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2021/02/19(金) 12:48

驚天動地 首都圏着工を上回る新規戸建て分譲 成約戸数!スタイルアクト調査

投稿者:  牧田司

 小規模開発が圧倒的に多く、杳として知れないのが実態とされてきた新築分譲戸建て市場が、ひょっとしたらこのコロナ禍にもかかわらずバブル期を凌ぐ活況を呈していると受け取れるデータの出現などについて書く。

 不動産経済研究所は昨年3月、数十年間にわたって調査を続けてきた首都圏の建売住宅市場動向調査(以下、分譲戸建て市場)をやめた。調査対象を原則として10戸以上の開発規模としてきたため、市場全体の1割未満しか捕捉できないことが大きな理由だと思われる。

 同社の決断は正解だと思う。そもそも十把ひとからげのマクロデータはあてにならない。株価だってバブル崩壊後最高値を付けたからと言ってみんな上昇しているわけでも、実体経済を反映しているわけでもない。

 分譲戸建てでいえば、直近のテータによると飯田グループの1戸当たり平均価格は2,756万円で、三井不動産のそれは6,663万円だ。これを足して2で割った4,710万円が平均価格なのか、そして飯田グルーフの住戸が売れて三井不が売れ残り、あるいはその逆だったら、契約率は50%でも中身はまったく異なる。好調なのか不調なのか誰も正解を出せない。

 ところが、不動研の〝撤退〟に呼応するのか待ち構えていたのかよくわからないが、分譲戸建て市場の全体像に迫ろうとする調査がある。

 一つは、2015年4月から公表されている東京カンテイの「一戸建て住宅データ白書」だ。最新の2020年版では全国で110,938戸、首都圏で52,193戸がそれぞれ供給され、首都圏の1戸当たり平均価格は3,997万円、平均土地面積は115.7㎡、平均建物面積は98.9㎡とある。

 国土交通省の2020年の分譲戸建て着工戸数は全国で130,753戸、首都圏で54,340戸だから、同社レポートの捕捉率は驚異的だ。刮目に値する。

 レポートでは首都圏供給戸数は着工戸数より約2,100戸少ないのは、同社は調査対象を最寄駅から徒歩30分以内かバスで20分以内、さらに土地面積が50㎡以上で300㎡以下としているからだと解すれば、東京都で増加していると思われる土地面積が50㎡以下の相当数の物件がこの中に含まれていると合点がいく。

 ただ残念なのは、同社のレポートは分譲された物件のうちどれだけ売れたのか、成約価格は売り出し価格とどれほどの乖離があるのか、売主ごとの販売状況はどうなのかはわからないことだ。冒頭にも書いたように、分譲戸建てをマクロデータにまとめただけでは参考にならない。詳細な分析結果を知りたい。   

 さらに言えば、同社は各社の物件ホームページや住宅検索WEBなどから調査しているはずなので、広告する前に売れてしまった物件の調査漏れはないのか、その逆に多数あるといわれるダブロカウントはないのかも気にかかる。

 それにしても、よくぞここまで捕捉したものだ。脱帽するしかない。記者も昔、分譲戸建ての販売動向を調べていたことがあるが、捕捉率は5~6割くらいだった。

 もう時効だろうから書く。同社は1979年10月、都心部でレベルの高いマンションを分譲していた朝日建物の子会社として設立された。同時期に取材したのを覚えている。目黒駅前の小さな雑居ビルだった。規模は数人だったはずだ。

 親会社の朝日建物はマンション専業に徹していればよかったのだが、バブル期にマンション転がしに手を染めたのがいけなかった。創業社長の長田高明氏の実兄が東京相和銀行(現・東京スター銀行)の頭取だったことから湯水のように事業資金が注ぎ込まれ、同社はそれで中古マンションを買い漁った。年間数百戸を転がしていたはずだ。

 そして、バブル崩壊後の1999年に朝建は破綻した。その後、セコムが営業権を譲り受け、やはり破綻したホリウチコーポレーション(堀内建設)と合併させてセコムホームライフとしてマンション分譲を継続してきた。そのセコムホームライフは昨年10月、穴吹興産グループ入りし、社名もあなぶきホームライフに変更された。

 朝日建物のブランドはこれで完全に消えたが、東京カンテイとマンション管理の朝日管理は健在だ。社長は長田千江美氏とあるから、長田家と姻戚関係のある方だろう。現在の従業員は250名とある。すごい会社に成長したものだ。

◇      ◆     ◇

 東京カンテイのレポートに驚嘆するのだが、もっとすごいのが出現した。〝住まいサーフィン〟〝沖式儲かる確率〟で知られるスタイルアクト(旧社名:アトラクターズ・ラボ)の「首都圏新築分譲戸建の市場動向2020年のまとめ」と題するレポートだ。おおよそ次のようにある。

 ・年間売出戸数は57,331戸で住宅着工戸数とほぼ同数(売出時期は着工時期とほぼ同じ)
 ・年間販売戸数は65,104戸で、年間売出より約1,000戸上回る
 ・在庫戸数は2019年12月の32,437戸から、2020年12月の24,664戸になり、7,773戸と大幅減少した
 ・販売月数は首都圏平均で4.9か月まで下がり、売れ行き好調の目安である5か月を割り込んでいる
 ・2020年12月には24,664戸と5か月分の適正在庫に収まっており、売れ行きは順調である
 ・首都圏の平均売出価格は4,105万円、㎡単価は41.6万円で前年水準を維持した

 これを読んで、記者はわが目を疑った。年間売出戸数は東京カンテイの調査より約5,000戸も多いのはさておくとして、2019年度末で32,437戸もあった在庫(完成在庫の意味か)が2020年12月末で24,664戸へと年間で7,773戸減少し、一方で新規売出戸数が57,331戸ということは、32,437戸+57,331戸-24,664戸=65,104戸が成約することなどありうるのか。これが事実なら、かつてのバブル期など比較にならない。狂乱どころではない。驚天動地だ。

 信じられないのは他にもある。レポートは「年間売出戸数は57,331戸で住宅着工戸数とほぼ同数(売出時期は着工時期とほぼ同じ)」としているが、これはありえない。明らかに間違いだ。前述したように2020年の首都圏着工戸数は54,340戸だ。それより約2,700戸も多く分譲されるはずがない。着工=建築確認済みとは限らないだろうが、建築確認前に分譲すれば宅建業法違反になるではないか。推察するに、この約2,700戸はいわゆる売り建てか、2019年に着工した63,360戸のうちの相当分が2020年に分譲されたのではないか。これだと辻褄があう。そうであればきちんとレポートに書くべきだ。

 「販売月数は首都圏平均で4.9か月まで下がり、売れ行き好調の目安である5か月を割り込んでいる」「5か月分の適正在庫に収まっている」としているのもいま一つよくわからない。売り出しから4.9カ月で完売するのなら、着工から完成まで3~6カ月と仮定すれば、完成まで完売になる計算だ。在庫となるのは9月以降に分譲した数千戸くらいにとどまるはずだ。どうして桁違いの在庫が出るのか。そしてまた、在庫が順繰りに売れればいいが、そうでないと「新築」として売れなくなるのではないか。適正在庫が年間供給の5か月分というのも信じられない。在庫を抱えないのが分譲事業の鉄則ではなかったのか。年間分譲の5か月分の完成在庫を抱えたら社長のクビは飛ばないのか。

 これも善意に解釈すれば、在庫とは完成在庫ではなく、仕掛物件も含まれると理解すればそれなりに納得はいくのだが…。

 解せないのはまだある。「首都圏の平均売出価格は4,105万円、㎡単価は41.6万円で前年水準を維持した」とあるが、日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2020年の新築戸建住宅の成約件数は6,334件(前年比7.9%増)で、成約価格は平均3,486万円(前年比0.7%下落)と発表した。レポートでは成約価格の値引き率は売出価格の2.2%(約90万円)としているが、この乖離はどう説明するのか。また、「㎡単価」はいったい何を指すのか。土地面積なのか建物面積なのか説明しないとわからない。

 これらの疑問点について同社にメールで問い合わせているのだが、10日以上経過しても回答が得られない。記者は9年前、同社を批判する記事を書いたが、それが影響していると思いたくないが…。疑問に答えていただきたい。

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