レジが転々貸人となり、オークハウスが運営する。入居開始は4月1日。
月額賃料は一人入居の1階12戸は9.8万円(共益費込み)で、全て申し込み済み。2階の2人入居も可能な2階18室は12.8万円(同)で、これから募集を開始する。いずれも期間9カ月の定期借家契約。
アーティストなどモノづくりが好きな人向けに作業所や器具を備えているのが特徴で、申込者は20~30歳代が中心。外国人が約半数。地方からの申し込みもあるという。アーティストも数人いるという。
同社Reビル事業部長・鶴見弘一氏は、「古いビルなどの再生に取り組むReビル事業を4年前に開始し、2年前に独立させた。これまでオフィスは8棟、住宅は2016年の『東陽町』に続いて2号目。社宅を再生・活用するのにもっとも有効だと判断して今回はシェアハウスを選択した。近く19室の『駒込』でも竣工させる。Reビル事業部全体では現在の貸床面積約11,000坪を2020年度までに25,000坪に拡大する」と話した。
運営を担当するオークハウス会長・山中武志氏は、相次ぐシェアハウスのトラブルについて実名を上げながら、「わたしは3年前から警鐘を鳴らしてきた。この業界には詐欺師も多い」と話し、「当社は業界の先駆け。わたしがつくった。今はソーシャルレジデンスとして、住まいを通じて楽しみ、学び、成長する機会を提供している。古代ローマのコミュニティの中心だった広場『FORO(フォロ)』を物件名に冠している」と語った。
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見学会の案内が届いたときからこの日を楽しみにしていた。案内には事業説明者として「Reビル事業部長・鶴見弘一」とあるではないか。同姓同名もあるかもしれないが、すぐ鶴見氏はかつて三菱地所野球部の黄金期の主砲だった鶴見氏だと確信した。
その通りだったので、久々にお会いし、偉くなったのが自分のことのように嬉しくなった。野球部のメンバーが事業責任者になっている例では、常盤橋開発部長・平井幹人氏がそうだし、「東陽町」のリノベでもお会いした同社資産活用室兼メックecoライフ常務取締役・明嵐二朗氏(当時)もそうだ。
しかし、当時の主力が偉くなるのに反比例して、チームは下降線の一途だ。今日(27日)のRBA日曜ブロックの決勝戦は三井不動産-三井不動産レジデンシャルだ。〝三井の独走〟を許していいのか。
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シェアハウスについて。トラブルが続発し問題になっているようだが、被害者になられた方は気の毒というほかない。記者は30年くらい昔か。当時、シェアハウスではなく、ゲストハウスを見学したことがある。そのうちの1軒は戸建てで、〝たこ部屋〟と呼べるような劣悪な〝施設〟とも呼べないような代物だった。火事が起きたらどうするのか、犯罪の温床にならないか、こうやって若者は根無し草になるのかと心配した。
ここ近年は、メディアも学者先生もシェアハウスをもてはやした。記者はよく知らないので冷ややかな目で見ていた。この日、山中氏は独演会のように問題を指摘した。まさに玉石混交の世界だと改めて思った。
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この日見学したシェアハウスの至るところに数十点にも上る絵画などが飾られていた。入居者が制作したものもあったようだ。値段もついていた。中にはオークションにかければ10万円くらいの値が付きそうな作品もあった。
そのアーティストの一人「ギャラリー&サウンドバル ゲルニカ」の鈴木健司氏が製作した作品も見せていただいた。
ピカソの「ゲルニカ」にヒントを得た作品も描かれたと聞いた。そのほか、マティスやムンクを彷彿とさせる絵画が掛かっていた。
そういえば、ピカソは「剽窃の画家」と呼ばれた。「模写」でも「模倣」でもなく、名画をヒントに独自の世界観・魂をキャンパスに込めたから感動を呼んだ。
「ザ・パークハウス レックス 永福町」の入居経験者のなかから著名な画家が誕生するかもしれないと思っただけでまた楽しくなった。