不動産流通経営協会(FRK)は6月6日、定時総会を開き、新しい理事長に同協会副理事長の山代裕彦氏(三井不動産リアルティ代表取締役社長)を選任した。前理事長の榊真二氏(東急リバブル代表取締役社長)は副理事長に、前副理事長の田中俊和氏(住友不動産販売代表取締役社長)は顧問に就任した。
山代氏は次のように就任のあいさつをした。
不動産流通市場は、低金利政策の下支えの下、順調に推移しています。
レインズによりますと、平成30年度の首都圏の既存住宅市場としては、成約件数、取引金額ともに前年度を上回り、マーケットとしては底堅い動きで、総じて堅調な一年だったと言えるかと思います。
当協会は、社団法人としては昭和45年に不動産センターとして設立され、来年の令和2年5月29日には創立50周年という節目の年を迎えます。
この度、国土交通省の「不動産業ビジョン2030~令和時代の不動産最適活用に向けて~」に示されているように、当協会も不動産流通を担う一因として「ストック社会」の実現などビジョンに掲げられた目標の達成に向け、その貢献が強く求められているところです。
このような重要な時期に、わたしは理事長に就任することになりました。当協会が時代の流れを敏感に読み取りながら、新しい価値の創造と実現を目指し、令和時代の要請にしっかりと応えていくことが重要だと考えております。
このため、わたしとして、特に力を入れてまいりたいことを3点ほどお話ししたいと思います。
まず、一点目として、不動産流通市場の活性化、円滑化を進めるための「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適格な「情報発信」を重点活動として、これまで以上に努めてまいりたいと思います。
特に、当協会の長年の課題でもあります、既存住宅の入通促進のための税制改正です。
人生100年時代を迎え、ライフスタイルやライフステージに応じて多様化する住宅ニーズを支えるための税制改正要望については、関係諸団体と協力して、しっかりと活動してまいりたいと存じます。
次に、第二点目として、不動産の特性や需要に即して、柔軟かつ的確なビジネスが展開できるよう、新たな不動産流通制度・システムの構築に貢献してまいりたいと考えております。
次に、三点目として、お客さまの視点に立って、お客さまが抱えている問題を的確に解決できる仲介サービスを提供することが肝要であります。ネット時代を受け、不動産流通会社と消費者との情報格差が格段に縮小する中にあって、質の高いサービスを提供できる不動産会社が選択される時代となっています。
こうした時代だからこそ、人が主役の不動産流通業として、その果たす役割は、ますます重要になってくると思われます。
消費者の皆さまから信頼され、評価される不動産流通業たるべく、その担い手となる営業従事者への教育研修には、これまで以上に注力してまいりたいと考えております。
目の前には解決を要する課題が山積しております。来年4月には民法制定後、実質的に初めての債権法に関する改正民法の施行が目前に迫っております。不動産流通の現場で不安や混乱が生じることのないよう、万全を期したいと考えております。