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2018/06/09(土) 17:44

忙中閑 殺・死・盗・暴 あおる野球記事に理解を 〝記事はラブレター〟

投稿者:  牧田司

 関西学院大-日大のアメリカンフットボールの試合で、「一発で潰せ」などという監督・コーチの指示で「違法タックル」を行った選手の行為が物議をかもし、社会問題となり、刑事事件に発展しつつある。

 記者はアメフトについては全く知識がないので何とも言えないが、野球に関してはグラウンド内の出来事が刑事事件まで発展したケースは「黒い霧事件」など2、3件しかないはずだ。

 刑事事件まで発展しないのは、野球はもとよりスポーツは個々の人間がより強く美しく豊かに生きるための文化であり、娯楽であり、社会通念に照らし合わせ、よほど悪質なプレーでない限り容認しあう暗黙のルールも存在するからだろうと思う。厳密にルールを適用していたらスポーツは成り立たない。

 そんなことを考えていたら、アメフトに触発されたのか、過剰反応を示しているのか、RBA野球の取材・記事にナーバスになっている関係者が増えたような気がする。「個人情報だから」と。

 もちろん、記者も個人情報の扱いには注意を払っている。ネットの時代だ。以前のように書き手と読み手がキャッチボールのように意思疎通できる時代でなくなってきた。意図とは全く逆に解釈され、拡散する危険性も記事ははらむ。個人の自由と表現の自由、この線引きが難しい。

 この問題に逡巡していたら、1行たりとも書けない。勇を揮って書くしかない。基本に据えているのは〝記事はラブレター〟だ。時には勇み足もするし、性格そのものの品性に欠ける表現をすることも少なくない。それでも記事に「愛」を込めれば理解されると信じている。

◇       ◆     ◇

 野球用語は「殺」「死」「盗」「暴」であふれている。むしろそれを煽っている。

 「殺」にはは刺殺、併殺、捕殺、挟殺、封殺があり、三重殺まである。「死」もまた死球、1死2死、憤死にキラー(殺人)もある。「盗」では盗塁がある。「とどめを刺す」「とどめの一発」「撃沈」「暴走」なども当たり前のように使われる。

 つまり、たくさん相手を殺したかチーム(巨人は正式には巨人軍)が勝者、勇者となり、たくさん三振に「斬って取る」投手がいい投手として称賛される。打者もまた、相手をねじ伏せる一発逆転のサヨナラ満塁弾を放てる選手が高い評価を得る。それか野球だ。

 そもそも野球は戦争に見立てて考案されたスポーツだからだ。とくに、わが国では戦前、鬼畜米英に対する敵愾心を煽る目的もあってそのような言葉に翻訳された経緯がある。

 中には「サドンデス」(突然死)が「タイブレーク」(均衡を破る)に変更されたものもあるが、禍々しい言葉であふれている野球はすっかり文化として定着している。

◇       ◆     ◇

 RBA野球関係者のみなさん、野球は人生を豊かにする文化です。「殺」「死」「盗」「殺」などの戦争用語が頻々と登場するスポーツであるからこそ、それにふさわしい激烈な表現でみなさんを戦場に引きずり込むのが記者の役割だと考えています。どうか記者の意を汲んでいただき、多少の脱線にはご寛恕くださいますようお願いします。

 

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