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2018/09/25(火) 17:08

中学2年・栗田哲くん キッズデザイン協議会会長賞を小中学生として初受賞

投稿者:  牧田司

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栗田哲くん(キッズデザイン賞授賞式で)

 キッズデザイン協議会「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式が925日行われ、中学2年生の栗田哲くん(13歳)が考案した「食べ残しNOゲーム」(NPODeepPeople)が、小中学生個人の受賞としては初となる「キッズデザイン協議会会長賞 奨励賞」を受賞した。

 同ゲームは、当時、小学6年生だった栗田君がDeepPeopleの助言を受けながら考案したものを商品化したカードゲームで、プレイヤーが飲食店の店主となり、儲けを出しつつ食べ残しをどう減らすかを競うもの。遊びながら食品ロス問題を考え、その原因や解決法を楽しく学べる。

 審査委員は、「プロダクトとしてのクオリティには改善の余地はあるが、実家の飲食店でフィールドワークを行うことで気づいた問題を、その原因と消費者としてとるべき行動までを理解できる教材に仕立て、意志ある事業者がそれを社会デビューさせたプロセスを応援したい」とコメントしている。

 「未来価値創造大学校 自分学部 アドベンチャーコース 研究生」という肩書を持つ栗田くんは、大阪市で飲食店を営む栗田太樹・早苗ご夫妻の兄兄姉姉の末っ子。「飲食店を経営する父とDeepPeopleの牧さん(理事長・文彦氏)が知り合いだった縁で、6年生の時から取り組み始めました。店のゴミ箱に捨てられている食べ残しの量にびっくりしたのが、考えるようになったきっかけです。将来? まだはっきり決めていませんが、父のあとを継ぎたい」と喜びを語った。

 この日は学校が休みとかで、両親と姉と一緒に上京していた。栗田くんの嫌いな食べ物はピーマンで、好きなものは寿司、ラーメンとか。

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「食べ残しNOゲーム」(NPODeepPeople)のブース

        ◆     ◇

 栗田くん、受賞おめでとう。おじさんは、キッズデザイン賞を応援したくて取材してきたが、小中学生個人が初の受賞であることを知り、とても嬉しくなった。

 人としてもっと大切な「食」をテーマに、しかも「食品ロス」に真正面から取り組む姿勢に感動すら覚えた。奇しくも、この日の朝日新聞は「食品ロス」の問題を社説で取り上げていた。食べる量と捨てる量が同じだと。

 どうしたら改善できるか。むずかしい問題だ。おじさんも分からない。しかし、食べ物を生産する農家や、さらには森林・林業、水産業などにも思いをはせてほしい。食べていくのが大変で、山や田畑がどんどん荒れている。美しい自然や文化も危機的状況にある。

 食物を育てるのに欠かせない水だって、われわれはただのように思っているが、世界の科学者は「バーチャル・ウォーター」といって、食物を生産するのにどれだけの水を消費するかを研究している。栗田くんもこの問題に取り組んでほしい。

 こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、この日、総理大臣賞を受賞した着脱が容易で、外れたほうが安全という考えから商品化されたYKKのファスナー「Quick Free」は結構な商品だとは思う。が、しかし、難儀しながら掛け違いなくボタンを付けられるようにする学習も必要ではないか。「ボタンの掛け違い」は死語になってもいいのか。おじさんは栗田くんのほうに1票を投じる。

 さらに言えば、キッズデザイン賞についてもわれわれは考えないといけない。この賞がもてはやされるのは、逆に考えれば、これまであまり考えられてこなかったからではないかと。

 記者は大人も子どもも、健康な人もそうでない人も高齢者も、みんなが使いやすいユニバーサルデザイン(UD)の思想が大事だと思っているが…。それぞれ大人の立場があるようだ。

 安倍総理は、この日の発表式・表彰式に「日本は、今、少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面しています」「安倍政権は、待機児童の解消や子育て世代の負担の軽減など、未来を見据えた新たな国創りのため、子どもたちに大胆に投資していきます」とメッセージを寄せた。「『働き方改革』を断行し、仕事と子育てを両立できる環境整備も進めていきます」と述べた。

 しかし、その一方で「子どもを3人以上産め」とか「LGBTは生産性がない」(栗田くんにはちょっと難しいか)などと平気でしゃべる政治家もいる。子どもを産みたくても産めないひとはいっぱいいる。経済が許さないし、ゆとりある家にも住めない。そうした人たちを思いやる心を持ってほしい。

 それにしても、お母さんを5度も孕ませた(失礼)元気なお父さんも立派だが、お母さんはえらい。どんな痛い目をしたかおじさんは男だから分からないが、頭が下がる。

 そんな立派なきみのお父さんお母さんがいるのに、どうして「少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面」したのか、安倍総理は他人ごとのように話すのはなぜか。おじさんは4人兄兄姉姉の末っ子だが、少なくとも昭和40年くらいまでは〝子だくさん〟はごく普通で、貧しくても生きられた時代だった。

 そして、栗田くん。この日、審査委員長の益田文和氏も触れたように、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGsSustainable Development Goals)」の視点を忘れずに新たな目標にチャレンジしてほしい。おじさんの記者としてのモットーは「愛」です。人にやさしい、地球環境にやさしい-この視点・モノサシでものを計ると、見えないものが見えてくるのです。頑張れ、栗田くん。

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「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式(六本木ヒルズで)

 

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