東京都は4月30日、新型コロナウイルス感染者が新たに46人確認されたと発表した。うち15人(32.6%)が感染経路不明・調査中。感染者は前日の47人に続き2日連続して50人を割った。一方で、70代以上の高齢者は18人で、全体の39.1%に上った。
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これまでも指摘してきたことだが、院内感染と高齢者施設でのクラスターが増加しているのが気掛かりだ。別表は、70代以上の感染者の推移を見たものだ。
4月30日現在の全感染者4,152人のうち70代以上は746人(18.0%)だ。多いか少ないかはともかく、4月1日以降の感染者数と比率を見ていただきたい。4月12日の74人(44.6%)が突出しているのは中野江古田病院で大量の感染者が判明したためだ。
その後、感染者比率はほぼ20%を割っていたが、23日に27.6%に達したのをきっかけに8日連続して20%を超え、昨日(30日)は39.1%に跳ね上がった。これは、江東区の特別養護老人ホームで職員を含む39人の感染者が判明したことに起因すると思われる。
詳しいデータはないが(厚労省に問い合わせ中)、最近の感染者でもっとも多いのが医療・介護従事者ではないか。これまで院内感染の事例は337人報告されており、70代以上の感染者を合わせると相当数にのぼるはずだ。
病院・高齢者施設の高齢者を中心とする患者・入居者の感染をどうして防止するかが重要だと思う。患者・入居者自身が感染源となるのはまずありえない。外出は散歩くらいだろう。
だとすると、職員を感染から守ることしか有効な手段はなさそうだ。だが、しかし、職員も家族があり生活がある。〝外界〟から遮断するわけにはいかない。
記者は特養と有料老人ホームにそれぞれ一泊して取材したことがある。特養の取材を終えてからどっと疲れが出て半日寝込んだ。特養の職員の方が「オンとオフ、この切り替えができない人は自分が狂う」と話したのがいまでも忘れられない。しっかりした支援策が必要だ。