登壇者
デジタルガレージ(DG)は11月8日、不動産関連スタートアップを対象としたグローバルな育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech(https://resitech.onlab.jp/)」を始動し、同日からプログラムに参加するチームの募集を開始すると発表した。プログラムにはパートナーとしてコスモスイニシア、竹中工務店、東急グループ、東京建物、野村不動産ホールディングス、阪急阪神不動産、三井不動産が、協力パートナーとしてカカクコム、KDDIがそれぞれ参画するほか、DGのグローバルネットワークも活用する。
「Resi-Tech」が支援するのは、プログラム中の活動資金の提供、メンタリング・レクチャー、オフィススペースの提供、 国内外のネットワークの提供など。
今回募集するのは、住宅・暮らしや街とITが交差する領域での技術またはビジネスプランを持つ人が対象で、応募は2018年11月8日(木)〜2019年1月末。採択チーム決定は2019年3月中旬。
記者発表会に臨んだDG代表取締役兼社長執行役員グループCEO・カカクコム取締役会長 林郁氏は、「5G(第5世代移動通信)時代を迎えた中で課題も見えてきた。従来のスコープを通じてスタートアップを支援すると、見えないものを排除するというねじれ、矛盾が生じかねない。そのような縦と横の制約を取り除き、ユーザー目線から広義のレジデンシャルを切り口にスコープに入れ込んで、オールジャパンで世界に打って出る」と、プログラムを立ち上げた背景・狙いについて話した。
パートナーとして登壇した各氏のコメントは次の通り。
コスモスイニシア執行役員R&D本部副部長・藤岡英樹氏 当社はアパートメントホテル事業をスタートさせたが、今後も新規事業を拡大していく。スタートアップとユーザーニーズを掛け合わせれば何ができるか、面白い展開ができるのではないか
竹中工務店執行役員技術本部長・村上陸太氏 当社は歴史のある会社だが、だからこそ新しいことに二の足を踏みがちだ。今回の新しいことに挑戦し、社内にも新しい風を吹き込みたい
東急グループ 東京急行電鉄取締役常務執行役員事業開発室長・市来利之氏 ワクワクしている。ここにいられるだけで幸せ。当社も独自のアクセラレータープログラムがあり、双方の協調が期待できる
東京建物代表取締役専務執行役員住宅事業本部長・柴山久雄氏 ネット情報などはわれわれよりエンドユーザーのほうがはるかに進んでいる。新たなサービスを発見することにチャレンジしたい
野村不動産ホールディングス経営企画部長・田辺邦彦氏 当社もCVCの取り組みを行っているが、DGさんの先駆者としての知見、認識を吸収し、また協力したい
阪急阪神不動産常務執行役員・松田富行氏 プログラムは当社の新しい事業創出とシナジー効果が期待でき、当社のスタートアップ支援オフィス「GVH#5」と協働することでネットワークの拡大につながる
三井不動産ベンチャー共創事業部統括・光村圭一郎氏 当社は街づくりを中心に事業展開しているが、本質はビルでもマンションでもない人ではないかと。リソースにつなげ、デザインしたい
カカクコム代表取締役社長・畑彰之介氏 衣食住の中で、人の暮らしを豊かにする住まいはとても重要。参加できてとても嬉しい。コンテクストをつくっていくいいスタートになる
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この日集まった記者の数は約50名、関係者と合わせ約100名とか。記者の数は先の「HARUMI FLAG」の半分で、記念写真登壇者でも「晴海」より一人少ない10人だったが、市来氏が「嬉しい」「ワクワク」「楽しみ」を連発したのと同様、ワクワクして聞いていた。
もちろん、スマホすら満足に扱えない記者は「5Gの時代」などと言われてもちんぷんかんぷん。しかし、この前の三井不動産&プロロジスの物流竣工の記事でも書いたように「物流を制する者が市場を制する」と思うし、信じられないようなスピードでIoT、AIが世の中を席巻するであろうことは容易に想像できる。記者発表会で協力パートナーKDDIライフデザイン事業本部ビジネスインキュベーション推進部部長・中馬和彦氏が「これまで通信はあらゆる分野に溶け込んできたが、5Gの時代では逆にIoT、AIが人間に対抗してチャレンジしてくる」と話したのも理解できる。AIが勝つか人間が勝つか、生きている間に決着を見たいものだ。そのいみで「ワクワク」と書いた。
そして、何よりうれしかったのは登壇者全員が1分間だったがコメントを寄せたことだった。
だが、しかし、〝オールジャパンで世界に打って出る〟というのはやや言い過ぎではないか。パートナーは面白い組み合わせだとは思うが、全てではない。入っていない企業が対抗するために同じようなプログラムを立ち上げるような気がしてならない。共食い・共倒れだけは避けてほしい。
さらに言えば、いま世界を支配しているAGFA(Apple、Google、Facebook、Amazon)とMicrosoftを加えた5強の一つくらいと提携してほしかった。そんなことしたら全部乗っ取られるか。
スタートアップには、パートナーを蹴散らし、5強を震撼させるような技術・ビジネスプランを提示してほしい。「Soy sauce」のような日本発の横文字も編み出していただきたい。