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2019/12/02(月) 18:04

複雑な思いで読んだ 沖縄の米軍用地の取引 不在地主呼び込み活発とか 週刊住宅の記事

投稿者:  牧田司

 週刊住宅の今週号(12月2日号)1面記事を複雑な思いで読んだ。沖縄県の米軍用地の売買が個人投資家の間で活発で、銀行の担保価値は借地料の50倍にも達し、借地料は毎年1%上昇していると報じたものだ。国土の0.6%しかないのに米軍施設の70%超が集中し、沖縄本土の約19%が米軍用地というまるで植民地のような扱いを受けているのに心を痛めている記者は暗澹たる気持ちにもなった。戦争も軍事拡張も経済の延長で、資本の論理が貫徹されるとはいえ、あけすけにそんな恥部をさらけ出すことはないのではないか。メディアリテラシーについても考えさせられた。

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 今週もまた業界紙は代わり映えしない記事だろうと思っていたら、あにはからんや、週刊住宅は「沖縄 米軍用地の売買活発 地価は下落知らず」の横2段通し見出しと、「借地料、毎年1%上昇 銀行担保評価額は借地料の50倍」の縦4段見出しの記事が1面を飾っているではないか。

 とっさには何が書かれているか判断が付かなかった。強制的に収奪された地主たちは返還運動を展開しているのではなかったのか。

 よく読むと〝なるほど〟と納得もさせられる。何しろわが国の2019年度の防衛予算は約5.3兆円だ。同紙によると、国は毎年100億円の借地料を地主に支払っているという。国が借地人で、借地料が毎年1%確実に上昇するのであれば、貸すほうだって安心して貸せるし、銀行にとっても担保価値があるということだろう。

 同紙は地元軍用地の投資研究者のコメントとして、現在約4.2万人の地主が5万人に増大するのは時間の問題だとし、3,044㎡の土地が22区画(1区画138㎡)に分筆されて売買されていることを紹介している。

 記事には「個人投資家、本土から参戦」などと笑えない見出しも踊っている。

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 沖縄は〝3K〟、つまり基地、公共事業、観光経済を支えていると言われているが、この米軍基地用地の売買はその典型例なのだろうか。

 〝投資家〟も投資家だ。いくら取りはぐれがないとはいえ、沖縄県人の神経を逆なでするようなことがよくできたものだ。小林多喜二の「不在地主」を思い出した。多喜二はこれを書いたために北海道拓銀を首になった。沖縄県は逆か。

 

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