アキュラホームは9月13日、災害時に支援施設として一般に開放する日本初のモデルハウスを久喜市の住宅展示場「モラージュ菖蒲ハウジングステージ」に公開した。
日産自動車、日産フリンス埼玉販売と災害連携協定を結び、蓄電量40kwhの大容量の発電能力を有す電気自動車日産リーフを展示場に装備し、災害時の停電時に電力を供給するとともに、掘削した井戸から井戸水を提供し、さらに災害備蓄品を装備することで、一時避難所として提供する。日産は災害時には他のリーフの配備も行う。
同社は今回のモデルハウスを全国150カ所の住宅展示場にも展開する意向で、他のハウスメーカーが同様の取り組みを行うことを期待している。
記者発表会に臨んだ同社宮沢俊哉社長は、「災害に強い住宅を供給するのは我々の使命だが、同時に復興を支援するのも重要。すでに4~5年前、井戸付き住宅を提案し、令和元年には日産リーフを標準装備し、太陽光発電と蓄電池機能を備えた全館冷暖房費ゼロ、光熱費ゼロ、自動車燃料費ゼロの『ミライの家 Rei』を発売した。今回、災害支援施設にしたのは、リーフの大容量の蓄電池機能を生かし、一時避難場所としても提供することで地域に貢献する」ことが狙いとし、今後は「当社の全国150カ所の住宅展示場でも順次装備していく。同様の取り組みが他のメーカーにも広がることを期待している」と述べた。
モデルハウスは、木造2階建て延べ床面積約19.㎡。停電時には約6,000人以上(1台30分)の携帯電話を充電することが可能。6×6mスパン、天井高約5660ミリの吹き抜けリビング大空間を提案しているほか、オリジナル全館空調システム、手掘り井戸を装備している。
同社はまた、激発する自然災害を受け、〝災害に強い住まい〟として太陽光発電と5.6kWの蓄電池を装備した「ココイエ レジリエンス」を85㎡:1,450万円~50棟限定で緊急発売する。
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意表を突くいい取り組みだ。記者は車の購入費や維持費は安くなく、その分だけ住宅建設や購入費を抑えなければならないので〝住宅の敵は車〟だとずっと思っていた。環境汚染や〝死の恐怖〟のリスクも考えると車は両刃の剣だ。
その車と高機能の住宅や住宅展示場と組み合せれば、災害時に人々を救うことを知った。
ただ、車のことは全く知らないので、〝どうしてリーフでないといけないのか〟と聞いたら、宮沢社長も日産自動車関係者もリーフは他社の電気自動車と比べ蓄電容量が大きいのだという。40kwhだと東京-名古屋間を走れるというし、停電時の住宅では、昼間の使用量を抑えれば4日間くらいは持つという。(高性能の充放電機器パワーステーションは100万円前後というのが課題のようだ)
住宅展示場を災害時の一時避難場所にするのも大賛成。住宅展示場が全国にどれだけあるかしらないが、敷地面積はどこも広いはずで、最先端の住宅ばかりだろう。相当数の人を受け入れることが可能なはずだ。
難点は、どこの展示場も火気厳禁になっているはずで、モデルハウスはトイレや風呂、調理できる仕様になっているのかどうか。
それと水の確保だ。宮沢社長の自宅は水質検査を行った結果、飲料水として利用できるようになったとか。全国の住宅展示場も共同で掘れば費用は抑えられるはずで、水は飲めるのではないか。
住宅展示場がそのような施設になれば、見方も変わるはずだ。ひょっとしたら、来年のグッドデザイン賞で最優秀賞を受賞するかもしれない。それくらいのヒット作だ。