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2019/02/10(日) 16:20

レオパレス21 建基法不適合2,492棟 国交省 原因究明、再発防止策報告求め指示

投稿者:  牧田司

 国土交通省は2月7日、レオパレス21が施工した共同住宅で建築基準法に定めた仕様に適合していないこと、法定仕様に適合させるために改修を行うとの報告を受け、同社に対し、所有者等関係者への丁寧な説明、特定行政庁への報告、改修等の迅速な実施、原因究明及び再発防止策の報告、相談窓口の設置を指示したと発表した。

 この問題は、平成30年4月27日と5月29日に同社が公表した共同住宅の界壁の不備についてその確認や是正を求め、さらに同年10月4日、同社から新たな不備の疑いがある旨の報告があり、事実確認を求めていたもの。

 その結果、界壁は平成8年6月12日~平成13年9月17日着工の771棟、外壁は平成8年6月12日~平成13年9月17日着工の925棟、天井は平成8年3月16日~平成13年1月22日着工の641棟にそれぞれ不適合があったことを確認したとしている。

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 同社の報告によると、39,085棟の全棟調査を行った結果、1996年6月12日から2001年9月17日までに着工したゴールドレジデンス(GR)、ニューゴールドレジデンス(NGR)と、1999年9月14日から2001年2月9日までに着工したヴィラアルタ(AGR)に建基法に適合しない物件が確認されたとしている。

 新たに確認された不備物件の最大棟数はGRが1,660棟、NGRが679棟、AGRが153棟の合計2,492棟。

 不備が生じた原因として、同社は「建築現場における作業効率向上」「界壁の留め付け作業を簡略化」「発泡ウレタンの方が断熱性能及び価格において上位素材」「設計部署と発注部署との間で情報共有が図れておらず」「化粧板(化粧石膏ボード)とロックウール吸音板とは見た目が類似しており、一見してどちらか分かりにくいこと」「施工監理において不備が指摘できなかった」「遵法性の知識や意識の低さから起因」などとしているものの、問題発生の「具体的究明には到っていない」とし、今後も調査を継続する。再発防止のため「コンプライアンス統括部」を設置した。

 調査結果を受け、同社は平成31年3月期第3四半期累計で特別損失430億円を計上したが、平成30年12月末日時点での現金預金(連結)は892億円、自己資本(連結)は1,069億円(自己資本比率35.2%)と十分な水準にあると発表した。

 また、2019年2月から6カ月間、役員の責任として社長は20%、その他の役員は20%それぞれ月額報酬を返上する。

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 記者は同社のことは全く知らない。現社名に変更されるまでの「ミヤマ」は檜不動産やマルコーなどとともに住産協(現・全住協)の有力会員の1社だったが、仲介・賃貸業が主力だったせいもあり、創業社長・深山祐助氏も含めて取材したことは一度もない。

 著名なタレントを起用したテレビCMやスポーツのスポンサーにたびたび登場し、業績も悪くないので、企業理念である「新しい価値創造」に邁進しているのだろうと思っていた。

 そのことを証明するのかどうか、同社はゴメス社の2018年IRサイトランキングによると、不動産業ではNTT都市開発、トーセイに次ぐベスト3で、全業種359社全体でも30位にランクされており、「優秀企業・銀賞」を受賞している。

 そんな〝優良企業〟がこのような不祥事を起こすとは…。不備の原因はどう好意的に読んでも理解不能、説得力を欠く。製品に名前がついているはずだから、グラスウールと発泡ウレタン、石こうボードとロックウール吸音板の区別くらい素人の記者だってできる。「施工監理において不備が指摘できなかった」「遵法性の知識や意識の低さから起因」などありえない。不備をチェックするのが監理担当者の仕事であり、法を守らせるのが会社=社長の任務ではないのか。

 2001年以降の建物についても引き続き調査するとしているので、徹底して行うべきだ。そうでないと賃貸オーナー、入居者の信頼を回復することはできないだろう。問題の大きさから言って、役員報酬の返上は額も期間も少なすぎるような気がするが…。

 さらに言えば、問題発覚から9カ月も経過するのに「原因究明に到っていない」とはどういうことか。そして、また、現場監督は何をしているのか、検査済証制度が骨抜きになっていないのかなどと改めて考えさせられた。

 

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