東京都が新型コロナウイルス感染症対策サイトで公表している昨年10月から1月3日現在の感染者36,858人のうち職業欄に記載がある21,382人の職業を別表にまとめた。
もっとも多いのは会社員の8,062人で、以下、無職2,403人、学生2,105人の順。医師は225人、医療従事者は979人となっている。
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都の職業データからは、全体としてはコロナ禍でも生活維持に欠かせないエッセンシャルワーカーの感染が多いことは伝わってくるが、〝見えない敵〟新型コロナをあぶり出す意味では大雑把すぎて実態は把握できていないのが欠点だ。職業分類表のように分類する必要はないだろうが、もう少し詳しく調べるべきではないか。以下、記者の感想。
まず会社員。これは漠として捉えようがない。業種や内勤か外勤かなど勤務形態についても聞いていいのではないか。経営者や役員なども記載があっていい。
無職は、10歳未満の51人を含め若年層から高齢者まで幅広く分布しているが、これももう少し詳しく調べるべきだろう。
学生は、10代以上の人数を表にまとめたが、中学生や高校生なども含まれていると思われるので、大学生や専門学校生と区別すべき。
その他、自営業、接客業、サービス業、アルバイト、パート職員もどのような職種なのかさっぱりわからない。これでは職業を調べる意図がまったく分からないではないか。
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医師と医療従事者の年代別・性別感染者の分布を表とグラフにまとめた。
医師は、225人のうち約77%の人が男性で、医療従事者では、979人のうち約83%の811人が女性で、このうち20代と30代は512人で63%を占めている。
このデータからも分かるのだが、他の職業を含めて新型コロナは社会的弱者に集中的に襲い掛かり、ジェンダー性差をいやというほどあぶり出している。
菅総理は一都三県の緊急事態宣言発出について記者会見し、以下のように若い人向けに述べた。
「さらに、若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることはありません。しかし、若い方々への感染が更なる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんの御両親や祖父母、御家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために御自身のことと捉えていただいて、行動をお願いしたい、このように思います」
これではやはり総理としての発信力はやや弱い。若い人の感染は確かに多いが、若い人たちの中には医療・介護従事者、接客業、サービス業、その他のエッセンシャルワーカーの感染が多いはずで、十把一絡げの物言いは若者の心に響かない。第2波のとき〝夜の街〟などと〝口撃〟したのと同様だ。小生はこのような時だからこそイソップ童話の〝北風と太陽〟が効果的ではないかと思う。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超82021/1/9)