RBA OFFICIAL
 
2020/09/05(土) 12:34

三菱地所 生産者-産地-消費者つなげる屋外空間「バスあいのり3丁目テラス」開業

投稿者:  牧田司

 01-⑥_「バスあいのり3丁目テラス」イメージ.jpg
「バスあいのり3丁目テラス」

 三菱地所は9月4日、アップクオリティと協業し、日本各地から産地直送で届く食材を活かしたメニューや地域の魅力を楽しむことができる、緑あふれる屋外空間「バスあいのり3丁目テラス」をオープンした。オープンに先立つ3日、報道陣向けにオープニングレセプション&メニュー試食会を開催した。

 現地は、新宿通りから一歩入った、伊勢丹新宿店にも近い路地裏のような雰囲気がある二方道路の角地で、広さは約70坪。日本中から届く新鮮で珍しい食材を使用。地域の食文化を発信するとともに、地域と地域の食材を組み合わせたマリアージュメニューも提供していく。食材はバスタ新宿などで受け取り、そのまま施設へ納品される。

 新型コロナの影響を受けて日本各地の往来が縮小し、各地の農林水産物の販路も縮小しているなか、旅客用高速バスの空きトランクを活用した新しい地方特産品運搬の仕組み「産地直送バスあいのり便」を活用し、地方の農産物の継続的な消費・購買につなげると同時に、様々なイベントを通じて生産者・産地と消費者をダイレクトにつなげていこうとするもの。

 オープニングレセプションの冒頭、主催者のアップクオリティ代表取締役・泉川大氏は、「産地直送バスあいのり便は、高速バスのトランクは埋まっていないケースが多いことに着目し、効率よく地方の産品を東京で流通させようと2018年に立ち上げたプロジェクト。現在、全国の30社のバス会社と連携し50地域56路線とつながった」とプロジェクトの経緯について説明した。

 三菱地所エリアマネジメント企画部担当部長・井上成氏は、「新型コロナの影響で消費は伸び悩んでいるが、生産者-バス会社-都市生活者を結びつけることで明るいニュースを提供したい。ここを拠点に日本全体を盛り上げたい」と語った。

 施工を担当した東邦レオ代表取締役・吉川稔氏は、「CSVの視点も重視して緑の心地よい空間を作り上げた」と挨拶した。

 レセプションでは、山梨県の生産者や直売所とつながる日本初オンライン直売所や、香川県三豊市とオンラインでつながる旅ナビゲーションのプレゼンテーションも行われた。

 施設は、東京都新宿区新宿三丁目16 番先に位置する敷地面積約70坪。三菱地所の所有地。営業時間は平日11:00~22:00、土日祝12:00~22:00(年中無休)。設計・施工はNI-WA、東邦レオ。暫定施設として利用するため、建物は移動・撤去ができるように台車の上に乗っているよう施工されており、建基法などの規制の緩和を受けている。

 「産地直送バスあいのり便」は、全国農業協同組合中央会、農林中央金庫、三菱地所、大丸有環境共生型まちづくり推進協会、アップクオリティの5者が2018年8月から行っている取り組み。全国50地域56路線(2020年8月現在)と連携し、旅客用高速バスのトランクに配送ルートの確保がネックとなり県外へ出荷できていない希少品や伝統野菜、朝どれの野菜、水産物などを積み、丸の内エリアに定期搬送。丸ビルなど14か所でマルシェを開催・販売している。

00_「バスあいのり3丁目テラス」メインビジュアル.jpg
メインビジュアル

IMG_7790.jpg
全景

IMG_7798.jpg
左からumari 古田秘馬氏、 井上氏、泉川氏、吉川氏

 

09_やまなし農業女子②.jpg 27_レセフ゜ション試食用メニュー3種.jpg

「山梨農業女子」(左)と香川県三富氏の「父母ケ浜」

◇       ◆     ◇

 記者は第二部(17:00~18:30)に参加した。試食会では、「オリーブ車海老と遠野パドロンのグリーンカレー」(1,200円)「しまししとシャインマスカットのタコス」(580円)「高知わら焼きカツオのスーパーフードサラダ」(980円)とビール(700円だったか)を頂いたのだが、とてもおいしかった。

 帰りには山形県鮎川村のバラ、三重県の伊勢茶ティーパック、山梨産農業女子プロジェクトが生産したジュエルマスカットのお土産まで頂いた。

02_オリーブ車海老と遠野パドロンのグリーンカレー.jpg 03_しまししとシャインマスカットのタコス.jpg 05_鮭川村のハ゛ラ.jpg
左からサラダ、カレー、タコス

◇       ◆     ◇

 敷地は70坪で前面道路幅も4~5mくらいしかないから、オフィスビルには不向きで、マンションもリスクが大きい。それでも地価は少なくとも坪5,000万円はするはずで、70×5,000=35億円だ。同社にとって金利負担など微々たるものだろうが、ただではない。施設整備費、運営費などを回収できるのだろうかと疑問に思ったが、さすが三菱地所だ。

 単に地方の再生・活性化の活動を支援するCSR(Corporate Social Responsibility)にとどまらず、新たな価値創造に結び付けていくCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の視座が明確であることは、井上氏の挨拶からも伝わってきた。同社がブランドスローガンに掲げる「人を、想う力。街を、想う力。」の実践だ。

◇       ◆     ◇

 驚いたのは緑が豊富だったことだ。低木はもちろん、中高木もたくさん植えられており、つくばいも設けられていた。

 施工した東邦レオ・吉川稔社長に聞こうとしたら、「わたしは全然分からない。担当者に聞いて」と、一級造園施工技士・屋上緑化コーディネーターの資格を持つクリエイティブリノベーションチームの原田宏美氏を紹介された。原田氏によると、「都心のオアシスにするため雑木林のようなものにした」そうで、中高木はウラジロガシ、モミジ、サツキ、ヤマボウシ、ソヨゴなど30種、下草などを含めると50種くらい植えられている。スズムシも鳴いているという。

IMG_7792.jpg
植栽

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン