コスモスイニシアが8月に分譲する「イニシア日暮里テラス」(54戸)と「イニシア日暮里アベニュー」(45戸)のモデルルームを見学した。「Doma(土間)」とLDKを一体利用できるよう提案した、同社が「より良い住まいのカタチを、過ごし方から考えたネクスト・スタンダードの空間品質『すごしかたファースト』」と呼ぶ「テラス」のモデルルーム(56㎡)が秀逸。マンションの商品企画を一変させるかもしれない。
間取り図をご覧いただきたい。妻側住戸プランで、エントランスを入るとすぐ約2.9畳大の窓付きタイル張りの「Doma(土間)」があり、小上がりにして数センチの段差を設けた13.5畳大のLDKと一体利用できるようにしている。双方を合わせると約16.4畳大の広さになる。LDKの奥の居室・ベッドルームはスライドウォールで区切ればそれぞれ5.5畳大の2室に、開け放てば11.0畳大の1室になる。
物件は、JR日暮里駅から徒歩11分(三河島駅から徒歩5分)、荒川区東日暮里三丁目の商業地域・準工地域に位置する10階建て54戸。専有面積は34.21~66.44㎡、価格は未定だが、予定坪単価は324万円。竣工予定は2021年2月上旬。施工はライト工業。
当初はゴールデンウィークに分譲する予定だったが、新型コロナの影響で6月13日にモデルルームをオープン。新規顧客は1日6組に限定して対応している。「イニシア日暮里アベニュー」は、日暮里駅から徒歩12分の11階建て45戸。「テラス」を先行して販売する予定。
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「土間」の提案は戸建てでは常識で、各社がそれぞれ競い合っている。マンションでも各社がこれまでたくさんトライしてきた。いま思い出すのは2010年に分譲された野村不動産・三井不動産レジデンシャル「中野ツインマークタワー」だ。「60㎡でも90㎡と同等の価値」を具現化したものの一つとして、玄関に約1畳大の「ライフガレージスペース」を提案したものだった。
しかし、今回のコスモスイニシアは「土間」と「LDK」の境を数センチの小上がりで区切るだけでほとんど一体利用が可能なスペースに変えた。恐らくこのような大胆な提案を行ったのは同社が初めてだ。
これと、同程度の面積の一般的な田の字型2LDKプランと比較していただきたい。一般的なプランだと、キッチンは3.3畳大、LDはせいぜい11畳大、居室は廊下を挟んで6畳大と4.5畳大くらいだろう。
コスモスイニシアの今回のプランは中住戸で採用するのは難しいだろうが、角住戸に採用すれば付加価値が高いので強気な値付けが可能になる。
共用部分
旭化成ホームズ 「のきのま」モデル棟 土間・LDKと一体利用すれば30畳大の空間(2018/5/22)
活況市場反映 記録的な一挙販売 三井・野村「月島」(2013/6/25)
感動的なマンションを見た 野村不・三井不レジ「中野ツインマークタワー」(2010/11/26)