大成有楽不動産が10月下旬に分譲する「オーベルグランディオ平井」を見学した。都内最大級の再開発エリアのスーパー堤防内に立地する全138戸で、長期優良住宅認定を取得し、平均74㎡を確保しているのが特徴。9月いっぱいの来場予約はほぼ満席だ。売れ行きが注目される。
物件は、JR総武線平井駅から徒歩16分、都営新宿線東大島駅から徒歩16分、江戸川区小松川三丁目に位置する13階建て全138戸。専有面積は71.65~85.46㎡、予定価格は3,900万円台〜6,500万円台(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は220万円台の前半。竣工予定は2022年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、約50年間にわたり行われている約63haの都内最大級の「亀戸・大島・小松川地区市街地再開発」の最終街区のスーパー堤防上の一角。敷地面積約7,239㎡のうち約1,200㎡の広場状空地と敷地周辺の歩道状空地により約79%の空地率を確保。
住戸プランは、南・南西向き、全戸70㎡以上(平均約74㎡)で、主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、リビング天井高2500~2600ミリ、食洗機、ホームライブラリー、オリジナル収納など。近接する高速道路対策として二重サッシを採用している。共用施設としてフレックスルーム、キッズルーム、パーティルーム&キッチン、シェア倉庫などを設置。
開発担当の飯島氏は、「モデルルーム見学は1日最大12組くらいに制限していますが、9月いっぱいは満席。東京駅から約8キロ圏の都心近接立地、約79%の空地率、平均74㎡の居住面積、長期優良住宅、有償ですが完全個室のユーティリティスペース提案など、お客様には〝都心近接ながらゆとりと開放感のある生活が実現できるポイント〟をアピールしています」と語った。
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2年前見学取材した同社の「オーベル住吉マスターテラス」もそうだったが、今回の物件は東京駅を中心に8キロ圏に位置していることをパンフレットなどで分かりやすく説明していた。
この種の販売手法は真新しいものではないが、説得力がある。「平井」をよく知らない人には、圧倒的な価格の安さをアピールできる。
東京駅から8キロ圏は池袋、東中野、初台、代々木上原、中目黒、武蔵小山、北千住とほぼ同じだ。業界関係者ならご存じだろうが、これらのエリアのマンション坪単価はほとんど400万円を突破しており、駅近なら600万円以上もある。北千住でも380万円だ。
この「平井」も、野村不動産が開発を進めている駅前の再開発タワーマンションは坪350万円くらいすると記者は見ている。
この350万円が高いか安いかはともかく、平井駅圏は一般的な評価は低いが、ポテンシャルは高い街だと以前から思っていた。
われわれは江東区も江戸川区も一括りで考えがちだが、全用途地域に占める工業系用途地域の割合は、江東区は実に70.8%に達しているのに対し、江戸川区は19.2%だ。都市計画などは全く異なる。
都市公園もそうだ。一人当たりの公園面積は千代田区の27.65㎡には及ばないが、江戸川区は23区2番目に広い11.1㎡だ(江東区は8.72㎡、23区最小の豊島区は0.7㎡=豊島区の緑被率は高い)。江戸川区の区域面積に占める公園面積割合は15.38%で、こちらは千代田区の14.66%を上回り、東京都でナンバーワンだ。
用途地域でも、23区のうち千代田、中央、台東、荒川、江東、墨田、北の7区には第一種低層住居専用地域(1低層)はゼロだが、江戸川区には70.8haある。ただ、この1低層は全て都市公園区域なので住宅地としての指定はない(都市公園を用途地域指定するのは各区の判断による)。
区内には、4m未満の接道建築物が4割もあるのは課題だが、区内の建築物の8割は住居系用途地域に位置し、やはり8割は1~2階建て建築物というのも大きな特徴だ。
これらの特徴は街を歩くとよく分かる。街路樹も立派なものが多い。今回の物件は平井駅、東大島駅から距離はややあり、高速道路が近接している難点を抱えるが、その難点を価格に反映し、居住面積を確保する戦略は正解だと思う。23区内に74㎡で4.700万円台の新築マンションはそうないはずだ。after&withコロナでマンション選考基準が変わったのも追い風になるか。江戸川区は子育て支援が充実しているのもよく知られている。