今週の業界紙「住宅新報」と「週刊住宅」の1面はともに主要不動産会社の2019年3月期決算概要記事で、「旺盛な不動産需要が追い風」(住宅新報)「根強いオフィス、投資需要」(週刊住宅)として、最高決算が相次いだことを報じている。集計対象は住宅新報が31社、週刊住宅は63社。
これはこれで有難いのだが、住宅新報の表は売上高、経常利益、純利益の前期実績と今期業績予想しかなく、週刊住宅もこれらに営業利益を加えているのみだ。
これでは専門紙としては不十分だ。読者の立場からすれば、これらの数字だけではなく、例えば営業利益率、セグメント別、「ROA(総資産利益率)」、「ROE(自己資本利益率)」なども知りたい。
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両紙の表を基に電卓を叩いて、各社の営業利益率をはじいてみた。大手では住友不動産がトップで21.8%、以下、三菱地所18.1%、東京建物17.1%(2018年12月期)、三井不動産14.1%、野村不動産HD11.8%、東急不動産HD8.9%の順。
数値が高いのはビルや投資事業、不動産活用が中心の会社で、京阪神ビルディング36.2%、ダイビル25.4%、サンフロンティア不動産25.0%、平和不動産23.6%などとなっている。
その他、売上げが多い会社の営業利益率はプレザンスコーポレーション16.9%、エフジェー・ネクスト12.3%、スターツコーポレーション11.7%などが高い数値を示している。
分譲が主力の会社では日本エスリード12.4%、日神不動産7.8%、飯田グループHD7.2%、タカラレーベン7.6%、明和地所6.0%、ケイアイスター不動産5.7%など。長谷工コーポレーションは11.0%。
表中に森ビルと森トラストが抜けていたので調べたら、森ビルは5月21日発表で、売上高2,461億円、営業利益611億円(営業利益率24.8%)、森トラストは5月16日発表で、売上高1,748億円、営業利益344億円(営業利益率19.7%)だった。
大和地所レジデンスも5月22日に発表し、売上高367億円、営業利益45億円(営業利益率12.3%)となっている。
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これらの数値から分かるのは、分譲事業〝単品〟で利益率10%を確保するのは容易でないことだ。プレザンスコーポやエフジェー・ネクスト、日本エスリードは極めて好調ということができるが、3社とも投資向けやコンパクトマンションの比率が高いのが好調な要因ではないか。
その意味では、ほとんどがファミリー向けの大和地所レジデンスの利益率の高さは注目に値する。商品企画力の反映だと思う。