大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ上大岡」を見学した。駅から徒歩13分とやや距離があるが、建ぺい率40%(容積率150%)、高さ規制15mの厳しい風致地区規制を巧みに生かした平均100㎡、1戸当たり約53本の植栽など商品企画・ランドスケープデザインが秀逸だ。
物件は、京急本線上大岡駅から徒歩13分、横浜市磯子区汐見台三丁目に位置する建ぺい率60%(風致地区により40%)、容積率150%の第一種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約12,739㎡、5階建て全132戸。現在分譲中の住戸(15戸)の価格は4,498万~5,758万円(最多価格帯5,300万円台)、専有面積91.25~103.88㎡、坪単価175万円。竣工予定は2020年2月下旬。設計・監理はオンズデコ一級建築士事務所。施工は森組。
今年1月から契約を開始し、成約済みが70戸超と極めて好調に推移している。
現地は、日吉、山手、本牧、根岸とともに横浜市の数少ない風致地区。建ぺい率40%、容積率150%、高さ規制15m以下、隣地境界線からの外壁の後退距離1m以上、敷地面積50mにつき1本以上の植栽、戸数制限など厳しい規制が設けられている。一部の1階住戸から富士山も見える。
敷地は荏原製作所の社宅跡地。隣接地にはジョイント・コーポレーションが分譲して人気になった「ジェイパークヒルズ上大岡」が建っている。電線は地中化されている。
建物は、比高差5m以上の傾斜地を巧みに生かした南・南西向き中心の6棟構成。平均居住面積は約100㎡。同社オリジナルの奥行き4mのオープンエアリビング・バルコニー(約13.6畳大)は30~40戸。100㎡住宅は間口8m(一部)で、廊下幅は1400ミリ(他の住戸もメーターモジュール)。
その他、主な基本性能・設備仕様は、リビング最大天井高2440ミリ、二重床・二重天井、キッチン3.5畳以上、天然御影石キッチン・洗面カウンター、食洗機、ミストサウナ、1620バス、ソフトクローズ機能付き引き戸など。
販売担当者の課長代理・嶋倉利泰氏は「これほど素晴らしいマンションを造ると、自信をもってお勧めできる」と鼻息が荒い。
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文句なしに素晴らしい。記者のような足腰が弱った高齢者に坂はきついが、記念すべき新元号「令和」にふさわしい「今年のベスト3マンション」の一つに選ぶことをほぼ確定した。
100㎡住宅は同社の〝十八番〟だから驚きはしないが、坪175万円の安さだから、100㎡でも5,000万円で買うことができる。しかも、オープン・エアリビングバルコニー、プライベートガーデン付きだとリビング・ダイニングを含めると約40畳大の居住空間が生まれる。先日見学した約190㎡の野村不動産「恵比寿」のモデルルームは価格が6億8,000万円だったが、リビング・ダイニングの広さは約40畳大だった。設備仕様は異なるが「恵比寿」と同じ6億8,000万円に住む気分が味わえる。
もう一つ、いかにこのマンションがすばらしいかを証明する。植栽の豊かさだ。シアターに全体敷地約12,739㎡に約7,000本の高木・中木・低木を植栽すると映し出された。この数字だけで一瞬にしてレベルの高さを確信した。ランドスケープデザイン監修は東邦レオ。
この数字が何を意味するか分からない方も多いはずなので、他のマンションを例示して説明する。
12,739㎡の132戸に約7,000本の低・中・高木を植栽するということは、1戸当たりに換算すると約53本だ。また、敷地10㎡当たりだと約5.5本の樹木数だ。
以下は、記者がここ数年間に見学し、樹木数を記事にした物件の中で多かったものだ。売主「物件名」戸数、敷地面積、樹木数(1戸当たり樹木本数、10㎡当たり樹木数)の順。
・三井不レジ他「幕張ベイパーク スカイグランドタワー」826戸 18,000㎡ 11,200本(14本、6.2本)
・ポラス「ルピアグランデ浦和美園」340戸 12,000㎡ 約13,000本(38本、10.8本)
・積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」687戸 約13,000㎡ 約15,000本(22本、11.5本)
・東京建物「Brillia Towers 目黒」940戸 約23,000㎡ 900本(1本、0.4本)
・住友不動産「シティテラス吉祥寺南」268戸 約16,000㎡ 約2万本(75本、12.5本)
・東急電鉄「ドレッセ二子新地」434戸 約16,000㎡ 約14,000本(32本、8.8本)
・積水ハウス「グランドメゾン白金の杜ザ・タワー」334戸 約6,800㎡ 約2万本(60本、29本)
このほかに樹木数が多かったのは、野村不動産・三井不動産レジデンシャル「桜上水ガーデンズ」と積水ハウス「グランドメゾン江古田の杜」もあるが、残念ながらこの2物件はどれくらい植栽されていたか把握できていない。ここに紹介した物件より多いかもしれない。
もう一つ、樹木数には低・中・高木全てを含むものと低木を除くものも含まれている可能性があることを断っておきたい。低木を含めるのと除くのとでは数字は大きく変わってくる。
さて、これらの物件と「上大岡」を比較していただきたい。1戸当たり樹木数のもっとも多いのが住友不「吉祥寺南」の75本、次が積水ハウス「白金の杜」で60本、「上大岡」は3位だ。10㎡当たりだと、積水ハウス「白金の杜」が突出しており29本。同社「品川シーサイド」も11.5本で、〝5本の樹計画〟がいかにすごいかをこの数字も物語っている。
「上大岡」の5.5本は他より少ないが、記者が過去数年間に見学したマンションは年間100件として700件くらいだから、そのうちの上位に入るのは間違いない。
東建「目黒」のランドスケープデザインは抜群だったが、1戸当たりにすると1本で、10㎡当たりだと0.4本だ。意外だったのはポラス「浦和美園」。1戸当たり38本、10㎡当たりでも10.8本。売れ行きが絶好調というのも納得だ。
そこでデベロッパーに提案。みなさんはいかに自分ところのマンションの希少性が高いか手を変え品を変えアピールしているが、発想が貧しい。樹木数も加えたらどうか。間違いなく積水ハウスがトップだろうが、どこが次位になるか。
とても嬉しい取材が出来たので、その後駅前のイタリアンでワインを2杯飲んだ。宅建の資格がない記者であってもこの物件の販売を担当したら、瞬く間に売る自信がある。少なくとも他社には絶対ない魅力を10くらいは伝えられる。
オープンエアリビング