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2019/03/19(火) 11:46

転んでもただでは起きないぞ 「不動産バブル崩壊前夜」見出しに釣られたが…

投稿者:  牧田司

 もう30年も前だ。扇情的な看板と客引きの甘言に釣られ、いかがわしい店に半ば連れ込まれ、ビール1杯飲んだだけなのに有り金(バブルと酒に酔っていたときで金額を書けばびっくりするはずだが書かない。タクシー代だけ残してもらった)全部をはぎ取られた経験があるのに、また同じような過ちを犯してしまった。「不動産バブル崩壊前夜」などという世の中がひっくり返るような見出しが躍っていた「週刊東洋経済」3月23日号を買ってしまったのだ。

 週刊誌の『分譲か賃貸か』の特集記事や「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本を買ったのは、それを批判する目的で買ったのだから、文句は言わないが、今回は710円もしたのだから、その分お返しをしよう。

 「不動産バブル崩壊前夜」は22ページにわたって報じられていた。記事の書き出しは「『高すぎて買えない』。30代の夫婦は第一子誕生を機に都内の新築マンション購入を考えた。しかし、価格のあまりの高さに断念した」だった。記者はこの5行を読んだだけで全て中身を把握したと思った。書き出しは、この種の記事の常とう句だ。

 かくいう小生もマンション価格の高騰については何度も記事にしてきた。しかし、「普通のサラリーマンが」などと断りを入れた。ユーザーは千差万別、3,000万円の物件が買えない人もいれば、坪単価1,000万円でも楽々購入できるお金持ちもたくさんいる。十把一絡げで市場を見たりしない。いつも念頭にあるのは、デベロッパーはどこにターゲットを当てているか、その商品企画はユーザーの購買意欲をそそるものであるかどうかだ。

 こんなことを言ったら失礼だが、週刊誌の記者は〝売れる記事〟つまり食・金・色などの欲求に訴え、その逆の不安をあおることに専心している。競馬新聞と一緒だ。記事が当たろうが外れようが関係ない。今回の同誌はさすがに気が引けたのか、2025年地価下落予想記事では「現時点の限定された範囲での予測であり、将来の地価変動を保証するものではない」と断っている。何をかいわんや。

 記事にコメントを寄せるアナリスト、コンサルタントなどの方々も頼りにしているのは遅行指標のマクロデータのみ、現場を見ていない。〝森を見て木を見ず〟だ。新築マンション市場は供給が減っている、価格が暴騰している、契約率が落ち込んでいるなどというが、これも十把一絡げでしか市場を捉えられないからだ。マクロデータで世の中が動くのであれば世話はない。企業の社長さんは楽なものだ。業績が落ち込んだら全て景気、外的要因のせいにすればいいのだから。

 さて、では「不動産バブル崩壊前夜」の記事は正鵠を射ているかどうか。小生はもちろんNOだと思う。一つひとつ反論する気にもなれないが、そもそも「バブル」とは何かを伝えていない。確かにかつてのバブルは常軌を逸していた。みんな狂乱人気に酔った。端的な例が広尾ガーデンヒルズだ。坪単価500万円くらいだったものが、マンション転がしのピーク時には坪3,000万円を突破した。リゾートマンションも熱海などは坪300~500万円まで跳ね上がり、億ションとなった。それが、バブル崩壊後はそれこそ株と同様〝半値八掛け二割引〟になった。今がそのような状況では絶対ない。

 一部の投資家、賃貸オーナーは泡を食っているかもしれないが、小生に言わせれば自業自得だ(レオパレス21は一度も取材したことがない。その理由は書かない)。スルガ銀行の〝審査は甘い〟は業界の常識だった。この影響は少なからずあると小生は見ている。

 このほか、米中関係、中国経済の停滞はわが国経済にも大きな影響を及ぼす-こんなのは当たり前でないか。大手デベロッパーやハウスメーカーはしっかり手を打っているはずだ。

 同誌の記事は狭小住宅や老朽化マンションなど〝負動産〟についても触れているが、これなどはバブルと全く関係がない。10年も20年も昔から分かっていたことだ。

 狼少年のような記事は〝読まない 書かない 売らない〟ようにしよう。これで710円の半分は取り戻したか。〝忘れたころに…〟を教えてくれた価値は350円はありそうだ。

〝読まない書かない売らない〟週刊誌の「分譲か賃貸か」の類の特集記事(2012/2/29)

また怒り沸騰 「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(2018/2/1)

 

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