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2020/07/21(火) 18:27

いかがわしい不動産投資を煽るのか 週刊住宅「空き家投資じわり〝加熱〟」記事

投稿者:  牧田司

 読まれた読者の方はいるだろうか。7月20日付週刊住宅のwebに「空き家投資じわり加熱 都心にも格安物件 DINKSに好感」という見出しが躍っていた。誤字・脱字を見つけるのが習性になっている小生の目は釘付けになった。「加熱」は明らかに誤植で、「過熱」とすべきところを誤ったのだろうとすぐ結論付けた。

 しかし、記事をよく読むと投資は「過熱」状態にはないことが分かる。「空き家投資」とは「リフォーム代含め数百万円の投資で手にした物件が10%以上の高い利回りを実現する、これが空き家不動産投資のビジネススキーム」「空き家不動産投資の物件は、DINKS(夫婦共稼ぎで子どもいない)世帯を中心に人気を呼んでいる」(同紙)とあるのだが、どれほど「過熱」し、「人気」になっているのかの具体的な記述は全くなない。

 そもそも、空き家を買い叩き、多少のリフォームをかけて賃貸する〝商売〟などまともな不動産会社や一般の人がやることではない。同紙も「デメリットもある。その最大のものは、物件購入の際、融資がまず下りないことだ。なぜかというと、再建築不可物件はローンの担保価値がほぼないものと見なされるからだ」と指摘するように、リスクもあるようだ。(空き家がどうして再建築不可なのかの説明はない=指南する不動産業者の存在が匂う)

 なので、新型コロナの影響で書くことがなくなった同紙が〝受け〟を狙い、自ら〝火付け役〟になる馬鹿馬鹿しい記事と結論付けたのだが、空き家を加熱したらひょっとしたら自然発火して収拾がつかなくなる事態にも発展しかねないので、いつも取材先で一緒になる同紙記者を通じて「御紙はチェック機能が機能していない」とメールした。

 「ご指摘ありがとうございます。誤りでした」というくらいの返事も返ってくるだろうし、訂正もされるだろうからことを荒立てるような真似は控えようと決めた。ミスはだれでもあるものだ。

 ところが、先ほど(7月21日夕方)記事を見たら、何と「空き家投資じわり〝加熱〟」とあるではないか。さすがに「過熱」状態にはないことを言外に認め、〝 〟を付けることで「加熱」は洒落であることを言わんとしているようだ。

 しかし、これは洒落、冗談では済まされない。オピニオン紙としてこの種の社会的に問題があるいかがわしい〝投資〟を止めるよう主張すべきではないのか。違法とまでは言えないものの、自らがそのような〝投資〟を煽りたてるようなものではないのか。

 同紙は今年で創刊60周年を迎えた(旧週刊住宅は廃刊しているが)。6月29日付の同紙には編集長が「オープンソースの垂れ流しではない媒体としての面白さを追求しながら信ぴょう性を兼ね備えての情報発信と“常識”にとらわれない紙面づくりにご期待ください」と発信している。

 「オープンソースの垂れ流し」は貴紙はやっていないのか。「“常識”にとらわれない紙面づくり」とは、この種の常識外の記事を今後も垂れ流すということか。

 「じわり」の副詞にふさわしい言葉は「過熱」ではないが、〝 〟をつけても「投資が(じわり)〝加熱〟」は文法的に問題がある。念のため。

◇      ◆     ◇

 厳しいことをストレートに書いたが、他意は全くない。全ては記者の皆さんも含めてこの業界に身を置く人を愛するが故だ。〝記事はラブレター〟と受け止めていただきたい。

 

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