三菱地所レジデンス・三井不動産レジデンシャル・野村不動産の3社JV「ザ・ガーデンズ 大田多摩川」を見学した。東急多摩川線矢口渡駅から徒歩12分の全378戸の大規模マンションで、敷地南側に広がる多摩川水景の眺望が最大の売りだ。
物件は、東急多摩川線矢口渡駅から徒歩12分、大田区矢口3丁目に位置する14階建て全378戸。専有面積は55.36~84.87㎡、予定価格は4,500万円台~8,500万円台(最多価格帯5,500万円台)、坪単価は270~280万円になる模様。完成予定は2020年11月下旬。施工は長谷工コーポレーション。モデルルームオープンは7月13日。販売開始は8月上旬。
現地は、桂川精螺製作所の工場跡地。用途地域は準工地域だが、周辺に嫌悪施設はほとんどなく、敷地南側は区道を挟んで多摩川の河川敷。西側は小学校と保育園。
建物は4棟構成で、東向きの1棟を除き、南東向き・南向き・南西向きの住棟からは多摩川の眺望が期待できる。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、2.2mハイサッシ、奥行き2mバルコニーなど。
近接するモリモト「アールブラン武蔵新田」(モデルルームは隣あわせ)との競合はないという。
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若い方はご存じないかもしれないが、20~30年前、東急多摩川線沿線では大量のマンションが分譲された。
主だったものを列挙すると、東急不動産「東急ドエルアルス多摩川」(1987年竣工、461戸)、三菱地所「パークハウス多摩川」(1989年竣工、575戸)、総合地所・ニチモ他「東京サーハウス」(2003年竣工、758戸)、東京建物・三菱地所・新日鉄都市開発「シエルズガーデン」(2003年竣工、486戸)、三菱商事・三菱地所他「ザ・リバープレイス」(2004年竣工、962戸)などだ。その少し前には住友商事「多摩川ハイム」(1981年竣工、272戸)が分譲され、人気を呼んだ。トータルで3,514戸だ。他物件を含めると4,000戸をはるかに突破するはずだ。
記者はこれらをほとんど取材している。「東急ドエルアルス多摩川」はバブル発生頃に分譲された。ダミーの申し込みを排除するため、東急不動産はモデルルーム見学に際し本人確認を証明する書類の提出を求めたほどだ。バブル崩壊後に分譲されたマンションも売れ行きはおおむね好調だった。
さて、今回の物件。売主に幹事の三菱地所レジデンス(事業比率は非公表だが、同社は50%を超えないようだ)と三井不動産レジデンシャル、野村不動産が並んだ。いわば〝オールジャパン〟のマンションだ。
常識的には申し込みが殺到してもおかしくないがどうか。判断するのはユーザーだ。駅から12分がどう評価されるか。物件名には〝ザ・パークハウス〟の三菱、〝パークホームズ〟の三井、〝プラウド〟の野村が付いていないように、商品企画は三菱でも三井でも野村でもないと感じた。
モデルルームはよくできていた。観葉植物は全てではなかったが本物が置かれていた。びっくりしたのは、子どものいない夫婦を模したマネキンが置かれていたことだ。夫と思われる男はバルコニーの椅子に腰かけ、多摩川を眺めていた。妻と思しき女は身長が170cmくらいありそうなほっそりした像で、男に背を向ける形でリビングに爪先立って佇んでいた。その像は東郷青児やモジリアニ―が描くような美人ではなく、何を考えているのか読みづらい表情だった。
それぞれがべったりでない距離を感じさせるその対比が面白い。これはいける。大ヒットするかもしれない。せっかくの商品企画・設備仕様を台無しにするフェイクの観葉植物よりずっといい。ターゲットにあわせ子どもや子犬、子ネコのぬいぐるみも効果的だろう。