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2020/05/03(日) 16:04

新型コロナ感染死亡者 性別も年代も死亡日も開示されない現実 ファシズムでないのか

投稿者:  牧田司

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東京都が公表した5月2日の死亡者リスト

新型コロナウイルスに斃れた犠牲者の方々には心からご冥福をお祈りいたします。ご遺族・ご家族の方々にはお悔やみもうします。同時に、われわれはこれでいいのか社会に問いたい。この記事は、すべての犠牲者とご遺族・ご家族への弔意でもあり、暗黒社会そのもののいまの社会に対する怒りの表明だ。

       ◆     ◇

東京都は昨日(52日)、新型コロナウイルス感染症による死亡者が15人確認されたと別紙の通り発表した。

別紙はA4のペラ紙1枚に死亡者の番号、性別、居住地、診断日、死亡日が記載されている。

ところが、死亡者15人のうち各欄が全て記載されている人は5人しかなく、8人は診断日と死亡日は空欄で、残りの2人は死亡者番号しかない。全て空欄だ。

記者はこのペラ紙に愕然とした。いつ感染したのかもいつ死んだのかも、男か女か、年齢も明らかにされずただ番号だけ振られて死んだ人の尊厳はどうなるのか。人の命が軽んじられていないか。

その理由は聞かなくたって分かる。都は、(データを公表していない理由として「感染による偏見を恐れる遺族もいて理解を得るのが難しい。近所にも伏せていたいのに、公表されてしまうと推測されるのではないかといった心配もある」(53日付朝日新聞)と話しているように、故人や遺族・家族のプライバシー、個人情報に配慮してのことだろうと推測される。

しかし、これは明らかに間違いだ。人の命にかかわる問題だ。どのような法に照らし合わせて、このような人を人として扱わない非情なことができるのか。きちんと説明していただきたい。感染を隠ぺいしようという雰囲気を政治が醸し出しているように思えてならない。

病院に行く途中で倒れて路上で亡くなった事例も報告されている。早期診断、治療を施していれば救われた命かもしれない。情報の非開示は、人の命をないがしろにする姿勢が透けて見える。

この現実は、例えが適当ではないかもしれないが、収容者番号だけ付けられてガス室に送り込まれ闇に葬られたアウシュヴィッツとどこかつながりはしないか。

怖いのは、こうした非常識・無情を許容するわれわれ市民がいるということだ。まるで〝犯人捜し〟をするように、感染者を明らかにするよう集落ぐるみで自治体に迫るところもあることが報じられたし、あろうことか、患者が発生した家に石を投げ、落書きをする人がいたとも聞く。

これはもう完全なファシズムだ。あのヒロシマ・ナガサキ、オキナワも、東日本大震災も犠牲者を徹底して探し出し記録に留め、慰霊碑に名を刻んでいるではないか。その真逆のことがわが国でいま蔓延している。コロナ以上に怖い。

       ◆     ◇

 同じように考える専門家の方もいるようだ。一人は、三重県出身で元厚生労働相の医師・坂口力氏だ。

坂口氏は、新型コロナの感染が広がる状況について417日付朝日新聞の取材に次のように語っている。

 「新型コロナと、慢性疾患のハンセン病は病気としての性質は異なりますが、今起こっている差別的な状況やその原因は基本的に同根だと思います。

 ハンセン病については、国が『この病気にかかった人は隔離しなくてはいけない』という間違ったメッセージを社会に送り、あれほど大きな人権問題に発展しました。人々は正しい知識を伝えられていないため、『遺伝する』『感染しやすい』などと考えました。患者だけでなく、その家族も何世代にわたって冷たい目で見られ続けました。

 新型コロナに感染しても多くの人は症状が治まり、もとの生活に戻ります。『病気そのものに対して排除の動きをとってはいけない』というメッセージを政府が送り、国民も認識しなければなりません。

新型コロナの感染者に関する国のデータを見ても、症状がある人の多くは軽症で、重症化しても回復している人が少なくありません。国は、病気の特徴を踏まえて「克服すれば正常になり、後に何も残るものではない」ということも伝えてほしい。今は、自分たちがやろうとしている政策の説明に全力をあげている印象を受けます。

 差別や偏見をうまないためにも病状についての説明が大事だと思います。自治体のトップも『不要不急の外出自粛』などを訴えるだけでなく、丁寧に説明する必要があると思います。

 差別や偏見が起こりつつある事態には注意する必要があります。だれもが感染者になり得ることを忘れてはなりません。どんな立場になっても互いが手をさしのべる。『あたたかい社会』をつくるため、苦しんでいる人を現在と今後の社会でどう支えるかを考えることが大切です」

 もう一人は、著書「ファシズムの教室」「愛と欲望のナチズム」などで知られる甲南大学・田野大輔教授だ。

 田野氏はやはり52日付朝日新聞記者の「新型コロナウイルスの感染者が発生した大学に脅迫電話をかけたり、県外ナンバーの車に傷をつけたりする『コロナ自警団』のような人が現われています。なぜだと思いますか」という問いに対して次のように語っている。

 「私は、権威への服従と異端者の排除を通じた共同体形成の仕組みのことをファシズムと呼んでいます。こうした『自警団』的な行動は、今回の『コロナ禍』のように、社会に大きな不安が生じたときに生じやすい。公的な対策が不十分な中で、多くの人が自己防衛の必要にかられ、他人に過度の同調を要求するようになります。政府が『自粛』要請という形で、個々人に辛抱を強いることで問題を解決しようとしていたことが、結果的に人々の不安を増大させ、異端者への激しい非難を引き起こしたともいえるでしょう」

 「(ドイツでは)当初、一部でアジア人への差別的な言動が生じましたが、感染が拡大してからは、そうした動きはありませんね。早い段階で、政府が外出制限・休業補償などの対策を打ち出し、国民の支持を得たからでしょう。テレビや新聞の報道でも、感染を個人的な問題ととらえる視点が全くありません。個々人に責任を押し付けようとする日本とは対照的です。

 日本では、政府が『自粛』要請というあいまいな対策で危機をやり過ごそうとしたために、多くの人々の間で不安が高まっていますが、それが異端者をたたこうとする言動につながっているんだと思います。これを防ぐには、人々の不安を解消できるような明確な対策を打ち出すしかありません」

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オオアマナ(大甘菜)とカタバミの一種

 

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