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2020/01/09(木) 17:53

〝北千住に負けるな〟割り負け京王線の希少免震 日鉄興和不「つつじケ丘」

投稿者:  牧田司

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「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」

 日鉄興和不動産が3月に分譲する「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」を見学した。京王線つつじが丘駅から徒歩2分の免震17階建て全105戸(非分譲住戸36戸含む)。坪単価380万円でほぼ完売した三菱地所レジデンス「千住ザ・タワー」184戸を超えるかどうかが記者の最大の関心事だ。

 物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩2分、調布市東つつじヶ丘一丁目に位置する17階建て全105戸(非分譲住戸36戸含む)。専有面積は33.36~78.28㎡、価格は未定。竣工予定は2021年11月下旬。設計・施工は淺沼組。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地は、スーパーマーケットの跡地で、道路を挟んですぐ京王線の線路が走る商業地域の一角。

 建物は17階建て、2階建て商業棟との複合。住居は2階以上。コンパクトからファミリータイプまで1フロア6~7戸。ほとんどは眺望が開ける東向きと南向き。4戸ある78㎡の住戸からは富士山が眺望できそう。モデルルームは白の「つつじ」をイメージした木目調を強調した明るいデザイン。

 担当者は、記者の「京王線は他の沿線と比べ割り負けしている。三菱地所レジデンスさんの坪単価380万円の『北千住』には負けてほしくない」という挑発に乗り、「わたしも『北千住』には負けたくないと思いますが…沿線の他物件はみんな価格が低いので…これから価格を決める」と語っている。

◇       ◆     ◇

 以下は、京王線に40年以上住む記者の我田引水の手前勝手、牽強付会の記事であることを了承していただきたい。しかし、極力客観的データに基づき、一般のお客さんをミスリードしないように心掛けたつもりだ。

 前段で「京王線は割り負けしている」と書いた。これは記者だけでなく、他のデベロッパー担当者もそう思っているはずだ。

 マンションの利便性は、これまでは新宿、渋谷、池袋、東京、あるいは中核都市の立川、横浜、浦和、大宮などが起点となっていたのに、ここ10年くらい前から東京・大手町一色になった。ために単価的に低水準だったエリアが注目され、冒頭に書いたように「千住ザ・タワー」は、大手町へ16分の利便性が評価されたのか残り1戸と信じられない売れ行きを見せている。

 記者は、住宅地としては「北千住」より上位で、利便性でも新宿へ18~21分の「つつじケ丘」は「北千住」と同程度の評価が妥当と考えている。

 記者の主張を裏付けるデータもある。国土交通省のデータだ。

 JR・私鉄各線の主な路線別の1カ月当たり(平日20日)遅延証明書発行日数でもっとも少ないのは東武東上線の3.0日で、第2位が東武伊勢崎線の4.2日、第3位が京王井の頭線の3.3日、以下、相鉄線4.2日、大江戸線4.9日、京王線5.0日の順。

 沿線人気が高い中央快速は18.8日、山手線は17.0日、東急東横線は15.1日、小田急線は14.8日だ。これまで遅延が少ないと言われていた京急線でも5.7日だ。最悪なのは中央・総武線各駅停車の19.2日。

 混雑度だって多沿線は軒並み180~190%台なのに対して京王線は120~160%台にとどまっている。スマホや新聞がかろうじて読める(読めないか)混雑度だ。

 このことからも、いかに京王線が決められた時間にきちんと目的地に着く、住みよい街であることがわかる。

 まだある。京王電鉄は、令和4年完成を目指し京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業を行っているが、新しく整備される7駅(代田橋駅・明大前駅・下高井戸駅・桜上水駅・上北沢駅・芦花公園駅・千歳烏山駅)の駅舎の外観デザインを昨年決定した。駅は一変する。

 記者の街のポテンシャルを図る「ホテルの有無」「百貨店の有無」「歴史・文化」という3つの物差しで測ると京王線はどうなるか。

 「ホテル」とは結婚式・宴会ができるホテルの意味で、起点の新宿を除き京王線には調布、多摩センター、八王子と3カ所ある。中央線も小田急線も東横線、田園都市線だって1つか2つだし、東武東上線・伊勢崎線には1カ所もない。

 百貨店はどうか。これは時代の流れか、3つも4つもあった京王線はゼロになり、まだ2つもある中央線・立川に圧倒的に負ける。しかし、百貨店は他沿線も少ないはずだ。

 3つ目の歴史・文化・飲食の充実度だが、これも京王線は他に負けない。コンサートホールは5つも6つもある。酒は多摩市限定の「原峰のいずみ」がある。

 どうだ、みなさん。マンションのパンフレットは広告代理店に丸投げしているのだろうが、別のモノサシに改めたほうがいい。〝駅近〟と〝大きさ〟のみの希少性や、データがあいまいな〝住みたい街ランキング〟などは辟易だ。

 ここまで書いてきたのだが、実際の市場はどうか。沿線の最高値マンションは、2017年竣工の三井不動産レジデンシャル「パークリュクス渋谷西原」の坪単価400万円で、2017年竣工の野村不動産「プラウド府中ステーションアリーナ」の坪360万円が続く。いま分譲中の同じ「つつじケ丘」の物件は坪300万円を大きく割り、坪300万円を超える「調布」の物件も〝苦戦〟が伝えられている。坪単価300万円の厚い壁がある。

 日鉄興和「つつじケ丘」は、京王線で2棟目か3棟目となる免震は強調材料だが、設備仕様レベルはLIXILのトイレ「サティス」以外はやや物足りない。よって「北千住」を超えるのは微妙と読んだ。野村「府中」は超えてほしいが…。

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