RBA OFFICIAL
 
2020/05/25(月) 16:59

リモートワーク継続希望60% 仕事の質・量の低下など課題も イ―ウェル調査

投稿者:  牧田司

東急不動産ホールディングスグループのイーウェルは525日、新型コロナの 緊急事態宣言に伴うリモートワーク実施下での従業員の働き方実態をまとめ発表した。

健康経営およびウェルビーイング経営の研究を行う森永雄太氏(武蔵大学経済学部経営学科教授)の監修により、企業に勤める20代~60代の男女3,079名を対象に、2020427日〜202052日に行った。

調査の結果、①リモートワークをしている従業員は、余暇時間の質や量の満足度が向上している一方、仕事の質・量が低下している傾向が見られた。生産性の維持・改善が急務と考えられる②運動量が低下したと回答する従業員は75%。これは外出自粛の影響も大きいと考えられる。一方、睡眠時間が改善したとする従業員も多く、健康面での部分的な好影響も示唆された③「出社しないとできない作業がある」「設備等が不十分」といった業務設計やインフラ関連の課題の他、コミュニケーション上の課題も浮き彫りとなった④今後通常通り出社できる社会情勢になった場合もリモートワークを継続したいとする従業員は約60%にのぼり、継続に否定的な従業員22%を大きく上回った-などが分かった。

調査結果に対し、森永氏は次のコメントを寄せた。

今回の調査は、コロナウイルス感染症の大流行とそれに伴う緊急事態宣言の発令により多くの企業がリモートワークを急遽導入せざるを得なくなった状況で実施したものです。そのため結果の解釈には慎重を期す必要がありますが、リモートワークに初めて取り組んだ従業員の戸惑いが表れており、組織にとって有益な示唆を得ることもできそうです。

調査結果は、組織がリモートワークをうまく導入することで、従業員の生活習慣やウェルビーイングに良い影響を与えられる可能性を示しています。例えばリモートワークの導入で従業員の余暇時間に対する満足度が質・量の両側面で上昇していることが分かりました。また、睡眠時間や栄養バランスの良い食事などの生活習慣も若い世代を中心に改善していることが分かりました。(なお、運動習慣はどの世代においても低下しており、これは外出自粛の影響も大きいと考えられます)。

一方、問題点も明らかになりました。初めてリモートワークを経験する人たちの間で特に、仕事の生産性が低下していると感じていることがわかりました。これは、リモートワークに適した役割分担や業務フローの構築などの事前準備が不十分だったことも原因の1つだと考えられます。また仕事の設備面(作業設備やネットワーク環境)の不備を課題に感じる人の割合も多いことが分かりました。そして、この課題認識はテレワーク経験の有無別の集計でも結果に大きな変化はみられないことがわかりました。今後は、オフィス外の仕事設備の整備をいかにすすめるのかについて、組織側がこれまで以上に積極的に検討する余地があるかもしれません。

テレワークの課題は、他にもありそうです。上司や同僚とのコミュニケーションが減ることについて課題を感じる人の割合が多いことが示されました。これは、リモートワークでは従業員が抱える問題が組織側から見えづらくなることを意味しています。そのため「困った時に助けを求めにくい」ことに課題を感じるという回答が高い割合で得られました。さらに注意したいのは、一部の人だけが直面する深刻な課題への対応です。例えば「家庭内の子育てや介護で集中して仕事に取り組めない」という問題は、全体ではそれほど大きな問題としては認識されていませんが、「小学生未満の子どもがいる従業員」のみにおいて「非常に課題に感じる」の割合が20%を超えています。このような少数派の課題は組織側からは見逃されやすく、一部の人のウェルビーイングを大きく損なう要因となり得ます。上司部下間はもとより同僚間のコミュニケーションを活性化し、相互の支援を引き出しやすい仕組みの導入や風土づくりが一層求められるでしょう。

 

 

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