建物が竣工したコスモスイニシア「イニシア大森町N’sスクエア」を見学した。1階部分約60㎡の集会室にランドリーコーナーやワーキングスペースを設けているのが特徴だが、建物は背後に京急線の線路、前面に第一京浜が走っていることから居室の窓は全て二重サッシとし、しかも「樹脂サッシ+複層ガラス」としているのも大きな特徴の一つだ。
物件は、京浜急行線大森町駅から徒歩4分、大田区大森西五丁目の商業地域に位置する15階建て全112戸。専有面積は34.05~58.29㎡、価格は3,298万~5,528万円、全体坪単価は320万円。建物は2021年1月に竣工済み。施工は木内建設。2月28日現在、104戸が契約・申し込み済み。
現地は、敷地北西側に京浜急行線の高架線路、南東側に国道15号線(都市計画道路計画線)が走っており、住戸の全窓に二重サッシ(居室側は樹脂サッシ)を採用。建物断熱性能等級は最高の「4」を取得。
このほか基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗器、ミストサウナ、カウンター一体型キッチン(一部)、ロールスクリーン付き洗濯機置き場など。
住戸プランは60㎡台の3LDKが3スパン、50㎡台の2LDKが2スパン、34㎡台の1LDKが3スパンの単身・小規模家族向けなのが特徴。
販売責任者の同社分譲事業部分譲二部二課・福井大智氏は、「残り8戸。目標の6月までに完売するめどがつきました。お客さまも価格の妥当性を理解されています。集会室にランドリーコーナーを設置するのは単身者やDINKS向けの物件には有効であることは分かっていました。ほとんどの方が利用される。とくに靴洗い機を『浦安』に採用したときは大人気になりました」と話した。
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このマンションについては、販売開始時にモデルルームを見学し、記事にもしているのでそちらも参照していただきたい。
全112戸の規模で60㎡の集会室・ランドリーコーナー・ワークスペースを確保しているマンションはそれほどないはずだ。その分だけ管理費が割高にもなっていないというからよく考えたものだ。
ランドリーコーナーの洗濯機、乾燥機(各3機)、洗剤の使用料金などは管理費に含まれており、24時間利用が可能。仕事もでき、飲料自動販売機もあるが、酒、たばこは禁止なのが難点(原始規約に盛り込まれている)。
今回、実物を見学して新たに発見したものもあった。モデルルームを見学しているとき、カーテン越しに内側のサッシ枠が目に入った。アルミサッシではなく樹脂サッシではないかと思い、福井氏に「これは樹脂サッシではないですか」と質問した。
福井氏は、当たり前ではないかのような顔をして「そうです」と答えた。そこで畳みかけた。「福井さんは通常のアルミサッシと樹脂サッシの違いが分かりますか」と。福井氏は「わからない」と答えた。
福井氏だけでなく、マンションデベロッパーの販売担当者はアルミサッシと樹脂サッシの区別をできる人はおそらく1割にも満たないはずだ。戸建てでは当たり前になりつつあるのに、マンションで樹脂サッシを採用しているものは数%しかないからだ。自らの会社が採用したことがない樹脂サッシのよさなどわかるはずがない。
これはデベロッパーはもちろんだが、物件情報サイトも調査機関もわれわれメディアの責任でもある。かつてないほどエネルギー問題が論じられているのにこの程度だ。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られそうだ。マンションの基本性能・設備仕様にもっと敏感にならないといけない。