RBA OFFICIAL
 
2019/03/28(木) 11:55

またまた怒り心頭 住宅新報の地価公示は住宅地のみ しかも千円未満は切り捨て

投稿者:  牧田司

 3月26日号の「住宅新報」は36ページ、3月25日号の「週刊住宅」は14ページ。双方とも地価公示特集だから増ページしたのだろうが、紙数は新報が圧勝。しかも同紙は「安心R住宅」と「不動産テック」の特集を組んでいる。

 これまで記事批判ばかりしてきた小生は、特集を組む辛さもよくわかっているので、労をねぎらうことに決めた。そして褒めようと…新聞をたたもうとしたのだが、誤字脱字が「わたしを見つけて」と呼び掛けてくる感覚と同じだ。〝小さくて読めない〟新報の地価公示の紙面がささやきかけてきた。とたん、飛び上がらんばかりにびっくりした。何かの間違いだと。そして、またまた怒りが沸々と湧きあがり、やがて沸点に達した。我慢がならない。なぜだ。

 紙面は、北は北海道から南は福岡まで12ページにわたって公示地点の価格を掲載しているのだが、住宅地だけで、商業地、工業地、調整区域をオミット(ミスではないはず)しているではないか。しかも1㎡当たり千円表示の「千円未満は切り捨て」だ。

 冗談ではない。小生は鑑定士がどのように調査するかよく分からないが、手抜きなどしていないはずだ。住宅地も商業地も林地も平等に調査しているはずだ。地価公示の調査地点は26,000地点あり、用途別では約70%を住宅地が占めているのだが、他を除外していいはずはない。同紙はこれまでもそのようなことをしてきたのか。地価公示などどうでもよく、広告収入がはいればよいという魂胆がありありだ。国交省も読者もクレームを付けないのか。紙がもったいない。(個人的には地価公示はやめたほうがいいと以前から主張してきたが)

 「千円未満の価格切り捨て」にも我慢がならない。不動産公取規約では、消費者の不利益にならないよう分譲価格や駅からの距離は切り上げ、敷地面積は切り捨てることになっている。地価公示で千円未満を切り捨てたら1坪で約3,000円、30坪で約10万円の差となる。小生も含めわが業界は坪でしか不動産価格を計れなくなっているが、どんぶり勘定は改めたほうがいい。同紙の記事が国交省のデータをそのまま引き写したのであれば、同省に苦情が殺到するはずだ。ただでは済まない。

◇       ◆     ◇

 参考までに、地価公示の紙面の編集・製作がどれほど大変だったかを紹介する。

 昔は国交省から文書データで渡され、印刷工場の植字工が一字一字拾って組み立てていく作業が必要だった。その手間と特集する取材時間を見込んで、報道解禁の10日前に資料が配布されていた。

 校正作業が大変だった。ミスは許されない。どこのマスコミも元原稿を読む人と校正ゲラを読む人と2人一組で校正作業を行ったはずだ。

 住居表示が浸透している東京都などはやさしいが、地方都市は難しい読めない漢字、例えば「匝瑳」(いすみ)などがたくさん出てくる。しかも「大字」「小字」などと長い。そうなると「えっと…読めない」「早く読め」「そんな字が読めないのか」とけんか腰になり、「ダメだ。代われ」となる。

 具体例を示そう。兵庫県神戸市北区には「大沢町日西原字小屋かち2106--1」「山田町下谷上字猪ころび4-73」「有野町唐櫃字水ナシ2-12」がある。

 「かち」「ころび」「みずなし」は発音する側からすれば「かちはひらがな」「猪ころびの猪は漢字、ころびは平仮名」「みずなしの水は漢字、なしはカタカナ」とでも読み上げないと正確に伝えられない。聞いているほうも「えっ、猪ころびの猪は漢字でころびは平仮名とは何だ」と聞き返さないとしっかり校正できない。「櫃」(ひつ)も死語と化している。読めやしない。ネットで調べたら「唐櫃」は「からと」と読むらしい。…こんなのをやってごらんなさい。泣けてくる。それでも記者はこうして漢字を覚えた。いつも作業は徹夜になった。そのあとで酒を飲む楽しみはあったのだが。

 今はエクセルデータで各報道陣に配布されているはずだから手間は省けるし校正ミスなど起きない。音読の校正作業もなくなったのではないか。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン