タウングループ 創業40周年記念「御取引先様 感謝の会」(新高輪プリンスホテルで)
新田代表
タウングループは7月4日、創業40周年記念の「御取引先様 感謝の会」を開催した。会には関係者約750名が参加、数学者で「国家の品格」など著作も多い藤原正彦氏の「教養のちから」をテーマにした講演に聞き入り、エンタテイメント・荒牧陽子さんのショーなどを楽しんだ。
新田泉・タウングループ代表は、同社事業について首都圏での年間賃貸仲介戸数は49,500件に達し、全国ランキングでも6位に入り、全国展開の足掛かりとして新たに福岡県に拠点を設けたこと、店舗展開は現在89店舗を2020年までに100店舗に拡大すること、賃貸管理戸数約40,000戸で稼働率は98%であること、40周年事業として今年1月、八潮市にタウンインドアテニスアカデミーを開講したことなどを報告し、「中原中也の詩にあるように『思えば遠くに来たもんだ』の感慨深いものがあります。今後も時代を超えて存続する企業としてお取引先の方々の役に立つ覚悟を新たにしました」と締めくくった。
また、タウンハウジング執行役員広報室室長・江上琢氏は、同社のブランド・ミッション「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を改めて発表した。
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記者は他の取材があったので講演途中で退出したのだが、藤原先生は次のように切り出した。
「新高輪プリンスホテルでの講演に招かれるのは三度目ですが、いつも迷う。品川駅から歩いてくるのだが、道順をいつも間違える。困ったものです。
『教養』などと言われると、よほどの馬鹿を除き、みんな嫌な気分になる。世界中の誰一人として教養があるなどと思っていない。ものごとを知れば知るほど分からなくなる。私などは小学一年生より一万倍以上分からない。困ったもので、教養などまったくない。恥ずかしい限りです。
学者だって哲学者だって同じです。くだらないどうでもいいことを言葉で定義づけようとするが、その言葉そのものが分からない。死とは何か、世界とは何か、だれも何一つ定義づけることができない」
この軽妙な話に記者はすぐ引き込まれた。藤原氏ほどの人が品川駅からまっすぐ歩いて数分の新高輪プリンスホテルまでの道順を間違えるというのが面白いではないか。そして、よほどの馬鹿でない限り、みんな自分を無教養人とみなしていると話したのに合点がいった。
小生がこれまで40年も業界紙の記者として生きてこられたのも馬鹿を自覚し、馬鹿の限界を自分なりに理解してきたからだと思う。記事の量は、1カ月に原稿用紙にして200枚、300枚書いてきたのでそれなりの量になるはずだが、〝これが完璧〟と言える記事は一本も書いたことがない。だからこそ、読者の心を震わす完璧な記事を書こうと奮い立たせてきた。
藤原先生はこのあと、「改革に次ぐ改革を日本は行ってきたが、世の中はまったくよくなっていない」と話し、バブル崩壊後のわが国の社会経済について真相を看破した。
記者は、藤原先生の国語教育に力を入れるべきという主張に大賛成で、「祖国とは国語」(新潮文庫)など一連の著作を読んだ。藤原先生を講師に呼ぶタウングループも味なことをするものだ。