「BONUS TRACK(ボーナス トラック)」(SOHO)
小田急電鉄は4月1日、開発を進めている「下北線路街」内の施設「BONUS TRACK(ボーナス トラック)」を開業する。開業に先立つ3月30日、報道陣に公開された。隣接地には保育園が同時に開業する。
「下北線路街」は、小田急線東北沢駅-下北沢駅-世田谷代田駅間の地下化に伴う全長約1.7km、約27,500㎡の線路跡地を開発するもので、全体で13プロジェクトある。
「BONUS TRACK」は、下北沢駅と世田谷代田駅間にほほ中央にあり、敷地面積約1,300㎡、延床面積約900㎡のSOHO4棟と商業施設1棟。「支援型開発=サーバント・デベロップメント」がコンセプト。この事業のプロデュースをきっかけに設立された散歩社に賃貸し、散歩社がテナントに転貸する。14のテナントはすべて決まっている。
SOHOは1階5坪、2階5坪の合計10坪の店舗兼住宅4棟で、カレー&バー、有名コレクターのレコード店、日記本の専門店、秋田の食材・酒などに特化した店、酒やコーヒーも飲める本を読むための店など、個人事業主中心の個性的な店で構成されている。
店舗は、毎月約40本のトークショーなどを行う新刊書店、24時間営業の会員制コワーキングスペース&フリーキッチンの店、世界各地の発酵食品の販売店、コロッケ定食店の4店舗が入居する。
SOHO部分は第一種低層住居専用地域で、非住宅部分の床面積が50㎡以下で建築物の延べ面積の1/2未満の規制をクリアしている。店舗部分は第一種中高層住居専用地域。敷地を縦断する幅員4メートル歩道は、世田谷区の避難緊急道路として提供する。
同社生活創造事業本部 開発推進部課長・橋本崇氏は、「今回開業する6番ブロックは、賃料がここ10年間で約3倍に上昇し、地元の個性的な淘汰されつつある下北沢のテナントを支援する『支援型開発』がコンセプト。働きながら住めるSOHOと個性的な商業施設を整備した」と話した。
◇ ◆ ◇
「支援型開発」というコンセプトがいい。さすが小田急というべきか。「下北線路街」はゆっくり歩いて30分くらいだ。間違いなく下北の新たな名所になる。賃料は聞かなかったが、自社の線路上のSOHO&店舗だから相当安いはずだ。
記者は新刊書店、日記本屋をじっくり見て回った。いずれもこの日は販売していなかったが、お金があったら買いたくなるような知らない本がたくさん置かれていた。その一方で、記者が大好きな福永武彦、島尾敏雄などの小説もあった。
本を読むための店は初台が1号店で、最長11時間(4~5,000円)利用した人がいるとか。
秋田の酒と野菜などを使ったおかゆを販売する「ANDON」では秋田県の日本酒度+15の超辛口「ど辛」を2杯頂いた。内閣府地域活性化伝道師の肩書もある事業主の武田昌大氏とフキノトウやコシアブラなどについてしばし歓談した。酒代は少しまけてもらった。