三井不動産レジデンシャルは5月29日、人生100年時代に向けた新たなライフステージを提案するサービス付き高齢者向け住宅「パークウェルステイト浜田山」の竣工プレス説明会・内覧会を行った。間違いなくトップレベルの富裕層向けサ高住だ。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩9分、杉並区高井戸東4 丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約5,328㎡、延床面積約9,103㎡、RC造(一部S 造)地上3階・地下1階建て総戸数70 戸(一般住戸62戸・介護用住戸8戸)。契約形態は終身建物賃貸借契約で、59㎡の賃料は一人入居の場合、<前払方式>75 歳で約1億7,000万円、80歳で約1億4,000万円、<月払方式>は約94万円。月額利用料は一人入居の場合で約26万円。利用料・食事代込みで月払い月額200万円を超えそうな100㎡以上は9戸。施工は大林組。設計は日建ハウジングシステム。従前敷地はNTTの社宅。
外観デザイン・エントランスは「市中の山居」をデザインコンセプトとし、プライベートガーデン「彩の庭」 には約1,100本の樹木を植栽。居室空間は都心高級マンション並みとし、生活リズムセンサーやカードキーの導入による見守り機能などを完備。
その他、コミュニティを育むライブラリーラウンジ、ラグジュアリーホテルのダイニングをイメージさせる「季響(ききょう)」ではイベントメニューやコースメニューも用意。大浴場はヒノキ風呂付き。
さらに、帝国ホテル出身の総支配人と2人の支配人に加え、同社グループのネットワークを活かした外部の各種専門コンシェルジュサービス、送迎シャトルバスの運用、アクティビティプログラム、様々な介護サービス、順天堂大学医学部附属順天堂医院の人間ドックの年1回送迎付き無料受診、併設するむらい浜田山クリニックでの健康診断なども行う。
説明会に臨んだ同社シニアレジデンス事業部長・井上貴嗣氏ら関係者は「富裕層向けサ高住はいくつか供給されているが、どこにも負けないと自負している」と異口同音に語った。3年後の満室稼働を目指す。
同社は今後、第2弾のリゾート型「鴨川」(全473戸)、ラグジュアリー型の「西麻布」(約300戸)を予定しており、年間1~2物件を供給することを目標に掲げている。
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社に戻り、原稿を書き出す丁度そのとき、オフィスのBGMは「第九」の第三楽章の演奏が始まった(第三企画だから第三楽章)。記念碑的なサ高住の記事にこれほどふさわしい音楽はない。この記事は最高の気分で書いていることを読者の皆さんにまず伝えたい。
約40年間の記者生活で、億ションの最高峰は同社の「麻布霞町パークマンション」であり、準都心部の高額マンションでは、やはり同社の「パークシティ浜田山」が最高で、100件は取材・見学しているサ高住・特養・有料老人ホームでは昭和63年に竣工した介護付有料老人ホーム「サクラビア成城」がトップだと思っている。
時代が異なり、規模も異なるので単純比較はできないが、今回の「浜田山」は「成城」(敷地が約1万㎡、延床面積が約22,000㎡の10階建て全150室・介護居室18室)とほぼ同レベルだと思う。それほど素晴らしい。
一つひとつ書き出すときりはないのだが、外観・中庭は「パークシティ浜田山」と似たところがあり、品がある。約1,100本の中高木を植えたという植栽の密度はこちらのほうが高い。
設備仕様も素晴らしかった。例えばエントランスラウンジの「伊達冠石」のオブジェ、100万円くらいしそうな古木のカウンター、無垢材の亀甲仕上げの壁、レストランの組子デザインの天井、その他の壁面アート・オブジェなどだ(上皇陛下・上皇后陛下が植樹祭などで植えられたイチイもあったが、フェイクだった)。細かな点では、居室とバルコニーはフラットサッシを採用して段差をなくし、洗面室も含めて床暖房を採用していることなど。
サービスでは、ラグジュアリーホテルのレストランをイメージして設計されたカスケード(滝)の庭が眺められるダイニングが圧巻。この日は試食会もあり、小生はベリー&アサイのジュース、クロワッサン、お吸い物のお椀、ローストビーフ、ジャガイモの何とか(トランプ大統領と安倍総理が炉端焼き店で食べたのはアイダホ産のジャガイモのポテトだが、これは北海道産)を食べた。最高に美味しかった。(獺祭の180ミリリットル入り大吟醸酒1,800円を頼んだのだが、この日は供されなかった)。
この食事サービスは、夕食なら1,400円くらいで食べられるそうだが、ホテルのレストランなら数千円はするだろうし、コースなら数万円してもおかしくない。
これらの設備仕様・サービスを評して「『パークマンション』並み」と絶賛したメディアの方もいたが、小生はこの意見については保留する。共用部や専用部の設備仕様、建具・家具などはやはり「パークマンション」に軍配があがるような気がするし、そもそも分譲マンションが提供するのは基本的に〝モノ〟であり、サ高住は〝サービス〟だから、比較するのは適当でないと思う。
賃料について。58㎡のタイプで一人入居の月払い1カ月約94万円(前払い金方式で75歳の場合1億6,992万円)、月額利用料約26万円というのは相場ではないか。ちなみに前払い方式の75歳の想定居住年数は15年で、80歳は12年だそうだ。看取りも行う。
大急ぎで書いたのでまとまりに欠けるような気がするが、感動は伝えられたのではないか。
強いて難点を上げれば、フェイクの「壁面緑化」だ。ほんものはお金がかかるというのなら、綱町三井倶楽部のロビー正面に飾ってあるターナー、霞が関の月曜会クラブの荻須高徳、中川一政らの作品、三井記念美術館に秘蔵されている芸術品、さらには入居者所有の絵画などを有償・無償で飾ってはどうか。ラウンジにグランドピアノがあってもいい。入居者にはプロ並みの人もいるはずで、好きなように弾いてもらうのはどうか。