昨年は、米中間の貿易摩擦問題の深刻化、新興国の金融経済環境の悪化、英国Brexit交渉の先行き不透明感等、国際金融市場のリスクが高まった一年であり、年末に日経平均株価が急落したことはそれらリスクに起因する可能性があることを否定できない。
昨年、国内では、自然災害が相次いだが、良好な雇用環境、好調な企業業績等から、景気は緩やかに持ち直した。
2019年は、世界経済の停滞リスクが高まる中、日本経済を取り巻く状況が一層厳しさを増す可能性があるが、企業による設備投資の増加や人手不足対策への投資等により景気回復の動きは維持され、昨今の訪日外国人数の増加に加え、本年のラ グビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた需要等により内需が支えられ、底堅く推移すると期待したい。
オフィス賃貸市場は、企業の業績好調に伴う採用拡大、人手不足の中での優秀な人材確保、生産性向上のための働き方改革推進等を背景としたオフィス需要が強まっており、本年も良好なマーケット環境が続く見込みである。
ソフト面での付加価値提供やブランディング向上を図り、より一層、競争力のあるオフィスを提供していきたい。
分譲住宅市場は、優れた立地・商品性がターゲット層に合致すれば底堅いニーズがあるが、駅近・複合開発など魅力が高い物件と、そうでない物件の二極化傾向がますます強まっており、顧客の厳選志向は本年も継続していくものと思われる。
また、既存のビジネスモデルに囚われない多様な事業展開を推進し、事業ポートフォリオの再構築・強化を図りたい。
商業施設では、アウトレットを中心に、着実に増加する訪日外国人客の需要を捉えていきたいが、訪日外国人客の購買単価の低下やネット通販との競争激化が見られる中、より一層、各施設の魅力をターゲットに訴求することが必要である。また、旺盛なホテル需要も継続すると考えられるが、多様化するニーズを捉えた出店計画や、それを支える人財確保等が求められていく。
2019年度は中期経営計画の最終年度にあたる。中期経営計画の総仕上げとして、堅調なマーケット環境下で収益基盤強化の成果を利益として具現化することに加え、環境変化の加速をチャンスと捉え、時代の変化を先取りして新たな事業を創造する等、2020年代の更なる成長に向けたビジネスモデル革新を推進していく。