三井不動産は7月11日、全社共通の業務の決済・押印手続き・会計処理などの標準化・効率化を図る新システムを今年4月から導入し、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減できる見通しと発表した。
「働き方改革」の一環として2016年9月にITイノベーション部を中心に経理部、総務部、各事業部の事務担当者を含む総勢80名の部門横断型のプロジェクトチームを発足し、個別最適化されていた業務プロセスの標準化と、独立していた決済システムと会計システムの統合化に取り組み実現したもの。
新システムの導入により、年間約58,000時間の業務量が削減でき、契約書類、経費精算書、帳簿書類の入力・出力・押印などを電子化することで年間約840,000枚分の紙資料が不要となる見通しで、さらには印刷・郵送・保管コストなどの削減が可能になるとしている。
決裁・会計業務を支える基幹系システムをNTTデータ イントラマート社の「intra-mart®」とSAP社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージである「SAP S/4HANA®」を用いて構築し、経費精算機能としてコンカー社の経費精算・経費管理クラウド「Concur® Expense」とクラビス社のクラウド記帳サービス「STREAMED」を採用。また、システム基盤として日本マイクロソフト社のクラウド プラットフォーム「Microsoft Azure」とSAP社のマネージド型クラウド基盤「SAP HANA® Enterprise Cloud」を活用している。
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年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減されるとあるのに驚いたのだが、これだけではイソップの「牛と蛙」だ。
そこで12日(金)、同社広報に問い合わせたら、この日は「創立記念日で特別休養日とさせていただきます」のテープしか流れなかった。
やむを得ないので、1,526名の従業員一人当たりの労働時間に換算したら年間38時間になった。月に約3.1日だから、さらに業務の効率化を図れば週休3日制が実現できるのではと考えた…この計算は間違っているか。
紙資料の削減は見当がつかない。参考になるのは三菱地所のデータだ。同社は本社移転後の1年間の働き方及びワークプレイス改革により複合機出力数が45%、文具購入量が46%それぞれ削減できたと発表した。
これでもよく分からない。厚さを考えた。一般的な上質紙は100枚で1cmというから約84mの高さ、つまりマンションなら28階建ての紙が不要になる計算だ。従業員一人当たりだと約5.5cm、550枚分だ。
業務量と紙資源の削減をお金に換算したらいくらになるのか。興味のある人は計算していただきたい。数十億円にはなるはずだ。
ついでに、同社と各社にお願いだ。発表会・見学会などの返事も全てメールで可にしていただきたい。全部で月に10回、年間100枚は削減できる。
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本日(16日)、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減される見通しについて同社から回答があった。
業務量削減については、「個人や部門によって当該業務への従事度合いが異なるため、一人当たりの削減時間は出せませんが、全体で年間約30人分の業務が削減されて他業務に従事可能となる計算」で、紙資料については「約7%相当の削減」ということのようだ。