長谷工コーポレーションは10月22日、創業80周年記念事業として建設を進めてきた多摩市の「長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム」が完成したのに伴う記者内覧会を行った。
施設は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩12分、多摩市鶴巻3丁目に位置する敷地面積約17,663㎡、延床面積約8,800㎡。長谷工技術研究所、長谷工グループ技術研修センター、長谷工コミュニティ アウル24センター、長谷工マンションミュージアムからなる3階建て本館と、4階建て住宅実験棟、1階建て多目的実験棟の3棟で構成されている。このほか、地域に開放するビオトープも整備している。
マンションミュージアムは、企画展示や同社主催のコンテスト当選作品の展示、子ども向けイベントなどを開催し、事前予約制で一般に公開する。
長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム館長・江口均氏は、「これまでの各施設はそれぞれ分散しており手狭になっていたので、いいところはないかと探していたら、たまたま(多摩多摩)ここが見つかった。集合住宅の歴史や未来、建て替えを検討されている管理組合や一般の方々にも案内していく」と話した。
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ある記者の方が「多摩市、中でも多摩ニュータウンは若者の数が少なく、高齢化が進んでいる」と発言した。
これにはカチンときた。多摩市民として黙っていられない。確かに数字はそうかもしれない。平成29年の多摩ニュータウンの高齢化率(65歳以上)は23.2%となっており、市域別で高齢化率を見ると、多摩市は29.3%で、八王子市の19.2%、稲城市の17.6%、町田市の11.8%と比べ突出して高く、東京都の平均23.3%、全国平均の27.7%よりも高いのは事実だ。
なぜなのか。簡単に言えば、昭和40年代の高度成長期、地方から流入する大量の労働者の住まいを確保するために多摩ニュータウンがつくられ、多摩市は他の市よりも早く開発が進められたからだ。
その矛盾が噴出しているのは言われなくたって理解している。西浦定継・明星大学教授は「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減する」と警鐘を鳴らしている。
だからこそ多摩市は、そうならないよう「多摩ニュータウン再生」に取り組んでいる。高齢化は進んではいるが、街の美しさと緑の多さはどこにも負けない。元気な高齢者も多いはずだ。その知見を生かせば再生は可能だ。
お願いだから〝オールドタウン〟などと呼ばないでいただきたい。
今回の長谷工コーポの施設が「多摩ニュータウン再生」につながるかどうかは分からない。記者は賑わいを創出するために複合タウンを希望していたのだが、この土地は当初の都市計画で業務用とされているので、そうならなかったのは残念だ。
施設を一般に公開するのは結構なことだ。しかし、マンションミュージアムを小学高学年向け課外授業の対象にするのはやや難しすぎるのではないか。映像や年表、図表とにらめっこしても集合住宅のことを理解するのは容易ではない。むしろ学生さんや一般の方、業界関係者などが見るといい。戦後の集合住宅の変遷がよくわかるはずだ。同社が編み出した「コンバス」は、問題はたくさんあるけれども開発当初はいかに先進的で機能的だったかもわかるはずだ。
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