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2020/11/28(土) 16:37

衝撃のホワイトナイト 三井不動産 東京ドームをTOB 読売新聞とも資本提携

投稿者:  牧田司

 三井不動産は11月27日、東証一部上場の東京ドームを公開買付(TOB)により全株取得するとともに、東京ドームと読売新聞グループ本社と資本業務提携することを決定したと発表した。

 買付期間は11月30日(月)~2021年1月18日(月)。買付け価格は、直近6か月の終値単純平均値802円に対して62.09%のプレミアムを加えた1株1,300円(金額)で、買付け額は1,205億円。

 また、同社は同日、東京ドームの第2位株主であるみずほ銀行(所有割合4.62%)からTOBに応募する旨の差入書を受領し、読売新聞グループ本社(以下、読売)からも東京ドームの所有株38,478株(所有割合0.04%)全てについて公開買付に応募する旨の表明を受けたと発表。東京ドームも同日行われた取締役会で公開買付けに賛同の意見を表明した。

 三井不は公開買付けにより東京ドームを完全子会社とする予定で、東京ドームは上場廃止となる。また、同社は東京ドームを完全子会社したのち東京ドームの株式20%を読売新聞グループ本社に譲渡、三井不と読売は東京ドームに役員を派遣する。

 同社のTOB報道を受け市場も反応。東京ドームの27日の終値は前日の897円より150円高の1,047円(ストップ高)の値を付けた。三井不は42円高の2,302円だった。

 TOBの背景には、東京ドームと筆頭株主との対立があり、三井不はホワイトナイト(白馬の騎士)として登場した。

 東京ドームは、同社の筆頭株主(所有割合9.61%)である香港の投資ファンドOasis Investments II Master Fund Ltd.(以下、オアシス)との対立が激化し、今年1月にはオアシスから1株1,300円で全株を買い取るレターを受領しており、その後、10月19日付で臨時株主総会の招集を求められ、長岡勤代表取締役社長ら3名を解任する動議がなされている。臨時株主総会は12月17日に開かれる予定。

 東京ドームは、「当社とOasisの考える企業価値向上策の内容及び進め方には大きな乖離があり、Oasisによる当社株式の取得は、特に長期化が予想されるコロナ禍への対策も考慮した中長期的な企業価値向上には繋がらない」「資金調達の見込みや、外資規制等の観点からの実現可能性も不明であることなどを踏まえると、その具体性及び実現可能性、すなわち真摯性に疑義があるものと言わざるを得ない」とオアシスを批判している。

 一方の三井不は2020年6月上旬、共同事業などで親交がある読売に対し東京ドームの紹介を依頼。8月から具体的な協議を行ってきたとしている。

               ◇      ◆     ◇

 三井不の東京ドーム買収はアンチ巨人&西武ファンの記者も衝撃を受けた。三井不にとっては〝千載一遇〟の、東京ドーム&読売にとっては〝渡りに船〟ではないか。

 三井不は商業施設テナント約2,400社・三井ショッピングパークポイント会員約1,200万人・&mall会員約250万人・三井ガーデンホテル会員約40万人・オフィスビルテナント約3,000社・三井のすまいループ会員約24万人(2020年3月末時点)などの顧客基盤を有している。

 一方、東京ドーム&読売はTDポイントカード会員約74万人(2020年10月31日現在)、「東京ドームシティ」年間来場者約4,000万人、読売新聞朝刊の発行部数742万部(出典:日本ABC協会「新聞レポート」)、読売巨人軍ファンクラブ会員約45万人、ジャイアンツアプリ登録者数約50万人などの顧客資源を有す。

 この三社が連携して、①読売巨人軍のコンテンツ及び球団とスタジアムの一体運営による競争力強化②三井のリソースを活用した東京ドームの新中期経営計画の推進力強化③東京ドームシティの将来の再整備の検討を行う-こととなるが、無限の可能性を秘めていると思う。

 もともと三井不はスポーツイベント協賛に意欲的だ。1984年のロサンゼルスオリンピック大会だったと思うが、日本が優勝した野球競技では同社はバックネットの下部に広告を出したために、投手が投げるたびに「三井不動産」の文字がテレビに映し出された。同社役員が呵々大笑したのを覚えている。

 昨年のラグビーワールドカップ2019日本大会では、世界最強のニュージーランド代表オールブラックスのオフィシャルスポンサーとなり、同社グループのホテルを宿泊先として誘致し、千葉県柏市と共催したオールブラックス応援イベントには7,000人を超す観客を集めた。

 現在も、2020東京オリンピック・パラリンピックの公式スポンサーとしてテレビなどに頻繁に露出している。

 社員にも野球経験者は多い。三井不動産リアルティの遠藤靖社長は慶大を大学野球日本一に導いた功労者だし、同社には巨人の契約金2億円のドラフト指名を蹴り三井不動産に入社した志村亮氏もいる。このほか三井不動産、三井不動産レジデンシャル、三井不動産レジデンシャルサービス、三井不動産レジデンシャルリースも野球部があり、OBを含めたら野球経験者は数百名どころか千人規模ではないか。

 デベロッパーの野球関連では、中部電力グループの日本エスコンは、北海道日本ハムファイターズが2023年に開業を予定している北広島市の新球場「ES CON FIELD(エスコンフィールド)HOKKAIDO」の命名権(ネーミングライツ)を取得した。

 このほか、リストグループは横浜DeNAベイスターズのスポンサーになっており、ミニミニは東都大学野球の、エイブルは首都大学野球のそれぞれ公式スポンサーになっている。住友不動産は東京ドーム、西武ドームにも広告を出している。

  〝たかが野球 されど野球〟-野球人気は不滅だ。

ラグビー世界最強NZ オールブラックス応援イベントに7000人超 柏市×三井不(2019/9/14)

 

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