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2021/01/04(月) 16:12

なぜ現場を観ない お粗末に過ぎる 業界紙のマンション展望記事

投稿者:  牧田司

 軽佻浮薄、軽挙妄動を地で行く記者は今年6度目の年男を迎えた。これまでなら性格そのもの猪突猛進といきたいところだが、新型コロナは酒(どうしてわがパソコンは酒に変換するのか)なければならない。ここは自重して「牛歩」もありかと考えている。誰が何と言おうとわが道を行く。いちいち些末なことに反応しないことに決めた。

 だが、しかし、性格は変えられない。舌の根が乾かぬうちに前言を翻す。新年早々のわが業界紙「住宅新報」と「週刊住宅」の業界展望〝特集〟記事には我慢がならない。〝ボーっと生きてんじゃねーよ! それでも男か!〟といいたい。

 まず、住宅新報。マンション市場について次のようにある。

 「例えば、新築マンション販売では、マンションギャラリーでモデルルームを案内しながらの対面接客が基本だが、〝3密〟回避のためウェブ商談を取り入れるディベロッパーが増加。更には顧客にVRでモデルルームを体感してもらう方法や、カメラを持った営業担当者がギャラリー内のモデルルームや模型室を歩き、実際に案内しているかのように顧客と対話する方法も登場し始めている。

 こうした選択肢が加われば遠隔地で来場できない顧客にも情報提供が可能となる。もともとマンションギャラリーは、単なる情報提供だけでなく、購入に向かって気持ちを盛り上げる場でもある。住まいを手に入れるというワクワクする気持ちを、オンラインならではの方法でどう訴え掛けるかが今後の課題となる」

 ウェブ商談、VRモデルルームは記者もありだと思う。しかし、基本性能・設備仕様レベルは双方ともまず消費者に分かりやすく伝えられない。2400ミリと2500ミリの天井高は全然異なる。床材、クロス、キッチン天板、建具家具などケミカル製品か本物か、しっかり見ないと区別がつかない(見ても分からないものもあるが)。数千万円もする商品を担当者とのやりとりや画像を見ただけで購入を決断する人など皆無だろう(バブル期にはいたが)。

 デベロッパーだって苦肉の策としてウェブ商談、VRモデルルームを導入している。「住まいを手に入れるというワクワクする気持ちを、オンラインならではの方法でどう訴え掛けるかが今後の課題となる」-書いた記者の方は本当にモデルルームを「気持ちを高める場」と考えているのか。

 コロナ対策のため、来場を制限し、自らも昼食などはコンビニで弁当を買い事務所で食べ、仕事が終わったら自宅に直帰している現場担当者のことを考えれば、そんなノー天気な記事など書けないはずだ。

 記者はかつて〝わたしは空気だって売ることができる〟と豪語した口八丁手八丁の営業マンを知っているが、こんな人は例外中の例外だ。

 週刊住宅はどうかと言えば、記事は自前の記者ではなく外注。中身は読者の方が判断することだからさておく。

 どうして外注なのか。普段から担当記者がマンション現場に足を運び、自らの視点でものを見る努力を怠っているからこのようなことが起きる。こんなことを続けていたら読者から見放される。

 そして、双方とも決定的に問題なのは、あれやこれやのマクロデータの寄せ集めで記事を構成していることだ。何度もいう。とにかく現場に足を運ぶことだ。コロナの感染拡大で取材機会は減るだろうが、プレス・リリースに頼ってばかりいたら絶対に記者として自立できないだろう。

 

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