三井不動産レジデンシャルは10月26日、築47年の港区・浜松町の投資用マンションの「浜松町ビジネスマンション敷地売却組合」から敷地売却を受け、10月23日に解体工事に着手し、18階建て102戸の分譲マンションを建設すると発表した。
2014年に改正された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に定める「敷地売却制度」を港区内で初めて活用するのと、「容積率の緩和特例制度」を活用するのが特徴。
敷地売却制度は、耐震性が不足し、特定行政庁から要除却認定を受けたマンションを対象に、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分価格のそれぞれ5分の4以上の同意を得て、マンション敷地売却組合を設立し、都道府県などの認定を受けた買請人(デベロッパー)に売却できる制度。デベロッパーは取得した土地をどのように利用するかは自由なのが特徴の一つ。
これまで全国で25件が認定され、このうち10件(千代田区3件、中野区、北区、新宿区、船橋市、港区2件、福岡市=2020年4月現在)が組合設立認可を受けている。
組合設立認可を受けた同社の案件は2件目で、もう1件は千代田区三番町の1971年竣工の「麹町三番町コンド」(20戸)。
「容積率の緩和特例制度」は、現行の耐震基準に満たないため、除却の必要性があると認定を受けたマンションを建て替える際に特定行政庁が許可した場合は容積率が緩和される制度。今回は400%が600%に緩和される模様。
同社は「本マンションは主に投資用物件のため、権利者様の多くが賃貸に出され全国各地に居住されており、合意形成が難しいという側面もありましたが、理事会のご努力の結果権利者様にご理解いただき、各種相談・手続きについて港区に迅速に対応いただいたことで、今般の解体工事着手に至りました」とリリースしている。
「浜松町ビジネスマンション」は、JR浜松町駅から徒歩6分、ゆりかもめ竹芝駅から徒歩2分、港区海岸一丁目に1973年に竣工した9階建て総戸数154戸の、住戸の9割以上が約12㎡の投資用マンション。建替え後は容積率約600%(現400%)を前提に、地上18階地下1階建、総戸数102戸の分譲マンションとなる。2023年11月の竣工を予定している。
2014年3月に建替え推進決議(同社が事業協力者として参画)、2018年2月に港区より除却の必要性に係る認定(要除却認定)を取得、2019年10月に敷地売却決議、2020年3月に容積率割増許可、敷地売却組合設立認可、2020年10月に分配金取得計画の認可を受けた。