「Dタワー西新宿」
大和ハウス工業は8月18日、同社初の「Dタワー」オフィスブランドの免震複合プロジェクト「Dタワー西新宿」が竣工したのに伴う記者内覧会を行った。
施設は、東京メトロ丸の内線西新宿駅から徒歩4分、都営大江戸線都庁前駅から徒歩8分、新宿区西新宿6丁目に位置する敷地面積約3,386㎡、地下2階地上29階建て延べ床面積約39,460㎡。1~2階が商業施設と保育施設(2階)、3~18階がオフィス、20~29階が賃貸住宅38戸・サービスアパートメント42戸。停電時に最大72時間の電力を供給する非常用発電機を設置。設計は日本設計・大成建設、施工は大成建設。2017年7月に着工し、2020年5月に竣工。総事業費は約400億円。
オフィス基準階の床面積は約1,016㎡で、天井高は約2,850mm。世界各国でコミュニティ型ワークスペースの運営を展開している「WeWork」が5フロアに、同社グループの大和ライフネクストなどが3フロアにそれぞれ入居するほか全体で87%の稼働率でスタートした。
賃貸住戸・サービスアパートメントの専用面積は58.40~116.80㎡。坪賃料は平均2.3万円。5月から募集を開始しており、35~36室(うちサービスアパートメントが2室)に申し込みが入っている。20階のロビーにはフィットネスセンターや会議室も設置している。
同社執行役員東京本店長・竹林桂太朗氏は「東京、大阪、名古屋などの都心部での事業領域の拡大を図る当社初の大型複合施設。わが国には少ない試みとしてコンクリを外観に取り込むデザインとした」と語った。
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記者がもっとも注目したのは〝大きな木〟をモチーフにした外観だ。建物は1辺が約36mのほぼ正方形で、外周部と内周部に高強度のコンクリートフレームを組んだ外殻チューブ構造を採用。コンクリート柱をそのまま外観の意匠デザインに取り込み、低層部は柱をまとめることで株立ちを、中層部は幹を、上層部はさらに枝分かれした天空に伸びる巨木を表現している。1辺9本の柱の間隔を等間隔ではなく、最小1.8mから最大6mまでアトランダムに配置することで変化を持たせている。
設計を担当した日本設計建築設計群主管・淺見泰則氏は、「通常の鉄骨鉄筋造のビルは構造計算上不具合が生じるが、外殻チューブ構造を採用したことで偏心が可能になった」と説明した。
ユニークさでは「モード学園コクーンタワー」には負けるかもしれないが、総合設計制度による足元の公開空地とともに美しさでは引けを取らないと思う。
隣接する「ダイワロイネットホテル西新宿」の2階カフェテラスから望む