「AQレジデンス馬込展示場」
アキュラホームは5月18日、創業40周年記念として建築家・芦原太郎氏とコラボした高価格帯ブランド「AQレジデンス馬込展示場」と、建築家・原田真宏氏・原田麻魚氏がプロデュースしたCLTを多用した週末別荘をイメージした「〝キラクノイエ〟港北展示場」を5月19日にオープンすると発表。同日、報道陣向けに公開した。
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「AQレジデンス馬込展示場」から紹介する。同展示場は2015年にオープンした「AQレジデンス」瀬田展示場に続く第2弾。馬込ハウジングギャラリー内にあり、木造軸組み工法3階建て。延べ床面積281.48㎡(85.14坪)。
ドイツ語で「木の塊」を意味する〝マッシブホルツ〟工法を採用。角材などを密に繋げてパネル状の塊を構成し、コンクリートのようにスラブや構造壁として利用することで大空間を実現。準耐火構造でありながら木材の露出を可能とした。
1階には開放的なピロティと多目的室によるマルチスペースを設置、2階は壁面緑化や水の音を演出するなど居ながらに自然を感じられる空間とし、3階は木漏れ日を取り込むオリジナルのアースキンパネルを採用して、内と外をつないでいる。
同社は2015年に「AQレジデンス瀬田展示場」を開設し、昨年は「AQレジデンス青山オフィス」をオープンした。受注棟数は13棟(2016年2月期)、11棟(2017年2月期)、22棟(2018年2月期)。2019年2月期は倍増の48棟を目標にしている。1棟単価は平均5,000万円強で、3,000~4,000万円、7,000~8,000万円、1億円超に分かれているという。
スギ材化粧外壁(左)ピロティ天井
壁面緑化
3階リビング
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住宅展示場は好きになれない。満艦飾の無国籍の無法地帯のような一角に踏み込んだ錯覚に陥り、立ち入るのがためらわれるような気分にさせられる。住宅も〝誰が住むのだろう〟と思案してしまうような金に糸目をつけない奢侈さを競うものが多い。
しかし、今回の「AQレジデンス」は〝シンプル イズ ベスト〟。実に美しい。かつ機能的だ。無駄がない。
外壁に横幅約12メートル、高さ約3メートルのスギ材の化粧板を張り、ピロティの天井裏にもスギの無垢材を用いている。壁面緑化もいい。
屋内は光と風を取り込む工夫が随所に施され、カラーリングは白が基調。床や建具・面材は落ち着いたアッシュを採用。引き戸を多用しているのが特徴。
モデルハウスは85坪で、価格にすると1億6,000万円(坪単価188万円)だそうだが、納得だ。
主寝室
水音が出る仕掛け(左)とキッチン
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芦原氏の作品と最初に出会ったのは約20年前だ。扶桑レクセルのマンション「愛甲石田」だった。アースカラーを多用した外観が素晴らしかった。今回は主張しない、ある種〝負ける建築〟にも似たデザインに酔った。芦原氏と語り合えたような気分になった。
一つふたつ、記者の率直な感想。外壁のスギパネルは、スギ材が等間隔で張られており、遠くから見ると平板な壁に見える。凹凸や間隔に変化を持たせればまた違った表情になるのではないか。
アースキンパネルは白だった。これも、周囲の景観と溶け込むような、あるいは映し込むような素材、デザインはないのか。
天井高も第一種低層住居専用地域に適合するように、1階から3階までそれぞれ約2400~2500ミリだが、メリハリを持たせてもよかったのでは。
浴室8左)と3階のテラス
リビング
外構・植栽が素晴らしいセコムホームライフ「グローリオ蘆花公園」(2010/3/10)