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2019/01/14(月) 16:16

どうなるマンション管理士 平成30年度 過去最少の受験者 合格者1,000名割る

投稿者:  牧田司

国家資格「マンション管理士」の指定試験機関のマンション管理センターは111日、平成30年度マンション管理士試験の結果を発表した。受験者数は12,389名(前年比5.0%減)、合格者数は975(16.5%減)、合格率は7.9%(前年は9.0%)。合格最低点は50問中38問以上正解(試験の一部免除者は45問中33問以上)。合格者の男女別では男性が856(87.8%)、女性が119(12.2%)だった。

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 この結果にいささか驚いた。合格者数がついに1,000名を割ったからだ。同資格は「専門的知識をもって、管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務」(国土交通省ホームページ)とするものだ。

 資格制度が始まった平成13年のことはよく覚えている。名称に「士」が付けられ、試験範囲が広く、権利関係がふくそうするマンション管理組合の意見調整役としての知見が必要とされたため、「宅地建物取引主任者」(現在の「宅地建物取引士(宅建士)」)より難易度は高く〝格上〟と目されていた。資格を取得すれば、マンション管理組合アドバイザーなどとして独立できるのではないかと期待もされた。

 マンション市況も好転していた背景も手伝って、試験には約9.7万人が受験した。記者は「『士』の冠が付くのだから、合格点を引き下げるべきでない。合格点は40問以上か」などと記事にしたところ、「そんなに高くしたら合格者数が極端に少なくなる」などと半ば抗議の電話が鳴りっぱなしになった。結局、合格者は7.213名(合格率7.4%)、合格点は38問以上となった。

 ところが、受験熱は一挙に醒めた。受験者数はこの年が最多で、その後漸減を続けた。平成30年度は過去最少となり、合格者数も1,000名をついに下回った。人気がなくなってきたのは、資格を取得しても独立し、正業とすることが難しいためと思われる。

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 この数が多いのか少ないのか、記者は分からない。一つ言えることは、昨年6月、マンション管理士を対象に実施した同センターのアンケート調査結果が課題・問題点をあぶり出していることだ。

 それによると、資格を取得した理由は、「現在又は将来の仕事に生かすため」がもっとも多く65.8%を占め、「居住するマンションの役員等の職務に生かすため」は20.8%、「マンション管理士として就職するため」は19.2%となっている。

 「現在又は将来の仕事に生かすため」であることから、取得者は「管理業務主任者」や「宅建士」の資格を持っている人が78割台に達している。

 問題は、マンション管理士としての現在の活動状況だ。「本業として活動している」は5.4%で、「副業として活動している」は7.7%、「以前活動を行っていたが、現在は行っていない」は8.4%、「活動を行ったことがない」は実に75.8%に達している。

 本業として活動している人の1年間の売上高は、「100万円以上、400万円未満」が最多で30.4%、「100万円未満」と「収入を得たことはない」を合わせると47.9%に上る。個人事務所として活動している人で年間の売上高が700万円以上は5.6%にしか過ぎない。

 資格制度に対する自由回答意見では、管理組合には十分な資金がないことから、国・地方自治体など公的機関の財政的な支援を求める声や、宅建士と同じように業務独占資格に改めるべきとの意見があった。

 

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