昨日夜、NHKが「HARUMI FLUG」の「入居時期が1年程度遅れ」、すでに販売された940戸の既契約者は「デベロッパーの説明では、1年遅れの入居を受け入れるか、解約して手付金の返還を受けるか年末までに判断するように言われた」と報じた。その後、各メディアも一斉に記事を発信した。
この件について、事業主の幹事会社・三井不動産広報は「私たちから新たな引き渡し時期について話していない。いまゼネコンさんと折衝中」としており、「引き渡し時期が決まらないので、販売再開も現段階では未定」としている。
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引き渡し時期が当初予定の2023年3月より後にずれ込むことがほぼ確定した。
既契約者もショックだろう。マンションの購入者は引き渡し時期に応じて賃貸借契約の解除、子どもの転校、公共料金の手続きを行う。多くのマンション引き渡しが3月になっているのは、子どもの転校にそれほど抵抗感がないからだ(小生は、引き渡し直前になって子どもから「お父さん、引っ越しいやだ。友だちと別れたくない」などと泣きつかれ、手付流しで解約したことがある)。
しかし、報道にあるように、契約者が手付金の倍返しや違約金を請求することはまず認められないだろう。売買契約書に「引き渡し前の滅失・毀損」条項があり、天災地変その他売主または買主のいずれの責めにも帰すことのできない事由によって物件が毀損した場合は、売主は物件を修復して買主に引き渡すものとし、引き渡し期日については双方が協議するとなっている。協議がまとまらなければ、双方とも契約を解除できる、つまり契約は白紙、なかったことにし、その際の違約金支払いの責は双方ともないと明記されているはずだ。