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2019/08/31(土) 16:32

食品ロス減・ユーグレナ・SDGs貢献 一石三鳥の「みどりの救缶鳥+(プラス)」販売

投稿者:  牧田司

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秋元氏(左)出雲氏

 〝食品ロス減を実現する〟〝多様な栄養素を持つユーグレナ配合〟〝SDGsに貢献〟-この〝一石三鳥〟の特徴を持つ長期保存が可能な「みどりの救缶鳥+(プラス)」が本格販売される。

 商品を開発したパン・アキモト代表取締役 秋元義彦氏とユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏が8月30日、東京建物が応援するサスティナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントに出席し、世界規模での事業展開が可能であることをアピールした。

 「みどりの救缶鳥+(プラス)」は24缶/ケース。1缶100グラム、295キロカロリー。賞味期限は5年。

 オープンイベントではこのほか、ARUN,LLC.代表 功能聡子氏、自然電力海外事業部長 古賀大幹氏、アラムポート取締役 西森聡一郎氏、ボーダレス・ジャパン代表取締役副社長 鈴木雅剛氏がそれぞれ「ベンチャー×グローバルによるSDGsの世界展望」について報告・ディスカッションした。

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◇       ◆     ◇

 秋元氏は、栃木県那須塩原市に本拠を置くパン・アキモトの二代目社長。1995年1月の阪神・淡路大震災時に2千個のパンをトラックに積んで被災現場に運んだところ、時間がかかったため、約6割を廃棄せざるを得なかったことに心を痛め、被災から1年後、3年間保存できる世界初の「パンの缶詰」を開発した。

 そして2004年、新潟中越地震のとき秋元氏が「パンの缶詰」を被災地に持ち込んだのが報道され、注文が殺到した。しかし、納入先の自治体から「賞味期限が切れた缶詰を処分してほしい」という新たな難問が発生した。

 ピンチはチャンスだ。そこで思いついたのは、賞味期限が切れる半年前に回収し、飢えなどに苦しむ海外へ義援物資として送るアイデアだった。「救缶鳥プロジェクト」はそうして2009年9月スタートした。

 その後、2016年9月、ニッポン新事業創出大賞グローバル賞、2017年12月、第5回グッドライフアワード環境大臣最優秀賞、2019年7月、社会貢献者表彰などを受賞している。

 秋元氏は「阪神淡路大震災が起きた1月17日はわたしの誕生日でして、誕生日のお祝いを中止し、現地にパンを運んだが日持ちのしないパンを廃棄せざるを得なかったのが救缶鳥プロジェクトのきっかけ」と切り出し、「小さなパン職人と大きなユーグレナの研究者が一緒になってビジネスモデルとして世界に広げたい」と語った。

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 ユーグレナは、2005年8月、東大発のベンチャー上場企業として出雲氏らが設立。「人と地球を健康にする」という想いが創業の原点にある。

 創業の翌年、世界で初めて微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)の食用大量培養に成功。2012年12月、マサーズ上場、2014年12月、東証一部上場。2018年9月期の売上高は151億円。

 太陽光と水と二酸化炭素だけで大量培養・供給できるユーグレナを核に食品利用のほか肥料・飼料への応用、バイオ燃料化、医薬品への応用など多角的な事業展開に取り組んでいる。

 出雲氏は、「子どもたちはビタミンAと鉄分が致命的に不足していた。結果、失明や慢性的な貧血症に陥っていた。その時の体験が創業の原点」と、21年前にバングラディッシュを訪問した際の食糧事情の悪さについて触れ、現在では「一袋230キロカロリーのユーグレナクッキーを1日一万食届けることができるようになり、85万人といわれるロヒンギャ難民の子どもたち2万人に食と仕事と栄養を届ける事業をスタートさせた」と語った。

 また、大学ベンチャーについても、「2005年以降、2778社の大学発ベンチャーが設立されたが、うまくいっていない。約2,000社ある上場企業のうち大学発ベンチャーは一社もない。2023年までに20社のユニコーンを創出するという政府目標に向かって、当社も2匹目、3匹目が生まれるよう協力していく」と述べた。

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 「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントは先月も取材し記事にもしているので合わせて読んで頂きたい。約2時間ぶっ通しで行われるので疲れるが、話はものすごく面白い。登壇者や参加者がみんな若いのもいい。

 今回は、会場に入ったとたん「みどりの救缶鳥+(プラス)」(写真参照)が目に飛び込んできた。ネーミングがいい。いつもは、九官鳥そっくりの〝休肝日、休肝日〟の声にをだんまりを決め込むのだが、これには敏感に反応した。ネーミングを含めデザインを担当したのはクオーターバック代表取締役・中島セイジ氏だ。

 もう一つ、記者の目をくぎ付けにしたのは、アマガエルや公衆電話機より鮮やかなやや黄みを帯びた緑のネクタイだった。すぐ誰かは分かった。記者も同系統のものを何本か持っているが、スーツにあうよう濃緑のものばかりだ。

 その、目も彩というより目を疑う緑色のネクタイを締める勇気にあっけにとられたので聞いた。「社長、そのネクタイは社員もつけるんですか」「いえ、わたしだけ」「特注品ですか」「いえ、楽天で買える。980円」…社長、テレビCMに「ユーグレナ」の社名、商品はたくさん出てきますが、あの通販の名物会長の向こうを張って社長直々に出演されたほうが効果的ではないですか。堀江貴文氏よりはるかに話は面白い。「人と地球を健康にする」理念が最高に素晴らしい。

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 参加者にプレゼントされた「みどりの救缶鳥+(プラス)」を持って帰った。「あら、これ栃木のアキモトさんという有名なパン屋さんの非常食。何度も買って、賞味期限切れのパンを食べさせたじゃない。〝美味しい〟って食べたじゃない」「? …」

 缶詰に、日常的に出来立てが食べられることを強調したコピーを追加したら売れ方は全然違うのではないか。〝非常〟を連想させる〝常備〟は適当でない。

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イベント後、参加者に振舞われた「みどりの救缶鳥+(プラス)」

〝世界に発信〟 企業×自治体 先進的SDGs取り組み事例紹介「City Lab Ventures」(2019/7/25)

 

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